■日時 令和2年10月5日(月曜日)10時00分~10時25分
■会場 応接室
【発表事項】
1 令和2年国勢調査の回答促進について
【質問事項】
1 「生業訴訟」仙台高裁判決について
2 県民世論調査の結果について
3 デジタル庁の福島県への設置提案について
4 新型コロナウイルス感染症について
5 行政手続きの見直しについて
【発表事項】
令和2年国勢調査が9月14日から始まっています。この調査は、日本に住む全ての人と世帯を対象とする最も重要な調査です。生活環境の改善や防災など、私たちの生活に欠かせない様々な施策に役立てられる大切な調査ですので、県民の皆さんにおいては、10月7日までに回答いただくようお願いします。
回答に当たっては、スマートフォンやパソコンをお持ちの方は、インターネットで24時間いつでも回答可能となっておりますので、是非、御活用ください。
【質問事項】
【記者】
先週の水曜日に、仙台高裁で国の責任を認める判決が出ました。知事の受け止めを教えてください。
【知事】
司法における判断について、県がコメントすることは差し控えますが、これまでの3つの高裁判決を受けて、今後、国に対し判決の内容をしっかりと精査するよう求めてまいります。
原子力損害賠償については、被害者それぞれの立場に立った賠償が、迅速かつ的確になされるよう、県としても取り組んでまいります。国及び東京電力においては、廃炉や福島の復興・再生に最後まで責任を持って対応していただきたいと考えております。
【記者】
先日の山形県、新潟県との三県知事会議でまとめた要望書の中で、法律に国の責任を明記することといった要望があったと思います。知事は、原発事故に関して、国の責任を法律で担保するべきという考えでよろしいですか。
【知事】
先日の三県知事会議の後のぶら下がり会見で同じ趣旨の御質問を頂きました。改めて提言書の内容を確認しておりますが、若干ニュアンスが異なると思います。この件につきましては、担当部局にお問い合わせください件につきましては、担当部局にお問い合わせください。
【記者】
先日、弊社と福島民報社で実施した県民世論調査で、55%以上の方が、政府において震災の風化が進んでいるという回答でした。この結果について、知事の受け止めを教えてください。
【知事】
県民の皆さんにおいては、震災から9年半、10年近くが経つ中、政府に対する思いはそれぞれの地域、立場で様々あるかと思います。大切なことは、東日本大震災と原発事故という複合災害、今までの日本の歴史の中でも前例のない非常に深刻な災害であり、特に原子力災害という側面を持っていることから、政府においては、当然ながら「風化」させることなく、しっかり取り組んでいただくことが何よりも重要だと考えております。
【記者】
その中で、「風化を防ぐために必要なこと」、「県として訴えていきたいこと」について、知事の考えを教えてください。
【知事】
大切なことは現場主義です。国会議員の皆さん、大臣の皆さん、あるいは霞が関の皆さんは東京におられますが、震災から1年、2年、3年と時間が経つにつれ、2011年3月当時の経験をした方、例えば官僚の方々は既におられず、国会議員も、その後の状況を定期的にアップデートすることは簡単ではないと思います。したがって、被災地に、福島に、幾度も足を運んでいただくことが、風化を防ぐために一番重要だと考えています。
先月、菅内閣が発足してから2週間になりますが、この間、非常に多くの閣僚が福島県を訪れています。例えば、菅総理大臣、平沢復興大臣、梶山経済産業大臣、坂本地方創生担当大臣、野上農林水産大臣、赤羽国土交通大臣です。それぞれ地方視察として初めての訪問地に福島県を選んで、実際に来られています。復興大臣は既に3回お会いしております。これ以外にも、小泉環境大臣とはウェブ会議を二度行っており、また、橋本オリンピック・パラリンピック担当大臣とは、電話で復興五輪の在り方について意見交換しております。
菅総理自身が、「菅内閣においては全閣僚が復興大臣だ」ということを言っておられますが、このように2週間で、総理も含む8人もの閣僚に、福島県へ来ていただきました。知事や市町村長、地域の方々と実際に話をして、我々と思いを共有していただくことが風化を防ぐ上で、非常に重要だと考えております。こういった現場主義を、今後とも菅内閣において継続していただくことを期待しております。
【記者】
今回の調査では、GoToトラベル事業の旅行の移動範囲についても聞いています。「県内のみ」や「隣県」という回答がそれぞれ20%程度となった一方で、「県内も含めて控えるべき」という回答も2割程度ありました。GoTo事業に東京も含まれるようになりましたが、知事の考えについて聞かせてください。
【知事】
新型コロナウイルス感染症は、高齢者や既往症、持病を持っておられる方が感染した場合、重症化してしまうおそれがあります。そういった思いも持ちながら、県民の皆さんには、日々「新しい生活様式」の徹底を心掛けていただいていると思います。
そういった中で、GoToトラベルの対象に東京都が追加されることとなりました。国のキャンペーンについては、観光関連産業が新型感染症の影響で極めて深刻な状況にある中で、観光の再生、活性化に向けた取組であると受け止めています。東京が対象となって初めての週末を迎え、県内の宿泊施設において、東京からの宿泊予約が増加していると聞いております。
一方で、先ほどお話がありましたとおり、東京都は依然として相対的に感染リスクが高い地域であります。福島県においても、残念ながら新規感染者が継続して確認されていることから、往来に当たってはより慎重な感染症対策が必要だと考えています。今後とも感染防止対策を徹底し、安心して観光、あるいは日常の生活を楽しめる環境をつくり上げていくことが、県として何よりも大切だと考えております。
【記者】
土曜日に郡山市で行われた公明党大会で、山口代表が「デジタル庁を福島県に創設することを菅総理に提案した」との発言をされました。山口代表からは、「総理も好意的に受け止めている」との発言もありましたが、知事の受け止めについて教えてください。
【知事】
週末に山口代表が福島県を訪問され、「デジタル庁を福島県に設置してはどうか」という提案を頂きました。非常に重要な御提言であると受け止めております。山口代表は、東日本大震災・原発事故以降、幾度も福島県を訪問されています。その上で、知事、市町村長、地域の皆さんの話を直接聞きながら、政府与党の復興施策の中に具体的な提案をされ、その一つ一つが形となり、福島の復興・再生が前進する大きな要素となっていると考えております。山口代表のこれまでの真摯な取組に対して、心から敬意と感謝の意を表したいと思います。
デジタル庁につきましては、国において先月末に準備室が発足し、年内に予定されている基本方針の策定に向け、制度や組織体制等の議論が始まったところです。今後の国の動向を注視してまいります。
【記者】
デジタル庁(設置)の関係で、県としては今後、誘致活動など、何かアクションを起こされる考えはありますか。
【知事】
デジタル庁の全体像はまだこれからという状況であり、国の動向を注視していくことが基本スタンスとなります。その上で、いわゆる東京一極集中についての、福島県としての基本的な考え方をお話しします。
これまで福島県として、東京一極集中を是正し、「多極分散型」の国土形成を図るべきということを長年訴えてきました。私がお仕えした、佐藤栄佐久知事、佐藤雄平知事もこのことを強く訴えてこられましたし、私自身も知事として同じ思いを持っています。その上で、私自身は「多極分散」という言葉の他に、「多極連携」が新しいキーワードになると考えています。
私自身、東京を始めとする大都市の発展は重要であり、今後も大都市が発展していくことについて肯定的に捉えています。併せて、地方がどうやって輝いていくか、これが「多極分散」あるいは「多極連携」の基本的な内容に関わってくると思います。例えば、東京に集中している様々な機能を出来る限り各地域に分散させ、さらに、分散だけでなく連携することも重要だと思っています。(機能が)バラバラになってしまうと、やはり力が弱まります。なぜ都市が出来上がるかというと、人口が集中し、機能が集中することが経済的・社会的にプラスになるからです。多極分散だけでは、これからの時代においては弱いと思います。
令和の時代、ウィズコロナ、ポストコロナの時代において、多極連携型の国土形成は我が国全体にとって大事な概念になるのではないかと思います。そして、多極連携に重要なキーワードが三つあります。一つは主役となる「地方」、そして二つ目は「デジタル化」、三つ目は「地域間交流」です。これまで東京、大阪などの大都市が頑張ってきましたが、これからの主役として地方も頑張っていくことが地方創生の本質だと思っています。実際にどのようにして「多極分散」、「多極連携」するかというと、デジタル化が非常に大きな要素を持つと思います。
現在、多くの人が大学時代に地方から東京に出て行って、社会人になってもそのままとどまるというパターンが多いと思いますが、ウィズコロナにおいて、リモートワークが本格的に出来るようになっています。そうすると、東京に住むのも一つの方法だと思いますが、これからは、地方に住みながらリモートワークをする、仕事を変えることなく、自分で居住地を選ぶことが出来るようになると思います。また、ワーケーションもあります。デジタル化が進展する中で、地方分散、多極分散、多極連携がより一層行いやすくなります。東京と地方が連携することも大事ですし、地方と地方、あるいは地方と世界が連携することもデジタル化の推進によって可能になります。
二つ目のキーワード、「デジタル化」について、デジタル化はオンラインですが、オンラインだけで全部出来るとは思いません。先ほど、地域間交流の話をしましたが、GoToトラベル事業も含め、もちろん感染症対策はした上で、日本の方も世界の方も、例えば観光や出張などで他の地域に行き、実際にその土地に行って学ぶことで、自分自身の生活やアイデアを非常に豊かにすることが出来ます。先ほど、現場主義の話をしましたが、様々な施策を進めていく上で、実際に他の地域に行って生で見て感じることで自分自身が大きく成長できると思います。したがって、多極連携の議論をする時に、全部デジタルに置き換えるのではなく、国内での双方向の交流をより一層盛んにしていく必要があると思っています。世界との関係も同じだと思います。
多極連携型の日本をつくっていくために、地方が主体となり、デジタル化を進め、地域間交流を進めていくことで、より日本全体が力強く成長していけるのではないかという思いを持っております。こうしたことが、地方創生の本質であると思います。今後、政府や与党の方と様々な協議や議論を行う場面があるかと思いますが、福島県の考えも訴えながら、腰を据えて取り組んでいきたいと思います。
【記者】
コロナ関係で、陽性患者に対する差別や誹謗中傷などの話をよく聞きます。県内を見ると、白河市で「思いやり条例」を制定するなどの動きがありますが、そういった自治体の動きを踏まえ、県としての動きなどがあれば教えてください。
【知事】
偏見、差別をどのように防ぐかということは非常に重要であり、白河市の取組は大切だと思います。
福島県は2011年に、地震、津波、原発事故に見舞われ、この原発事故に起因する差別、偏見、誹謗中傷により、当時生活されていた福島県の方々、あるいは今も心の傷が残っている方が多くおられると思います。
誤解に基づいた偏見や誹謗中傷は絶対してはいけないと思います。このことは、私自身、本部員会議で毎回話しており、この会見の場でも訴えています。県民の方に、あの時のつらさを考えれば、相手に対し、いたずらに誹謗中傷することがあってはいけないし、ましてや根拠のない噂をネット等に流すことは絶対にしてはいけないということを、これからも何度も訴えていきたいと思います。
(誹謗中傷は)当然、当事者の心に非常に深い傷をもたらし、周りの御家族、地域の方々も、非常につらい思いをされています。その方が通っている学校、あるいは会社もその状態から抜け出していないというのが現実です。
それに加え、(誹謗中傷には)もう一つ大きなデメリットがあります。自分が陽性患者となった場合、プライバシーに関する情報が表に出れば出るほどバッシングされるということを分かっているため、最近感染された方は、保健所等でお話を伺っても話すことを嫌がるという傾向が強くなっていると感じています。あるいは、話したとしても、「公にするのはやめて欲しい」と言われます。結果として、以前に比べると情報が出づらくなっています。これはマスコミがどうだということではなくて、ネット等を中心に誹謗中傷がある中で、結果として、感染された方が情報を出すことを萎縮し、これが次の感染を防ぐことのマイナス要因になっているというのが私自身の印象です。これは、他県でも同様であると聞いております。したがって、偏見、差別、誹謗中傷については、原発事故に見舞われて、過去9年半にわたって風評に苦しみ、しかも今でも苦しんでいる福島県民としては、やめていく。福島県民は、穏やかで優しいという県民性です。陽性患者になりたくてなった方はおられませんので、思いやりの心を持って接していただけるよう、これからも私自身、丁寧に伝え続けていきたいと考えております。
【記者】
前回の会見でも質問のあった「脱ハンコ」について、行政手続での印鑑使用を中央省庁全体で原則廃止しようという動きが進んでいます。これはデジタル化にもつながる動きであり、自治体においても、同様の動きが出始めました。押印を省略するという動きについて、知事はどのように受け止めておられますか。
【知事】
私自身、昭和、平成、令和と公務員等として働いておりますが、これまでの30数年の経験で、役所の仕事として、押印をベースとした様々な証明事務などが、国も地方自治体もベースになっているということを実感しております。
今回、菅内閣がスタートして、「そこを大胆に変えていこう」という姿勢に基本的に賛同しております。したがって、今後、国のデジタル化の進展に合わせて、福島県も同様の対応を取ることが出来るよう、既に先月、県庁内において、行政手続をデジタル化する準備を進めていくことについて指示をしているところです。今後、国や先行的な取組をされている各地方自治体の動きも学びながら、福島県として、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
【記者】
知事も、ただ押すだけという押印については不要と考えており、業務効率化につなげるには、(押印を)無くしてもいいのではないかと考えているということでしょうか。
【知事】
これまで押印は、法律、規則等において制度上必要であり、本人確認や認証のために必要であるという位置付けで行われてきたと受け止めています。一方で、昭和、平成の前半の時代と異なり、今、劇的にデジタル化が進んでいます。そういう中で、従来の制度を見直していくことは当然あり得ると思っており、国、各自治体と連携し、デジタル化に向けて進んでいきたいと考えております。
(終了)
【問合せ先】
○発表事項
令和2年国勢調査の回答促進について
→企画調整部統計課 電話024-521-7145
○質問事項
1 「生業訴訟」仙台高裁判決について
(原発事故に関すること)
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
(賠償に関すること)
→避難地域復興局原子力損害対策課 電話024-521-7103
2 県民世論調査の結果について
(政府における震災の風化に関すること)
→企画調整部企画調整課 電話024-521-7110
(県内観光業に関すること)
→観光交流局観光交流課 電話024-521-7286
3 デジタル庁の福島県への設置提案について
→企画調整部企画調整課 電話024-521-7110
4 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238
5 行政手続きの見直しについて
→総務部行政経営課 電話024-521-7093