【質問事項】
【記者】
新型コロナウイルス感染症の(受入)病床について伺います。
まず、指標もだいぶ改善しておりますが、現在の県内状況についての評価を伺います。
また、知事は通常医療とのバランスについて重視されていますが、今、496床で運用している確保病床、即応病床について、今後、段階的に引き下げていくのか、考えを伺います。
【知事】
まず、現在の福島県内における各指標の状況について、七つの区分がありますが、その中で、「病床の使用率」はステージ3、それ以外の指標についてはステージ2以下という状況にあります。したがって、県全体の総合判断としては、ステージ2相当だと考えています。
これは先週の数値でありますが、1週間前と比べても、基本的に指標は良くなってきています。特に今、御質問がありました「病床の使用率」は、一時期、90%を超えるという異常な数値でありましたが、現在は20.6%ということで、ステージ2の水準に近づいてきたという状況にあります。
改めて、先月に非常事態宣言を発出しまして、この間、県民の皆さん、事業者の皆さんには、感染拡大防止に向けて大変な御尽力を頂いており、心から感謝を申し上げたいと思います。
ただ一方で、例えば、感染経路の不明割合ですが、現在43.5%となっており、50%に近い水準が継続しております。変異株がまん延していること、感染経路の不明割合が高いということを踏まえますと、ひとたび状況が悪化してクラスターが発生した場合、急速な感染拡大につながりかねないという状況でもありますので、常に気を引き締めて、感染対策に努めていく必要があると考えております。
そうした中で、現在の病床の状況でありますが、入院病床については496床、また、療養施設としてホテルの277室を確保しております。これはある意味、第4波で福島県が非常事態宣言を出さざるを得ないという極めて厳しい状況に即応したものでありますが、現在は、(県内の感染状況は)鎮静化しつつあり、通常の医療も当然ながら重要であります。
そうしたことを踏まえますと、現在は落ちついた状況にありますので、今後の感染状況を見ながら、今後どういった病床数にしていくのが適正かということを、県として検討を進めていきたいと思います。
政府においても、これまでに一定の考え方が示されており、それぞれの県における確保病床についての考え方、検討の仕方についても、一定の数値基準が示されております。そういったものに基づく検討も行っておりますので、今後、段階的にどう対応していくかということを探っていきたいと思います。
ただ、先ほど言いましたとおり、コロナの状況については急速に短期間で変わることがあり得ます。例えば、会津若松市でありますが、4月前半の段階では感染者0人が続いているような状況でしたが、御承知のとおり、(その後、)急速に(感染状況が)悪化をしたということがあります。また、山梨県はコロナ対策の優等生と言われている県でありますが、実はここ数日、10万人当たりの新規陽性者数の指標がステージ3、ステージ4という状況になっておりますので、事態が急変することもあり得ます。
こういったことも踏まえ、一方で、通常医療をしっかり確保していかなければいけないという地域医療の状況も考えながら、総合的に検討を深めていきたいと思います。
【記者】
ワクチン接種に関してですが、県内の一部の自治体で、避難者のワクチン接種を後回しにしているという事例がありました。既にもう改善はされているようですが、今後、他県の避難されている方には不安なところがあるかと思います。今回の受け止めと、県としての対応を伺います。
【知事】
まず、県外あるいは県内での避難者のワクチン接種の在り方については、東日本大震災及び原発事故によって避難されている方々について、厚生労働省と協議・調整を行いまして、避難先での特別な申請手続が不要になりました。それを受けて、2月の17日でありますが、各都道府県に対しまして、避難者が避難先の自治体で円滑にワクチンを接種できるよう、依頼しているところであります。
このような状況の中で、今回、県内(の市町村)において、そうした事象(避難者が後回しにされたこと)があったという話を避難元自治体から聞きました。それを受けまして、6月1日付けで、各都道府県及び県内の市町村に対して、再度、一般住民の皆さんと同様にワクチン接種を受けることができるよう、依頼したところであります。
東日本大震災あるいは原発事故によって避難されている方々のワクチン接種が、県内・県外を問わず円滑になされるよう、引き続き、関係の皆さんに丁寧に協力を求めてまいります。
【記者】
ワクチン接種に関して、先週の金曜日の段階で今後の見通しについても発表されましたが、改めて、高齢者だけでなく一般接種も含めて、今後どのような見通しが立っているのかという点、また、接種が始まってきたことで見えてきた課題や市町村間での違いなどに、どう対応されていくのか、県の考えを伺います。
【知事】
まず、ワクチンの接種状況について。福島県内における医療従事者への接種でありますが、現時点で2回目の接種率が約90%弱と順調に進んでおり、今月末には完了する見込みであります。
また、高齢者への接種についてでありますが、現時点において、県内の全市町村で7月末に接種が完了する見通しが立ちました。この高齢者接種が速やかに進むよう、引き続き、各市町村の進捗状況を確認しながら、特に遅れがちなところに対しては、県として医師を派遣するなど、積極的に支援してまいります。
この高齢者への接種でありますが、これも今、お話があったとおり、各市町村によって状況が異なります。既にほぼ終わっている自治体もありますし、一方で、大きな都市においては、まだまだこれからという状況であります。各自治体とも、市町村長さんが非常に積極的でありまして、7月末まで(に完了させたい)、あるいは、さらに前倒しできるように頑張りたいという声を伺っております。県としては、先ほども申し上げたように、この市町村の取組を積極的に応援したいと考えております。
また、先行している自治体においては、高齢者以外の方々に対する接種も既に始まっています。こういった高齢者のみならず、県民全体、特に接種を希望される方に対して、早期にワクチンを接種できるようにすることが、新型感染症対策にとって極めて重要だという認識を各市町村長さんと共有していますので、今後、7月末の高齢者接種完了に向けて取り組むとともに、並行して、それ以外の方々に対するワクチンの接種について、どうしたらより速やかに進むのか、こういった点についても、県として支援していきたいと考えています。
【記者】
先週、菅総理が党首討論で、ワクチン接種について一般接種も含め、11月までの完了を目指すというお話がありましたが、現時点での県の一般接種までの見通しについて伺います。
【知事】
まず、現時点で、一般の方も含めた全体としてのスケジュール、確実な見通しを積み上げているわけではありませんが、総理自身が政府の基本方針として、希望される国民の皆さんへの接種を11月までに終えたいと言っておられます。やはりこの方針に則り、福島県として対応していくことが重要だと考えています。
大事なことは、まず、高齢者接種を7月末までにしっかり終えること。その上で、個別の課題等も出てくると思いますし、高齢者の皆さんと、65歳未満の方々では職務の形態や、生活スタイルも異なりますので、別の工夫がないと、中々接種が進まないと思います。また、高齢者の方は希望される率が非常に高いという状況にありますが、今後、世代を広げますとそれ(接種希望率)が少し低減する傾向も出てくるかと思いますので、そういった方々に対する意識啓発も重要だと思います。ポイントは、11月までに、国全体、県全体で希望する方がワクチン接種をスムーズに受けられるように、福島県としても、市町村や医療機関の皆さんと連携して取り組むことだと考えています。
【記者】
大規模接種について伺います。先日、「県としては今後検討を進めていく」というお話が知事からあったと思いますが、一方で広島県等を始め、大規模接種ができる状況でも希望者が少ないというような例もあるようですが、今のところの(大規模接種について)検討状況について伺います。
【知事】
まず、現在、高齢者に対しての接種を進めていますが、各自治体が非常に積極的に努力をしておられます。御承知のとおり、47都道府県の中でも、福島県の高齢者向けのワクチン接種率は非常に上位にあります。したがって、現時点で直ちに県が大規模接種会場をつくって対応するよりも、むしろ、各市町村が努力されているところを県がバックアップして、スピードアップさせることが重要だと思います。特に高齢者の方々は、一般的に公共交通機関を使われることもあるわけですが、福島県は非常に広い県土でありますので、高齢者接種の段階で、直ちに大規模接種会場(の設置)は考えておりません。
ただし、11月までに希望される県民の皆さんへの接種を(終えることを)考えた場合、各市町村に頑張っていただく接種と、職域接種という、各企業等における独自の努力でできるだけ早く従業員の方等に接種を促進するという取組が、今後、県内でも、国内でも大きく展開されてくるものと思います。それらの状況を見ながら、全体として、早期にワクチンを接種できるよう、県としても、大規模接種の在り方についてしっかり検討していきたいと思います。
【記者】
東京五輪についてお伺いします。
復興ありがとうホストタウンに登録されている、宮城、岩手、福島の3県で、コロナによる選手の受入中止や、実施の見通しがつかない自治体が相次いでいます。海外選手に被災地の現状を見てもらうという目的もあり、政府が掲げてきた復興五輪を体現するイベントの一つとなっていたと思います。
この理念を担保するのが難しい状況について、知事としての受け止めと、今後、復興五輪をどのような形で実現していきたいのか改めて考えを伺います。
【知事】
世界的に感染状況の収束を見通すことが難しい中で、福島県内でも事前合宿や交流事業を見送る市町村が出てきており、相手国との受入調整が難しい状況になっているところもあると伺っております。これまで、各市町村は長い時間をかけて丁寧に交流を深めてきました。県といたしましては、引き続き、安全・安心な環境で事前合宿の受入や交流ができるよう、組織委員会や政府と連携して対応していきたいと考えています。
現実には、現在の各国の状況は厳しいものがありますので、中々我々が思い描いていたような復興五輪としての形というものは、残念ながら見通せなくなっています。そこは率直に言って、本当に残念に思う部分があります。
ただ一方で、各国や地域、あるいはその国の選手団の方々と、既に準備段階から一定の交流を行っておりますので、こういったものを、例えばオンラインでお互いやりとりする等、このコロナ禍においても、今できることを一生懸命取り組んでいくこと、誠心誠意対応することが我々にできることだと思います。今回できなくて残念でしたが、また、コロナが落ちついた後、その思いも含め、未来において、この復興五輪としての「別の形」を模索することもあり得るかと思います。
先週、復興大臣も、「復興五輪の形を中々体現出来なくて残念」というお話をされていました。逆にこの悔しさというものを、政府や我々自治体、そして相手国の方々と共に、その名残惜しさというものを持ちながら、次にどのような対応ができるかという次善の策についても、今後検討していきたいと考えています。
【記者】
今の質問と関連して、先日の党首討論でも、復興五輪として被災地を見てもらいたいという総理の発言がありましたが、現実として難しい中で、この総理の発言をどのように捉えたらよいか正直わからなかったのですが、これについて、知事の現時点でのお考えを伺います。
また、今お話があった「未来の中でどういった対応ができるのか」ということについて、知事の中で具体的に思い描いているものがあれば併せて伺います。
【知事】
まず、復興五輪の一番ベストな形というものは、「来て」、「見て」、「食べて」、また「感じて」いただくことだと考えていました。ただ残念ながら、今世界各国から、例えばマスコミの方々、あるいは選手団の皆さんが、東京五輪の前後で福島に来ていただくということは現実的ではないと思います。やはりそれは感染拡大を防止するという観点から、今は中々難しいというのが現状ですので、それはやむを得ないと思います。
ただ、それで終わりということにするのか、あるいは、その中でもまずできることをやろうということで、オンラインでの交流等を行うということもあります。オンラインでの交流は、一つの手立てとして、コロナ禍でも可能です。
また、併せて、コロナが落ちついた後に、今回の思いも含めて、相互に交流をしていくということを、今回の復興五輪の遺産といいますか、そういったものとして残していくべき重要な要素だと思います。
一番大切なことは「実際に来ていただく」こと、これによって「感じていただく」ことが非常に大きいと思います。特に今の福島が、復興五輪の元々のスタートの時点と大きく違っているのは、東京電力福島第一原子力発電所の処理水の問題があることです。この処理水の問題も、様々な誤解や風評が付きまとうものですので、この原発事故以降の10年間、福島がどのような廃炉対策を行ってきたのか、農林水産業や観光について、どういった努力を行ってきたのか、そして今、福島の農林水産物が国内外の方に、安心しておいしく食べていただけるという現実、あるいは、コロナが収まってからですが、インバウンドや国内旅行も含め、皆さんに笑顔で福島に来ていただいて、観光できるということを知っていただくには、やはり来ていただくことが一番だと思います。今すぐこういうやり方があるというわけではないのですが、今回、東京オリンピック・パラリンピックが終わった後であっても、コロナが収まった後、政府とも連携しながら、是非、その後の福島を感じていただくことを実現していきたいと、知事として考えております。
(終了)
【問合せ先】
○質問事項
1 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238
2 東京オリンピック・パラリンピックについて
→オリンピック・パラリンピック推進室 電話024-521-8671