【質問事項】
【記者】
コロナ対策について、先週の金曜日時点で、福島市の状況を注視していくということでしたが、(福島市では)週末もクラスターが発生し、中々収まらない状況が続いています。福島市の対応を含めた対策について伺います。
【知事】
まず、県全体の感染状況について、先にお話をします。五つの指標、七つの区分でありますが、現在、三つがステージ4、そして、もう三つがステージ3であります。県全体としては、ステージ3の状況にあると捉えています。
今回、この指標の中で特徴的なことを三つお話します。
まず1点目が、確保病床の使用率です。先週の数字である64.5%に比べて、現在の数字は58.1%となっており、表面的には一旦下がったように見えていますが、これは病床を40床増やしたことによるものです。この病床を増やすこと、特に、いわきエリアにおいてですが、これは、通常医療に相当の負担をかけた上で、40床をつくり出していますので、表面的には病床利用率が下がったように見えると思いますが、実際は本当に綱渡りであり、現場で頑張っていただいているという点を、まず御理解いただければと思います。
そして、2点目の大事なポイントが、重症者用病床の使用率です。1週間前は26.5%でしたが、現在は20床使用しており、使用率は40.8%と相当大きく上昇しています。これは県全体の療養者数が非常に多くなっておりますので、その中で、一定数の方が重症になるということであります。これまでのような、まだワクチンを接種していない段階では、高齢者の方が重症になることが多かったわけですが、現在は、まだワクチンを打っていない方々の中で、ある程度、世代の高い方が重症者となり、結果として重症者用病床の使用率を高く押し上げているという厳しい現実があります。
最後に3点目ですが、10万人当たりの新規陽性者数であります。先週が43.01人、今週が38.89人となっており、この数値が下がるということは、良い傾向ではあります。しかし、最悪の状態であった時よりも、この1週間で若干改善しただけという捉え方もできます。いずれにしても、(10万人当たりの新規陽性者数については)ステージ4の25人という基準を県全体ではるかに超えています。したがって、全くもって予断を許さない、極めて厳しい、正にステージ4の状況が続いているというのが県全体の状況であります。
その中で、御質問にありました福島市の状況についてですが、まず、いわき市は「まん延防止等重点措置」を実施している中で、現在、相当下がっている傾向にあります。一方、郡山市と福島市は依然として上昇傾向にあり、郡山市は先日、「まん延防止等重点措置」を発出し、今日から本格的にスタートということになります。
そして、福島市でありますが、これは福島市だけの状況を表した折れ線グラフですが、集中対策を7月下旬に発出しまして、その後、この効果等がある程度出て、ステージ4の状況からステージ3まで下がり、比較的、安定的に推移していました。しかし、この夏休みで人の流れが活発になる中、ずっと上昇傾向が続き、さらにここ1週間は上昇の割合が高まってきているという現実があります。
週末の状況を見ても、今、お話しいただいたとおり、飲食店におけるクラスター等も出ております。この週末も、福島市と県で緊密に情報交換し、正に現在、今後の対応をどうすべきかということについて、協議を深めているところであります。現在、福島市において、様々な御議論をしていただいておりますので、今後、そういった動きがありましたら、県として臨機応変に対応してまいります。
【記者】
今の話の中で、ワクチンを打っているかどうかによって重症の割合といいますか、状況が変わるという話もありましたけれども、可能な範囲で、その重症者の方のワクチン接種状況を伺います。
【知事】
ワクチン接種と重症者用病床の関係ですが、まず基本的に高齢者の方では、ワクチンを2回接種された方は比較的感染される確率が低いという傾向があります。ただし、ブレイクスルー感染も当然ありますので、医療従事者においても、先般の事例等で、やはり(感染が)ありました。
したがって、ワクチンを2回打ったから必ず感染しないということは、当然ながらありません。ワクチンを打つことによって予防効果が100%生じるということはありませんので、ワクチンを打った方においても、マスクを始め、基本的な感染対策はしっかり行っていただくことが大切だと思います。
ただ、高齢者のワクチン接種が行われる前の状況と比べますと、高齢者の方が重症になる割合は明らかに低下しております。これは福島県のみならず、全国でも顕著でありますので、ワクチンを2回打つことによって、重症化をある程度抑制していく効果があろうかと思います。
また、現在20床ほど重症者の方がおられるという話をしましたが、ワクチンを打っていない年代の40代、50代、あるいは30代の方の中に重症者が見られるということがあります。さらに、若干ですが、若い方にも重症化される方がおられますので、デルタ株は重症化しやすいリスクがあると言われています。こういった点についても、県民の皆さんに呼び掛け、現在の「まん延防止等重点措置」と県独自の「集中対策」について、県民の皆さんにしっかり徹底していただくよう訴えていきたいと思います。
【記者】
県内で若い世代の感染が広がっているという統計もあり、若い方に対する人流抑制策、若しくはワクチンの有効性の情報発信など、中々その人の行動を動かすことは難しいと思いますが、どういった情報発信をしていくのか考えを伺います。
【知事】
特に若い世代の方にお伝えしたいことは、今、正に全国で猛威を振るっているデルタ株についてです。このデルタ株という変異種の怖さについて、話をしたいと思っています。
まず、デルタ株はとにかくうつりやすく感染しやすい。これまでは、例えば一定のスペースの中に一定の方がおられる、あるいは御家族等でもそうですが、お一人感染された方がいても家族全員が感染するという事例は、必ずしも多くはなかったです。ところが、デルタ株になってからは、お一人が感染すると、あっという間に家族全体に感染が及ぶということがあります。あるいは、バーベキューや親戚が集まってお盆等で会食をされるといった際に、その場におられた方々が、あっという間に全員感染してしまうという事例がありますので、このデルタ株のうつりやすいという怖さ、これをまず若い方々に是非、知っていただきたいと考えています。
それから2点目が、入院リスクが高まるということです。従来株あるいはアルファ株ですと、若い世代の方は無症状の方が結構おられました。症状があっても軽症で熱がある程度ですので、本当に落ちついた形での療養ができていましたが、デルタ株については、若い世代の方でも徐々に重症化するという事例があります。若い世代の方でも重症化するリスクがあるということを是非、知っていただきたいと思います。
加えて、若い方は比較的活動範囲が広くなりますので、デルタ株の感染リスクの高さと合わさり、従前よりも周りの方にうつしてしまうリスクがどうしても高まっています。
そういう意味でも、自分自身の健康、体を守るためにも、また、若い方自身の大切な御家族や友人、あるいは職場のメンバー、こういった方を守るという観点においても、是非、感染しないための基本的な対策を徹底していただきたいということ、また、今後ワクチンが接種できるタイミングは必ずやってきますので、その際に、できればではありますが、是非、ワクチンを接種していただければということを、我々自身も様々なチャンネルを通じて訴えていきたいと思います。
特に若い方に対しては、例えばSNS、ユーチューブ、ツイッター、あるいはインターネットの広告、こういったものが比較的届きやすいという部分もあろうかと思いますので、こういった点にも力を入れていきたいと思います。
【記者】
今日から(県内の)多くの学校が(夏休みが終わり)再開します。夏休み期間中、結構、子どもから大人という感染の例もあったかと思いますが、教育活動との両立が中々難しいという中で、有効な対策があるのかについて伺います。
また先ほど、通常医療にかなり負担があるという話がありましたが、千葉県柏市で(自宅療養中の)妊婦の方が(入院先が見つからず自宅出産となり、その後に新生児が)亡くなった事例もあり、子どもがいる方や妊娠中の方などに対する県の現状と、今後の対策について伺います。
【知事】
まず前段、学校関係についてです。
福島県内では、今日から多くの小学校、中学校で新学期を迎えます。そのため、県教育委員会からも、学校を通じた感染拡大、集団感染をできる限り抑えていくために、各家庭での感染防止対策を徹底していただくよう、各市町村(教育委員会)に通知しているところであります。
また、特に「まん延防止等重点措置」が出されているいわき市等においては、当面の間、午前中で授業を終了するなど、設置者である市町村教育委員会において判断がなされているところであります。
今回、我々が直面しているのは、デルタ株の猛威であります。この状況の中で、小学校、中学校、高校等において、児童生徒の健康、命を守っていくために、県の知事部局であるコロナ対策本部と県教育委員会が緊密に連携をしながらサポートしていきたいと考えております。
そして、後段のお話、千葉県で起きた非常に痛ましい出来事であります。心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。あの事案が出ましてから、早速、福島県内はどういった医療体制が可能なのかということを確認しております。
まず、一番重要な拠点になりますのは、福島県立医科大学です。ここが正に、例えば新生児や妊婦さんが危険な状況になった時の最後の砦になるということを確認しております。加えて、医大だけでなく、各方部にコロナに感染している妊婦さんへの対応ができる拠点病院も指定されております。今回の千葉県の事例を受けて、こういった問題があったときに速やかに対応し、母子それぞれの健康と命を守ることができるよう、改めてお願いをしているところであります。
その際に大切なことは、やはり病床のひっ迫率だと思います。先ほど五つの指標でも見ていただいたのですが、一時期、本県においても、病床のひっ迫率が80%、90%になっている時がありました。その状況ですと、先ほど言ったような、拠点病院の病床が埋まってしまっているという状況は当然あり得えます。(病床のひっ迫率について、)現在は58.1%という状況でありますが、ある程度の余裕を持っておかないと、特殊なケースが発生した、いざという時に、速やかに対応できないということでありますので、現在、こういった病床を増やす工夫、努力、さらに、ホテル等の療養者用の宿泊施設、これを今後大きく拡充していきたいと考えておりますので、こういった全体のパイを増やしていく中で、何か特殊な状況があった際に、速やかに受け入れられる医療体制を是非、堅持していきたいと思います。
【記者】
確認ですが、今のところ現状では、体制的には対応できるという認識で良いでしょうか。
【知事】
はい。コロナに感染しておられる妊婦の方が、緊急な出産など、こういったものがあるということを想定して従前から体制をつくっておりましたが、それを再度確認し、千葉県のような痛ましい事案を起こさないように、関係者で一緒に取り組もうという思いを共有しているところでございます。
【記者】
今月末までとしている県の集中対策について、(延長の有無については)今週中に本部員会議で正式決定するということですが、指標が中々厳しい中で、現時点で(延長等の)方向性をどのように考えているのか、また決める際にどういった視点を重視されるのか伺います。
【知事】
まず、先ほど申し上げましたように、五つの指標、七つの区分で、福島県全体はステージ3とはいえ、やはりステージ4に徐々に近づいていくステージ3であるということが、県全体の判断としてあります。
そして、こちらが中核市3市を除いた全県における10万人当たりの1週間の新規陽性者数であります。非常事態宣言を発出し、「まん延防止等重点措置」や「集中対策」も実施していますが、残念ながら、夏休みの帰省・旅行等、人流が活発化する中で、(数字が)上がってしまったという事実がありました。
ただ、やはりこのまん延防止の議論が進む中で、少し下がる傾向があり、現在はステージ4の水準をぎりぎり下回って、ステージ3という状況にあります。先ほど見ていただいた一部の中核市のように、ずっと右肩上がりに、一本調子で上がっているという状況ではなく、ある程度抑えられている状況にはあると思います。ただ、この水準を見ていただきますと、23.49人ですので、ステージ4の(水準である)25人は目の前という状況であります。したがって、やはりこの56の市町村も、全体として見るとまだまだ厳しい状況にあります。
こういった状況の中で、集中対策について、今週中に9月以降をどうするかという方向性を見極めなければいけませんが、現状の感染状況についての認識は、全体として厳しいと考えています。その上で、やはり大事なことは五つの指標、七つの区分の中の病床使用率であったり、あるいは新規感染者数の動向であったり、感染経路不明割合、こういったそれぞれの指標というものを、全体の流れを考えながら、県として判断していく必要があると思います。
それと、もう一つ大事な要素があります。今、福島県の指標だけの話をしておりますが、全国を見ますと、本県以上に悪化しているという現状があります。東京、神奈川等の首都圏、また北関東の3県、さらに宮城県、あるいは東北はこれまで優等生でしたが、東北の各県も全体として悪化している傾向にありますので、こういった周りの県あるいは全国の状況の中で、県としての集中対策をどうするか、この視点が重要だと考えております。
(終了)
【問合せ先】
○質問事項
1 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238