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知事記者会見 令和2年9月14日(月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年9月16日更新

知事定例記者会見

■日時 令和2年 9月14日(月曜日)10時00分~10時25分
■会場 応接室

【質問事項】
1 野生イノシシの豚熱の感染への対応について
2 トリチウム水の処分方法について
3 新型コロナウイルス感染症について
4 自民党総裁選について

令和2年9月14日 福島県 知事   動画を再生する

 

【質問事項】

1  野生イノシシの豚熱の感染への対応について

【記者】
 先週、県内で初めて野生イノシシの豚熱が確認されましたが、知事の受け止めと、今週にもワクチン接種が開始されることになっていますが、具体的な日時について教えてください。

【知事】
 今回の感染について、危機意識を持っております。県内において野生イノシシの豚熱の感染が確認されたことから、9月10日に連絡会議を開催し、今回の感染事例について情報を共有するなど、今後の対応を確認したところです。今回、感染が確認されたイノシシの発見地点から半径10キロメートル以内の区域を家畜の移動制限区域に設定するとともに、区域内の養豚農場など3施設について立ち入り調査を実施し、異常がないことを確認しております。
 また、県内の養豚農場全戸に対して、死亡野生イノシシで豚熱感染が確認されたことを周知するとともに、消毒の徹底や飼育する豚等の健康観察、野生動物との接触防止などの飼養衛生管理基準の遵守を指示したところです。
 会津地域におけるワクチン接種については、9月11日、接種プログラムが国に承認されたことから、移動制限区域内に所在している2つの農場から開始し、本日から9月17日までの4日間で実施する予定です。他地域におけるワクチン接種については、国の早期承認を目指し、準備を進めてまいります。
 県内全ての養豚場において、一刻も早くワクチン接種を完了させ、本県の畜産業を守るため、関係団体や市町村と協力し、感染拡大の防止に取り組んでまいります。

2 トリチウム水の処分方法について

【記者】
 福島第一原発のいわゆるALPS処理水についてお尋ねします。県内の市町村議会から、タンクへの保管継続を求める声がある一方で、先週、福島市議会定例会で、木幡市長が「福島以外の海への放出が望ましい」と述べられました。陸上保管の継続、海洋放出、大気放出など、いろいろな方策が挙げられていますが、知事はどれが望ましいと考えますか。

【知事】
 これまで国による「意見を伺う場」、あるいはパブリックコメント等において、様々な御意見等が提出されているところです。今回の問題について大事なことは、「処理水の取扱いによって、結果として、新たな風評が発生するのではないか」という懸念が根底にあるかと思います。トリチウムを含む処理水の取扱いについては、これまで長期間にわたって議論を行ってきた国の小委員会の提言内容を踏まえ、政府において対応方針を決定するとされております。福島県としては、引き続き、国及び東京電力の責任において、これまで出された様々な意見を踏まえ、慎重に対応方針を検討していただきたいと考えております。

【記者】
 今の発言ですと、海洋放出、陸上(保管)継続などについて、知事御自身のどれが良いといった回答ではなかったと思います。これまでの議会の答弁や「意見を伺う場」に知事が出席された際においても、具体的な処分方法への賛否は述べてこられなかったと思いますが、知事が慎重に発言されている理由、賛否を述べられない理由があればお伺いします。

【知事】
 今回の処理水の問題は、福島第一原発の廃炉を未来に向けて進めていく上で、非常に重要な問題であり、また困難な課題であると考えております。様々な御意見があることを見ても分かるとおり、この問題は、簡単に一つの方向性を示すことが出来ない問題だと思います。こういった中、県として、あるいは知事として、これまで様々な場において発言してきましたが、先ほど申し上げたスタンスで、国と東京電力に対してこれからも臨んでいきたいと思います。

【記者】
 知事が明確に放出への賛否を示されない理由は、こういった意見や議論への配慮ということでしょうか。

【知事】
 ただ今申し上げたとおりです。

【記者】
 放出の準備に2年程度かかると言われている中、今年の夏が、国の方針決定のタイムリミットではないかと言われていましたが、(結論が出ないまま)9月に入りました。準備期間を削らざるを得ないフェーズに入ったと思っておりますが、知事は、現状で国の方針決定が遅れているという認識をお持ちでしょうか。また、その認識があるとしたら、どういった悪影響が今後懸念されると思いますか。

【知事】
 これまで県としては、いわゆるスケジュール感については意見してこなかったと思います。現在、政府においては、自民党の総裁選も含め、状況が大きく変わっていると思います。国が、この困難で重要な問題に対して、政府として、あるいは総理として、どのように臨んでいくかが問われていると思います。今後の政府の状況を福島県として、注視してまいります。

【記者】
 トリチウム水の関係で、簡単に方向性を示すことが出来ないという話がありましたが、帰還が始まっている大熊町、双葉町で陸上保管を続けるのは困るという気持ちも大変理解できますし、また、請戸漁港で水揚げをしている漁業者の方々が、海洋に流されたら困ると強く思われる気持ちもよく分かります。
 復興が進んでいるが故に、様々な思いを抱える方が増えて、その気持ちが強くなっている中、両方の立場の県民を抱える広域自治体として、態度の決定は非常に悩ましいものがあると推察しておりますが、復興が進んでいる状況が判断に与える影響について教えてください。

【知事】
 ただ今のお話は、非常に共感するものがございます。お答えしたとおり、今回の処理水の問題は、非常に複雑で、簡単に答えを見つけ出すことが出来ない問題だと捉えております。中間貯蔵施設の問題についても、非常に類似の部分がありました。当時、福島県の多くの市町村が、福島第一原発事故によって、放射性物質で汚染されました。その後、除染が進み、結果として、大量のフレコンバッグが、一部は学校の校庭に、一部は仮置場に大きく積み上がり、一部は御自宅の庭の片隅に埋められているという状況にありました。当時、避難区域以外の県民の方々からは、「出来るだけ早く目の前にあるフレコンバッグをどこかへ運び出して欲しい、早く決めて欲しい」という悲痛な思いがありました。結果として、大熊町と双葉町に中間貯蔵施設を、楢葉町と富岡町に特定廃棄物の最終処分場の設置を御理解いただき、決定しましたが、この決定には非常に長い期間、丁寧な議論を行いました。
 私自身、副知事として、知事として、この中間貯蔵施設等の問題に真正面から向き合いましたが、県全体で様々な御意見もありますし、一方で、結果として立地町となった大熊町、双葉町、楢葉町、富岡町、あるいはその4町を抱える双葉郡の皆さんの気持ちは、かなり乖離していたと思います。
 原子力災害に伴う問題というのは、自然災害から復旧を目指すのとは異なり、誰かが重い負担を被ることとなる、「NIMBY(not in my backyard,自分の家の裏には置かないでくれ)」という問題で、どうしてもそういった側面があります。原子力災害からの復興に向けて一つの道筋をつけるのがどれだけ難しいかということを、中間貯蔵施設の時に広域自治体の幹部として感じてきました。それが今回の処理水問題にも非常に共通する部分があるというのが率直な思いであります。

【記者】
 いろいろな処分方法に関しての賛否を示す必要があるのではないかといった質問に、現状では簡単に一つの方向性を示すのは難しいのかもしれませんが、いずれ、国と東電の責任において対応方針が決められると思います。国と東電が、例えば、陸上保管、海上放流などを示した段階で、県として賛否の判断をする考えはありますでしょうか。その時点においても、県としては何も判断を示さないということでしょうか。                

【知事】
 お話しいただいたことは、その時点においての重要な一つの方向性になろうかと思います。政府としての方向性が出るのであれば、それに対し、福島県、広域自治体としての考え方を明確に申し上げることになると思います。

【記者】
 先ほどのNIMBYの話で、県内の誰かが重い負担を強いられてしまうということを知事は指摘されていました。日本全体の原子力政策で言うと、県内の原子力発電所は廃炉が決まっていますが、他県を見ると原子力発電所はまだあります。原子力発電所に関しては、「うちの裏庭には置かないで欲しい」と福島県が言っているとも思えますが、これについて知事はどのように考えますか。

【知事】
 今のお話については、一つの御意見としてしっかり受け止めさせていただきます。
 私が先ほど、県内で様々な意見があって非常にジレンマがあったという話は、中間貯蔵施設についての話であります。処理水の問題や原発の再稼働の議論については、日本全体の問題として、今、議論が進められております。これについても、それぞれの地域によって、それぞれの考えがあろうかと思います。
 福島県において、震災・原発事故以降、県内原発10基の全基廃炉について、国あるいは東京電力に対して明確に申し上げてきた根源は、2011年3月11日から約1週間の間に3基の原発が水素爆発を起こし、それによって福島県内、他県も含めた非常に広域のエリアに放射性物質が降り注ぎ、その結果、広い範囲にわたって避難区域が設定され、多くの県民が避難をせざるを得ない状況になりました。そこから、今、避難指示の解除がある程度進んでいますが、避難指示が解除されたからといって、そのまま復興ができる訳ではないということを、皆さんよく御存知だと思います。
 福島第一原発の事故という、世界でも類を見ない、過酷な事故に見舞われた福島県として、原子力に依存しない社会を、県の復興ビジョンとして真剣に向き合って考えていきたいということで、県議会の御理解を頂いた上で、再生可能エネルギー100%を目指して、今、努力を続けているところであります。
 福島県の考えは、こういった考え方であり、他県は他県で、政府は政府で、それぞれの立場の御意見があろうかと思いますが、忘れてはいけないことは、2011年に、日本において福島第一原発による非常に過酷な事故があったということです。そして、住民の安全・安心を最優先にしなければならないということ。この点を念頭に、今後の対応を進めていただかなければと思います。

3 新型コロナウイルス感染症について

【記者】
 先日、会津医療センターで院内感染が確認され、クラスターにも認定されました。院内感染ですと重症化のリスクもあるかと思いますが、知事の受け止めを伺います。

【知事】
 先日、会津医療センターにおいてクラスター感染が発生しました。最前線で感染症対策に当たっておられる医療機関でのクラスターの発生は、福島県内では初めてであり、大変重く受け止めております。
 会津医療センターからは、速やかな感染収束を図るため、保健所の指導のもと、接触者の把握など、積極的な疫学調査を迅速に進めるとともに、改めて院内の感染防止対策を確認して、防護策を強化するなど、必要な対策を最大限講じると聞いております。
 県としても、医療機関でクラスターが発生したことへの危機感をより強めながら、関係機関と緊密に連携しながら、感染拡大の防止に取り組んでまいります。

【記者】
 今後、(県内で)164あるかかりつけ医でも新型コロナウイルスの検査が可能になります。検査体制が強化される一方、院内感染のリスクが懸念されると思いますが、県としてどのような対策を考えておりますか。

【知事】
 県と164の一般診療所等で、保険診療の際に検査費用の負担を患者に求めない集合契約を締結しております。一番のポイントは、今後、秋冬にかけてインフルエンザの流行期に入ります。症状だけで新型コロナウイルス感染症であるか否かを診断することは難しいと思われるため、かかりつけ医など、身近な医療機関において必要な感染予防対策を講じた上で、検査できる体制を構築することが重要です。県としては、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえながら、更なる医療提供体制の確保と検査体制の拡充を図っていきます。
 また、インフルエンザのワクチン接種については、重症化予防の観点から、高齢者などに対し、積極的に推進していく必要があると考えています。
 さらに、今回の会津医療センターのクラスターの状況を踏まえ、一般診療所等で今後対応していただく際、より安全な対応について、更に検討を進めていきたいと思います。

【記者】
 今月に入ってから昨日までに47人の感染が確認されていて、先月を上回るペースで進んでいることもあり、第2波の状況が継続していると思いますが、知事の認識と、県民への呼び掛けをお願いします。

【知事】
 新型コロナウイルス感染症については、連日、全国で多くの感染者が確認されており、県内においても、先日、緊急事態宣言解除後では最多となる、1日当たり8名の新規感染者が確認され、累計の感染者数が200名を超えて、208名となったところであります。
 先月には、緊急事態宣言下にあった4月を上回り、1か月としては、これまでの最多となる72名の新規感染者が確認され、今月に入ってからも連日、感染者が確認され、現在、13日時点においては、先月のペースを上回っている状況にあります。
 この間、先ほどお話しした会津医療センターも含め、4件のクラスターが発生するなど、福島県は依然として厳しい状況にあると考えております。全国においては、全体として第2波が収まりつつある状況だと言われていますが、福島県は残念ながら、依然として第2波の状況にあると言わざるを得ないと思います。
 感染状況の更なる悪化を食い止めるためには、県民の皆さん一人一人の取組が大変重要となります。改めて、強い危機意識を持っていただいて、マスクの着用や手洗いを励行する、3密を回避するといった「新しい生活様式」の徹底、継続をお願いしたいと思います。また、仮に発熱など体調の異常を感じられた時には、通勤や通学を始め、外出をしないで、速やかに帰国者・接触者相談センターに連絡していただくようお願いいたします。 
 一方、検査状況、入院体制でありますが、現在、医療提供体制は十分に確保しております。例えば、現時点において入院されている方は、全体の病床に対する割合の約10%になります。したがって、第1波のときの4割、5割というレベルに比べますと、非常に落ち着いた状態であります。また、検査も1日600の検査体制を続けることが可能でありますので、今、検査体制や入院体制に支障がある訳ではありません。しかし、第2波が継続している厳しい状況でありますので、県民の皆さん、事業者の皆さんには、是非、「新しい生活様式」の徹底をお願いしたいと思います。

4  自民党総裁選について

【記者】
 「総裁選の後に衆議院を解散するのではないか」という発言が各閣僚からありましたが、トリチウム水の処分方法も中々決まらず、また、県内や国内でコロナウイルスの感染者がまだ増加している中で、今年中に衆議院を解散する必要性について、知事はどう考えますか。

【知事】
 自民党総裁選の投開票は、本日これから行われます。総理の選出も今週水曜日に予定されている状況ですので、衆議院の解散について、この場で言及することは控えさせていただきます。
 日本の新しいリーダーが今後、決まっていきます。そのリーダーにおかれては、まずは新型コロナウイルス感染症という国難に向き合っていただき、感染の拡大防止と経済の再生、この両立を何としても進めていただきたいと思います。併せて、外交・安全保障、社会保障の問題、地方創生など、日本政府が抱えている様々な難しい問題に対して、しっかり対応していただきたいと思います。
 特に、福島県としては、東日本大震災・原発事故、あるいは昨年の東日本台風等からの復旧・復興、さらに、福島県の地方創生という最重要課題があります。こういった問題について、是非、私たちと心を一つにして、政府が重要課題として真摯に向き合っていただくことを期待しております。

 (終了)

【問合せ先】                               

○質問事項

1 野生イノシシの豚熱の感染への対応について
→農林水産部畜産課 電話024-521-7361

2 トリチウム水の処分方法について
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252

3 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238