【質問事項】
【記者】
13日からの県民への不要不急の外出自粛要請をしてから、2週間位が経過しました。折り返しといえる現在の県内の感染状況について、知事の受け止めをお伺いします。
【知事】
現在の県内の感染状況は、ステージで言いますと、引き続き、ステージ3相当の状況が続いているというのが現実かと思います。今なお予断を許さない状況が続いています。その上で、その中身について、数字も含めて具体的に話をしたいと思います。
今月、1月13日から、県民の皆さん、事業者の皆さんに緊急対策をお願いしました。その後、新規感染者数の発生という面では、一定の改善傾向が見られていると思います。この改善傾向につきましては、県民の皆さん、事業者の皆さんに大変な御不便、御負担をお掛けしているところであり、お一人お一人、あるいは事業者それぞれの御努力、御協力の賜であります。心から感謝を申し上げます。
その上で、先ほど、まだステージ3相当で予断を許さないという話をしました。現時点での様々な指標を見ますと、6つの指標の中で、依然として深刻なのは、病床のひっ迫割合です。現時点において、最大469床に対し、入院者の割合は56.5%であります。即応病床350床に対する割合は75.7%で、いずれも高く、残念ながらステージ4の水準に当たります。また、県内の療養者数ですが、これも現時点においては、ステージ3の水準にあるという現実があります。
一方で、先ほど申し上げたとおり、新規感染者数は一定の改善傾向にありますが、それも一進一退の状況が続いていると思います。1月13日に公表した感染者数が38名、1月13日から4日間で、38名、36名、37名、38名と、いずれも30名台後半と高い水準でありました。直近の1週間は、若干落ち着き傾向にあり、例えば、1月18日、20日、21日は、それぞれ14名、16名、14名と、感染者が落ち着いた傾向もありました。一方で、1月19日と1月22日を見ますと、35名、36名であり、30名台の半ばから後半というレベルであります。したがって、感染者数が10名台という時もありますが、まだ30名台が確認されている状況もありますので、感染が落ち着いたとは中々言えない状況だと思います。
特に、これまであまり感染が見られなかった南会津地域において、施設のクラスターも含めて非常に多くの感染者が出ており、人口当たりで見ますと、かなりウエートが高く、厳しい状況にあります。
もう一点、気を付けなければいけないのが、重症者用病床に占める比率についてであります。先週の1月22日、23日の2日間、重症者の方が12名おられました。重傷者用病床50床に対する占める比率では24.0%となっており、20%以上でステージ3に該当しますので、この2日間においてはステージ3に該当している状況であります。したがって、全体としての感染者数については改善傾向ですが、指標そのものが根本的に変わっていない。先ほど、即応病床に対する比率は75.7%と言いましたが、(受入可能な病床は)大体80名から90名程度の幅しかありません。したがって、30名、40名クラスの新規感染者が2日、3日続けば、あっという間にこの即応病床が埋まる可能性もあります。
こういった状況を見ますと、今なお、福島県はステージ3相当の水準が続いていて、予断を許さない状況にあるというのが私の考えです。
【記者】
もう一点お聞きします。知事が要請を発表した時、まず感染対策が先であるとおっしゃっていました。今、折り返しの時期を迎えて、2月7日以降については、どのようなお考えでしょうか。
【知事】
今後の方向性については、新規陽性者の減少による病床のひっ迫状況の具体的な数字を申し上げましたが、こういったものが改善され、医療提供体制が十分に安定的に確保できるようになるなど、指標の推移も考慮した上で総合的に判断することとなります。
一方で、全国においては、今なお感染拡大の状況が続いており、緊急事態宣言の対象地域が多数ある現状ですので、今日の段階において、具体的に方向性を言及できる段階にはないかと思います。
【記者】
先週、コロナの特措法と感染症法の改正案が閣議決定されました。
先週の会見で、知事は、その実効性を高めることと、協力金の在り方をより強固にすることをおっしゃっていました。改正案の内容をどう評価されているかということと、感染症法の改正案では、入院を拒否した場合に刑事罰を科すという内容で、やり過ぎだという指摘も出ていますが、これについての所感を教えてください。
【知事】
より実効性がある感染防止対策を講じていくために、その補償としての協力金や、罰則規定等の法的措置などについて、これまで、全国知事会を通じて、福島県としても国に求めてきたところです。
今回の改正案においては、営業時間短縮の要請等の影響を受けた事業者に対する支援措置が盛り込まれることとなっております。対策の実効性が高まることが期待されます。なお、罰則規定ですが、様々な御意見もございますので、国会における審議を注視していきたいと思います。
また、感染症法の関係ですが、今回の改正案は、新型コロナウイルス感染症において課題とされていた内容に対応するため、より実効性のある対策を機能的に講じられるよう、国や都道府県の権限が強化される内容となっております。その中では、罰則の新設や新たな勧告、公表といった内容が検討されています。新型感染症に国民が一丸となって取り組む必要性が背景にあると認識しております。今後の改正案の国会における審議経過を注視してまいります。
【記者】
南会津の二つのクラスター等についてお伺いします。現状では、2度目のPCR検査により、更に感染が拡大する状況が続いています。そういった中で、南会津病院の外来の休止などもありますが、県として南会津地域に対して、どのような支援を行っていくのか教えてください。
【知事】
一昨日、南会津病院の医師が新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。これに伴い、現在、入院患者や職員全員のPCR検査を進めております。院内での感染を防ぎ、万全の体制とするため、当面の間、通常の診療体制を一部縮小して対応することといたしました。その上で、今後も人工透析や地域外来といった機能は維持するとともに、電話による再診患者への診療を行うほか、救急患者や陽性患者の受け入れについても、可能な範囲で継続するなど、地域医療への影響が最小限となるよう取り組んでまいります。
【記者】
病院数も限られている中で、外来等にも影響が出始めていると思います。コロナの影響で病院の休止というのはこれまでもありましたが、医療機関での対策の難しさについて、知事はどのように考えますか。
【知事】
これまでも、県内の医療機関においてクラスターが何件か発生しております。一度、医療機関でクラスターが発生することによって、その病院に勤務されている医師、看護師、また、入院をされている患者の皆さん、通院されている外来患者の皆さん、さらには、その病院が例えば二次救急を担っていたり、地域の中核的な役割、特に南会津病院の場合は、オンリーワンということもあり、非常に重い役割を担っているわけですが、そういったものがしばらくの間、停止してしまうことは、極めて重い問題であります。
昨年の春頃から、この感染症が拡大していく中で、各病院において、医療スタッフの皆さんは、自分自身の感染防護対策をしっかり行っていただいていると思います。ただ、今回もそうですが、多くの患者さんが発生し、極めて多忙な状況の中、結果として感染が拡大するというのが今の厳しい現実であろうかと思います。
改めて、医療機関や介護施設、高齢者対応の施設等に対して、今、どういった場面でクラスターや感染が発生しているのかといった点、また、より気を付けていただきたい点をお願いしているところでございます。
ひとたび発生した場合には、とにかく全体でサポートすることが極めて重要です。南会津病院の場合は、地域的、地理的な部分もありますので、県、医科大学、あるいは会津地域のマンパワーを含めて全面的にサポートし、地域医療を支えることが何よりも重要です。発生してしまった場合には全面的にサポートする、また、発生しないよう、より皆さんに様々な場面で対応していただく、この2点に留意していきたいと思います。
【記者】
コロナのワクチンについて伺います。医療関係者から(接種が)始まって、最後は希望する一般の方まで届くと思いますが、スケジュール感について改めて教えていただきたいのと、ワクチンの性質上、集団接種なども求められそうですが、その対応や、いわゆる過疎地の人出不足や医師不足、これに対する対応などの考えを教えてください。
【知事】
重要な御質問です。まず、スケジュール感ですが、これは県民の皆さんにとっても、国民の皆さんにとっても、一番の関心事だと思います。ただ、今日この段階で、私自身がスケジュール感について申し上げる材料はありません。
御承知のとおり、今、政府においても、ワクチンの今後の提供体制等について、必ずしも明確ではなく、担当の幹部によって発言のニュアンスが異なるという現実があります。そういう中で、私ども、知事会もそうですが、出来るだけワクチン接種に関するスケジュール、また、供給体制やフリーザーの問題、あるいは都市部、地方部における接種体制をどうするのか、そういったことに対する具体的な内容を速やかに示していただけるように、再三お願いしているところです。先週、担当の副大臣と直接話をしております。
また、御指摘がありましたが、過疎・中山間地域は、高齢の方が多く、点在されております。先週の22日金曜日に町村会役員と意見交換を行っておりますが、そこでも、町長さん、村長さんから、御指摘いただいたような点について、出来るだけ早く分かりやすく整理をして示して欲しいというお話を頂いており、私も是非対応したいと思っております。
そのためにも、やはり国で最低限の骨格を示していただくことが重要ですが、中々示していただけないという現実もあり、相馬市、福島市、郡山市においては、既に一定の仮定を置いた上でのシミュレーションもされています。各県においても、仮定の上で、一定のシミュレーションを行っておられるようですので、そういった情報も収集しながら、出来るだけ早く市町村に対して具体的なイメージを共有できるように、また、医師、医療スタッフの確保等は、59の市町村全てで状況が異なってくると思いますので、それぞれの状況に合わせて、県が、医師会や病院関係者、医大、こういった方々とも相談しながら、サポートしていくことが重要かと思います。
そういった視点で、県としては、スピード感を持って取り組んでいきたいと思います。
【記者】
東京五輪の開幕まで半年を切りました。新型コロナウイルスの社会的な感染が止まらない中で、海外メディアからは、日本政府が五輪中止を非公式に決めたという報道も出ています。世論調査でも中止や延期を求める声が7割から8割に上っておりますが、こうした国民や県民の声をどのように受け止めていますか。
【知事】
東京オリンピック・パラリンピックの今後の方向性について、様々な報道や各種調査が行われている状況を拝見しております。
従来から申し上げているとおり、福島県は聖火リレーのグランドスタートの地であり、野球・ソフトボール競技の開催地であるといった重要な役割を担っており、組織委員会、政府等と連携しながら、着実に準備を進めてまいります。
一方で、今の新型コロナウイルス感染症の状況が様々な御意見の根本になっていると思います。福島県としては、先ほど申し上げたとおり、県内の感染状況がステージ3相当という厳しい状況にありますので、まず、これを何としても改善して、医療提供体制を安定的にしていきたいと思っております。また、国全体で今の厳しい状況を乗り越えていくことが、極めて重要だと考えております。
【記者】
3月からいよいよ聖火リレーが始まります。昨年は、リレー開始2日前に延期が決まり、沿道警備のキャンセル料など2億5千万円を負担することになりました。今回も中止や延期の判断がギリギリになりますと、自治体がキャンセル料などの負担を強いられかねない状況になると思いますが、知事としては、中止や延期をする場合、どれぐらい前には判断して欲しいと考えますか。
【知事】
現在、聖火リレーの運用の状況、あるいは、その後のオリンピック本番における対応等について、組織委員会や政府と緊密に連携を取りながら準備を進めております。県としては、昨年の経験もありますので、速やかに決定していただけるとありがたいと考えております。
一方で、新型感染症の状況は流動的であります。現在、2月7日までの緊急事態宣言が11の自治体に対し発出されておりますが、まずは今後の対応を見極めていかなければならないと思いますし、恐らく今回においても、こういった様々な判断はギリギリまでかかってしまう可能性もあろうかと思います。
県としては、出来るだけ早く方向性を固めていただきたいという思いを持っておりますし、そういった趣旨を組織委員会や政府にお伝えしておりますが、やはり、新型感染症との闘いということで、流動的な側面があり、あらゆる選択肢を念頭に置いて準備を進めていかなければいけないと考えております。
【記者】
知事はこれまで、五輪を通して福島の復興の現状を国内外に発信していきたい、風評被害を払拭するためには、実際に福島に来て、見てもらうことが最も重要だとおっしゃっていました。
海外からの出入国制限が続く中、知事としては、海外からお客さんに来て欲しいという思いはあると思いますが、五輪を開催する上で、選手や関係者、海外からの観光客も受け入れるべきと考えますか。
【知事】
昨年の1月時点では、国内外から多くの方々に東京五輪のみならず、福島の地にも来ていただいて、見て、感じて、食べて、福島県の復興が9年余りでここまで進んでいるということを感じていただきたいと訴えていたと思います。
ただ、今日の時点で思いをお話しますと、残念ながら異なります。今後、様々な状況を改善していく中で、聖火リレーを一定の形で開催するにしても、恐らく世界から(多く)の方々が、入ってくる状況にはならないであろうというのが率直な思いであります。
したがって、今、聖火リレーあるいはその後の東京オリンピック・パラリンピック(を開催する上)でも乗り越えなければならないハードルは、新型コロナウイルス感染症対策を十分講じた上で(開催する)ということになろうかと思います。
そういった点を勘案しますと、本来であれば、震災・原発事故から10年の福島ですので、様々な形で大きく発信を行っていきたいという思いは心の中にありますが、現実的には、中々対応できないかなという思いがあります。
【記者】
五輪の関係で伺います。世界から大勢の人が入ってくるという1年前の想定はなくなったというのは、その通りだと思いますが、その中で、仮に予定どおりに聖火リレーや各地でのオリンピックが開催される場合、復興五輪という位置付けをどこで担保するのかが非常に難しくなってくると思います。福島に来てください、見てくださいというのが難しいとなれば、メインの開催地である東京で、復興状況の発信を最大限増やすなどの対応も考えなければいけないと思いますが、1年前の想定と変わった状況を踏まえ、復興五輪の位置付けを、どういった場面で担保していきたいと考えますか。
【知事】
非常に重要な御指摘、御意見だと思います。1年前の状況と今の状況は劇的に変わってしまいました。我々が想定していた復興五輪では、福島の復興がここまで前に進んでいる、一方で、課題があるということの両方を発信したいと考えておりました。本来であれば現地に来ていただくことがベストですが、現在、海外の方どころか、国内の方も含めて、往来が中々難しいというのが実情かと思います。
そういう中で、今後は、聖火リレーをどういう形でやるのかということともリンクしますが、昨年に比べると難しい部分はあるものの、出来る限り、福島の今、あるいは復興が進んでいる姿、一方で、まだ長い戦いで課題を抱えているという点を、工夫しながら発信していきたいと思います。オンラインでの対応ということも考えられますし、私自身も、この2月、3月に、様々な場面で発信する機会がありますので、そういった場面を積極的に活用したいと思います。
また、御意見を頂きましたが、東京には一定程度の人が集まって来られます。そういう場面における発信の仕方の工夫もあろうかと思います。今回の東京オリンピック・パラリンピックが復興五輪であるという位置付けは、政府、東京都、組織委員会においても間違いなく共有できていると思います。この新型感染症の中、福島の現場で十分対応できない部分について、工夫できることはあるかもしれません。現時点において考えておりますのは、例えば、GAP認証した福島産の食材を東京オリンピックの選手村等で使っていただき、皆さんに食べていただく。あるいは、福島で作られた花を飾ることによっておもてなしを行う。あるいは、福島県産の木材が各施設に使われております。こういったPRをするということも一つの手法かと思いますが、それに加えて何が出来るかということも重要な視点ですので、今後の感染症の状況を見ながら、復興五輪(という位置付け)が薄まることがないように、関係の皆さんと知恵と工夫を出し合いながら、努力を続けていきたいと思います。
(終了)
【問合せ先】
○質問事項
1 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238
(南会津病院の対応に関すること)
→病院局病院経営課 電話024-521-7859
2 東京オリンピック・パラリンピックについて
→オリンピック・パラリンピック推進室 電話024-521-8671