■日時 令和2年4月13日(月曜日)10時00分~10時25分
■会場 応接室
【質問事項】
1 新型コロナウイルス感染症について
2 トリチウムを含む処理水の処分方法について
【質問事項】
【記者】
先週、政府によるコロナウイルスの緊急事態宣言が出され、各都道府県も独自の対応をしている状況です。隣県の山形県では、検温を義務付けるという話も出ておりますが、福島県としては、今後どのような対策を考えているのかを教えてください。
【知事】
緊急事態宣言による感染拡大防止と緊急経済対策による国民生活の安定に、一体で対応することが重要です。政府や、既に緊急事態宣言の対象となっている地域などの動向を注視しながら、スピード感を持って取り組んでまいります。また、今後必要があれば、緊急事態に速やかに対応出来るよう、状況の変化に応じて検討を行い、県民の安全・安心の確保と生活の安定に最優先で取り組んでまいります。
【記者】
(県アドバイザーの)金光先生が、先日から企業、団体の感染防止対策を訴えておられます。企業、団体や個人の努力には限界もあると思いますが、県として、マスク、消毒液、体温測定やテレワーク関係機器に対する支援についての考えがありましたらお聞かせください。
【知事】
今、福島県においては、基本的な感染防止対策を、まず個人一人一人が徹底し、企業、事業所、会社の皆さんも徹底していくことが何よりも重要だと考えています。改めて、手洗い、咳エチケットの徹底など、一人一人が確実にできる感染防止対策の徹底をしていただきたいと思います。
「密閉」、「密集」、「密接」、この3つの「密」を避けることが、新型コロナウイルス感染症に対応するための一番の根本となります。多くの県民の方々、各事業所においても、御理解いただいていると思いますが、今、国内外を通じてより厳しい状況になっておりますので、この点を是非、自ら実行していただきたいと思います。
併せてお願いしたいのは、自分自身の日々の体調を確認いただくことであります。現在、県庁、あるいはそれぞれの職場において、一人一人の健康観察をしっかり行っていただくことをお願いしております。これは、当然、職場だけでなく、学校、個人も同様であります。自分自身の体調をしっかり確認していただきながら、例えば、通常よりも体温が高い場合は、速やかに休む、家で安静にする。これが感染拡大を防ぐための、非常に重要な要素となります。
こういった点について、本部員会議でも、力を入れて呼び掛けており、(報道の)皆さんの力もお借りしながら、体調が悪かったら休むとともに、管理職は部下から言われるのを待つのではなく、声掛けをし、休みが取りやすい雰囲気を醸成できるよう、努めていただければと思います。
もう1点大切なことは、接客を伴う繁華街における飲食店などに行くことを控えていただきたいということです。先日、政府において対策本部会議が開かれ、7つの緊急事態宣言の対象の都府県だけでなく、全国の道府県に対する呼び掛けがありました。県民の皆さんには、そういった趣旨を踏まえて、自分自身の、そして周りの大切な方の健康を守るための取組を続けていただければと思います。
また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マスクの必要性が高まっており、県内においても深刻なマスク不足となっています。県で備蓄しているマスクについては、医療機関等に優先的に提供しています。既に、帰国者・接触者外来を担う医療機関に対し、国からのマスク約2万8,000枚のほか、追加で約19万枚のマスクが帰国者・接触者外来以外の病院等に提供されています。また、介護施設等には、4月11日までに、国から直接布製マスクが配布されたと聞いています。県としても、医療機関、介護施設等におけるマスク不足の状況把握に努め、災害時の応援協定を締結している企業等にマスクの提供を働き掛けていくなど、関係機関と力を合わせて対応してまいります。
【記者】
接客を伴う繁華街への往来の自粛ですが、県からは、県民に対してのお願いということですが、それを受けて、繁華街の飲食店が自主的に休業せざるを得ないというところも出てきています。県としては(あくまでも)お願いベースですが、今後、国に対し、こういった企業や飲食店の休業補償などを要望する予定はありますか。
【知事】
現在、緊急事態宣言の対象となっている7つの都府県において、正に直接的な休業をお願いしているという観点もあり、休業補償について政府として講じてもらえないかということを働き掛けておりますが、現時点では、それに対する回答がないという状況にあるかと思います。全国知事会においても、これに関する議論が先週も活発に行われております。県としては、当面その状況を見守り、この飲食店への出入りの問題は、日本全体の問題でもありますので、全国的にどうしていくべきか、全国知事会とも連携しながら対応を考えていきたいと思います。
【記者】
この週末、新たな感染確認がそれまでと比べると少なくなりましたが、知事はこれをどうご覧になっていますか。
【知事】
数字だけを見ますと、そういった状況ですが、一昨日の県の本部員会議において、感染症の専門家である金光先生から、「現状を常に厳しく受け止めるべきだ」というアドバイスを頂いております。
御承知のとおり、新型コロナウイルス感染症は潜伏期間が非常に長いです。したがって、今出ている数字は、1週間前、10日前の状況を表している数字であり、現時点においてどうなっているかは、全く予断を許さないと考えております。
先般、本部員会議でも申し上げましたが、私自身は、「非常に厳しい状況が続いている」、「瀬戸際の状態が続いている」と考えておりますので、是非、県民の皆さん、また、企業、事業所、様々な方々に危機意識を持って自分の対応を考えていただければと思います。
【記者】
新型コロナウイルスの情報発信について、全国的には、知事が会見を行うケースが多いと思ます。本県でも感染が拡大しており、東北でも三村知事や村井知事が会見を日々やっておられ、トップ自身が発信する意味もあると思いますが、情報発信についてどのように考えますか。
【知事】
知事を始め、市長などの各自治体のリーダーが直接訴えることは重要だと考えています。私自身、この会見もそうですし、新型感染症の発生以来、幾度も緊急会見を開かせていただいております。特に本県での陽性事例が確認されてからは、私自身がその症例の説明も含めて、直接お話ししています。また、本部員会議も毎週開き、そこで知事メッセージということで、県民の皆さん、事業者、あるいは頑張っている医療関係者の皆さんに対して直接呼び掛けを行っております。
今後、状況が深刻化した場合には、緊急会見もあると思いますが、常に状況を把握しながら、私自身がしっかりと情報発信をしていきたいと考えています。
【記者】
休業補償について、東京都では、感染拡大防止協力金という、一律に飲食店に対して支払う制度つくりましたが、東京都だから出来るという意見や、こういったものこそ国がオールジャパンでやるべきだという意見もあります。知事は休業補償の話をされましたが、この東京都の感染拡大防止協力金のような制度についてはどのようにお考えでしょうか。
【知事】
様々な議論が7都府県、また、全国知事会で進められております。今回、休業を明確にお願いする地域において、その補償の議論が出てくるのは当然のことかと思います。全国知事会においても、先週、政府に対して、7都府県における休業に見合う補償を、国として考えていただけないかという要請活動を行っているところであります。様々な対応があろうかと思います。県としても、融資制度であったり、今後国の緊急経済対策を受けて一定の支援を考えていきますが、やはり日本全体の対応、国全体としてどうしていくかという観点も重要かと思います。全国知事会を通じて、各県の知事と連携しながら、取組を深めていきたいと考えています。
【記者】
感染者の増加に伴い、県内でも入院病床の確保が重要となっています。先週、県でも軽症者の受け入れに関して、ホテルや旅館の申込公募を始めましたが、何か動きがあれば教えてください。
【知事】
まず、入院の受入体制を充実・強化していくことが大切です。入院病床については、県内6か所ある感染症指定医療機関の32床で入院いただくことを基本としておりました。それに加え、入院病床を更に確保していきたいということで、県医師会等の関係機関に協力を依頼し、各保健所が中心となって、管内の医療機関と調整を進めてきました。新たに、病床53床を確保するとともに、一般病床を26床に増床したところであります。その結果、現時点で陽性患者の受入病床は111床であり、更に充実・強化できるよう、現在取り組んでいるところであります。
また、軽症者の受入施設については、県内各地域の宿泊施設から、軽症者の受け入れの応募がありました。大変ありがたいと考えております。今後、個別施設等との調整を進め、早期に受入体制を整えたいと考えております。現時点で、応募状況につきましては、複数の施設から300室程度の部屋数の応募があったところであります。
いずれにしても、入院体制を拡充すること。また、軽症者の受入施設を別途整備していくことが福島県にとって喫緊の課題であります。県として、関係の皆さんのお力を頂きながら、この受入体制の確保にしっかり取り組んでまいります。
【記者】
県内で感染者が増大する中、医療機関の従事者が疲弊しているのではないかと思いますが、今、医療機関の現場の人たちがどういう状況になっているのかについて教えてください。
【知事】
福島県においては、38名の陽性患者が確認され、また、日々多くの検査が行われております。多くの数が陰性ということになっておりますが、この検査も非常に大変であります。まず、電話での相談、それから、(医療)機関において実際にPCR検査を受けるか受けないかの判断、さらに検査を行う方、そして陽性が確認されて入院される方(も出ています)。陽性患者が確認されますと、その濃厚接触者が出てきますので、その方の健康の確認というものも日々行います。それに関係する自治体も日々増えていますので、各市町村の行政負担等々、本当に広がりを見せているところであります。こういった状況が1か月程度続いており、関係の皆さん本当に努力していただいております。改めて、病院あるいは医療施設等の医師、看護師を始め、関係する皆さんに対し、心から敬意と感謝の意を表したいと思います。
現在、保健福祉部等から状況を伺っておりますが、日々24時間、緊張感を持って現場で対応いただいています。やはり、長く続けば続くほど御苦労、御負担というものが強くなってまいります。今後、病床を増やす、軽症者を受け入れる施設をつくるという話をしましたが、いわゆるハード面で、そういったスペースをつくることももちろん大切ですが、実際に現場で働いていただくのは医者であり、看護師であり、サポートする方々であります。こういった方々が、増加する陽性患者の対応にしっかりと重点的に力を割けるよう、例えば、重症者、軽症者を区分していく必要があるという意見も伺っているところであります。
本日午後、医療関係者による調整会議を開催します。正に今現場で、最前線で戦っていただいている医師、看護師、病院等の関係者の方々が集まります。そういった方々の御意見をしっかり受け止めながら、ハード面、ソフト面の双方で、感染防止対策を講じることが出来るよう、広域自治体として真摯に取り組んでまいります。
【記者】
トリチウム水について、先日、経産省の意見を聞く会があり、その場で、知事はトリチウムに関する正確な情報が十分理解されていないとおっしゃっていましたが、これがクリア出来た場合、処理水の放出の容認も検討される考えなのかについて伺います。
【知事】
先週、トリチウム水を含む処理水の取扱いに係る関係者の御意見を伺う場において、その考え方を整理していくに当たっての重要な二つのことについて意見を述べました。一つは、農林水産業、観光業などに関する現状や課題を踏まえた風評対策、もう一つは、トリチウムに関する正確な情報発信です。この二つについて、国及び東京電力が責任を持って取り組むよう求めたところであります。この意見を伺う場においては、県内関係者からも様々な意見が出されたところであります。国及び東京電力においては、引き続き、幅広い関係者の意見を丁寧に伺いながら、慎重に対応方針を検討していただきたいと考えております。
【記者】
その風評対策と情報発信の二つがクリアされた場合は、県として何らかの判断をするということでしょうか。
【知事】
まだ仮定の対応について、県の考え方を申し上げる場面ではないと思います。
【記者】
茨城県の知事が2月に海洋放出に反対し、福島市長も先週、県外での処分が良いのではないかという発言をされました。県民からは、知事も県のトップとして、処分方法について明確な立場を示していただきたいという声がありますが、これについてはどのように考えますか。
【知事】
様々な御意見があろうかと思います。改めて、県としてのこの問題に対する基本スタンスをお答えさせていただきたいと思います。
トリチウムを含む処理水の取扱いについては、今後、政府として対応方針を決定するとしています。県としては、これまで国及び東京電力に対し、環境や風評への影響など、十分に議論の上で、国民や県民に丁寧に説明をしながら、慎重に検討を進めるとともに、トリチウムに関する正確な情報発信と、具体的な風評対策の提示にしっかりと取り組むよう求めてきたところであります。国及び東京電力においては、引き続き、幅広い関係者の意見を丁寧に伺いながら、慎重に対応方針を検討していただきたいと考えております。
【記者】
正確な情報発信と風評対策ということを、知事の中では、どのように位置付けているのでしょうか。捉え方によっては、その処理の前段の条件のようにも聞こえてしまいますが、どのように考えますか。
【知事】
改めて、県としての考え方をお話しします。トリチウムを含む処理水については、二つのことが重要であります。一つは、風評対策です。風評対策がしっかり行われるかどうかに不安を持っている方がたくさんおられます。特に、本県漁業の風評被害は、原発事故に起因する大きな課題であることから、処理水の処分以前の問題として、しっかり風評対策に取り組むことが重要です。もう一つは正確な情報の発信です。多くの方々にトリチウムに関する正しい情報が伝わっていません。トリチウムの科学的な性質など、正確な情報を発信していく必要があると考えています。国及び東京電力においては、正確な情報発信と風評対策、この2点に責任を持って取り組み、引き続き、幅広い関係者の意見を伺いながら、慎重に対応方針を検討していただきたいと考えております。
(終了)
【問合せ先】
1 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238
(軽症者の受入施設に関すること)
→観光交流局観光交流課 電話024-521-7398
2 トリチウムを含む処理水の処分方法について
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252