■日時 令和3年8月30日(月曜日)10時00分~10時20分
■会場 応接室
【質問事項】
1 新型コロナウイルス感染症について
2 トリチウム水の処分方法について
3 デジタル変革(DX)への対応について
【質問事項】
【記者】
新型コロナウイルス感染症について、今週から、また非常事態宣言の延長期間が始まるということで、現在の感染状況をどのように見られているのか伺います。また、県民の皆さんに対する注意喚起について、改めて伺います。
【知事】
現在の福島県全体の五つの指標、七つの区分ですが、依然、ステージ4の区分が三つ、ステージ3の区分が三つ、全体としてはステージ3という状況にあります。先週、先々週と比べても、本質的に厳しい状況は変わっていません。
ただ、その中でも、ポイントとして二つ挙げられます。一つ目は、1週間における10万人当たりの新規感染者数であり、現時点では31.26人、2週間前は43.01人でしたので、ある程度減少しています。しかし一方で、二つ目のポイントですが、10万人当たりの療養者数は2週間前が56.07人、現在は55.15人となっており、新規感染者数そのものは、ある程度抑制傾向にありますが、療養が必要な方の数がすぐに大きく下がっていくわけではなく、タイムラグがある。これが現実です。したがって、病床の使用率も、レベルとしては(10万人当たりの療養者数と)変わらないという状況になっています。
これは地域別に見ますと、いわき市、郡山市、福島市、この中核市3市については、まん延防止等重点措置をお願いしていますが、特にいわき市においては、一時期、(10万人当たりの新規感染者数が)100人を超えるという水準でしたが、今は42.32人まで大きく下がっています。また、福島市、郡山市も、現在の対策の中である程度抑制傾向にあります。この3市については、明らかに抑えられる状況になっているということは評価できます。
ただ、実際に具体の数値を見てみますと、ステージ4の基準は25人であり、(3市とも)この基準は、まだ上回った状況にありますので、今後とも、まず9月12日までのまん延防止等重点措置、これにしっかり取り組んでいかなければなりません。
また一方で、この3市を除く56の市町村ですが、一時期、(10万人当たりの新規感染者数が)ステージ4のレベルにあったときに比べると、何とかステージ3の中に入っています。ただ、ステージ4に近いレベルで数値が上下しており、ほぼ横ばいという状況にありますので、こういう状況の中で、先週この56の市町村に対しても非常事態宣言を継続し、9月12日まで県独自の集中対策の延長をお願いしているところです。
福島県はこれまで、県民の皆さん、事業者の皆さんが、まん延防止等重点措置あるいは県の独自対策に御協力を頂いているおかげで、ある程度、改善の傾向が見えてきています。
ただ、一方で、それでも(指標が)ステージ3を超える、あるいは(一部の指標は)ステージ4を超える水準にあるということには変わりありませんので、引き続き、9月12日まで、是非、県民の皆さんと力を合わせて、感染の拡大を抑え、そして、できればまん延防止等重点措置などの解除、あるいは県独自対策の解除に向けて進んでいきたいと思いますので、引き続き、基本的な感染対策をしっかりとっていただくようお願いしたいと思います。
【記者】
先日、国のほうでモデルナのワクチンで異物混入がありまして、県内でも(国と)同じく使用を中止していますが、(同ワクチンを)接種した方がいらっしゃいました。
その後の県の確認状況と、また県内でもその異物の報告例があったかについて伺います。
【知事】
福島県内においては、モデルナ社製ワクチンは職域接種に使用されています。厚生労働省が使用を見合わせるとしたロット番号のワクチンを接種された方は、各接種団体において特定されており、現時点では、健康被害は確認されていないと聞いています。
県では、各接種団体に対して健康観察を行うよう依頼しています。今後、国の動向等について情報収集し、接種された団体への情報提供を進めてまいります。
また、現時点では、異物の混入があったという新たな報告は聞いていません。
【記者】
ワクチン接種について、国に求めてきたことや、これからの方針について、改めて伺います。
【知事】
今、全国でも緊急事態宣言、これが出されている県が21都道府県、福島県を含めてまん延防止等重点措置が出されている県が12県あります。47都道府県のうち33都道府県が、こういった国の特別措置法による強い規制がかかっています。また、それ以外の団体においても、まん延防止等重点措置の適用を申請している団体があります。
このように、全国が極めて厳しい感染拡大状況の中にあり、自治体が行う接種、これについてのワクチン供給がまだまだ厳しい状況にあります。あるクールの供給状況について聞いていますが、我々が望んでいる供給量に対して、残念ながら追いついていないというのが事実であります。
各自治体は、供給があればしっかり住民の皆さんに打てる体制を整えています。したがって、政府においては、今後とも総量をしっかり確保して、速やかに我々の求める供給量に応じた配分をしていただくように訴えていきたいと思います。
【記者】
一昨日の時点で、新型コロナウイルス感染症の自宅療養者が500人を超えて過去最多となっています。
県として、原則入院の方針を変えていないのか、改めて伺います。
【知事】
県としてのこれまでの方針は、変えておりません。
今、自宅療養についての基本的な考え方ですが、県内の新規感染者数が、先ほど御説明したように大幅に増加していることから、病床や宿泊施設の状況を勘案しながら、重症化リスクの高い方など、医療が必要な方の入院治療を優先するとともに、感染対策の観点を踏まえて、宿泊療養や自宅での療養も選択しながら対応しています。
具体的には、20代、30代の軽症者及び症状が改善傾向にある方、また40代までの基礎疾患の無い無症状の方には、自宅療養も選択肢に入れながら、療養先を調整しています。
この自宅療養に当たりましては、保健所からパルスオキシメーターの貸出しを行って、毎日の定期的な健康観察を行うとともに、地域の医師会などの協力を得ながら、症状出現時や症状悪化時の受診体制を確保するなど、対応に努めています。また、安心して療養することができるよう、配食の食事支援も行っています。
さらに、自宅療養者に対して、電話等による診療や、薬の処方が受けられる自宅療養者診療支援事業、同居家族の方に宿泊施設で滞在していただく同居家族感染防止対策事業も活用しながら対応しているところです。
ただ、現在の自宅療養の方が多いという現状、これについては改善していきたいと思っています。そこで、先週お示ししていますが、現在、病床は637床に拡大しました。そして、宿泊療養施設についても、先般、166室増やして、計503室を確保するということをお示しさせていただきました。この宿泊療養施設、ホテルのキャパシティーは今回、大きく広がってまいります。
この宿泊療養施設を活用しながら、自宅療養者の中でホテルに移すべき方については、当然ながら(宿泊療養施設で)対応してまいりますし、また、今、病床の入院体制でありますが、仮に、自宅療養されていて体調が悪いような場合には、本県においては、速やかにスムーズに受け入れられる体制を構築していますので、皆さんが安心して自宅療養できる環境を整え、また、でき得ればホテル等に移っていただけるように、今回、大幅に増やしたこの宿泊療養施設を最大限に活用していきたいと考えています。
【記者】
今、その宿泊療養施設を活用しながら(対応していく)との話がありましたが、いわゆる「野戦病院」のようなものを整備する計画はあるか伺います。
【知事】
まず、福島県においては、病床、病院での療養というものが極めて重要だと考えており、本県の、例えば入院率や人口10万人当たりの病床の確保数を見ていただくと、東日本でも非常に高いレベルにあります。
野戦病院の議論は御承知のとおり、東京や大阪など、本当に苦しい地域、入院率が1桁になってしまうような地域において行われていると考えており、病院に入るべき重症者、あるいは中等症の患者さんが、(いわゆる野戦病院のような)広いエリアに入るよりは、きちんと病院の個室で療養できることが極めて重要だと考え、本県においては、これまで医療機関、医師会とも連携しながら、極めて高いレベルで病床を確保してきました。
また、医師・看護師のケアが可能である宿泊療養施設の数を増やしていく中で、野戦病院という形ではなく、福島県において新型感染症で苦しむ方を、本来の形できちんと療養できる場所を確保していくことを是非継続していきたいと考えています。
【記者】
先週金曜日の段階で、飲食店への支援について説明がありましたが、飲食店の方にとって、正に我慢の期間を過ごされていて、今回の支援策というのはひとつの希望であったり、目標として位置付けられたりしているかと思います。(実施については)感染状況が落ち着いたらということですが、早ければいつ頃からの実施を予定されているのか、また、事業実施に向けて今後どのように進めていくのか伺います。
【知事】
先日、県の独自対策を9月12日まで継続するということを説明した際に、福島飲食店応援事業、すなわち、既に2,000店に近づいているオレンジカラーの認定店になられた店舗、こういった安全対策に努力をされているお店の皆さんに対して、今後感染が落ち着いたら、プレミアム付きの電子商品券を発行して、皆さんのお店が安全対策を講じながらまた飲食を楽しめる場になるよう、県として支援をしていくということを公表させていただきました。
まず、これをできるだけ早く予算化するように現在調整をしています。また、今後どのタイミングで講じることができるかについては、先ほど言った感染状況の推移、特にまん延防止等重点措置と県の独自対策、大きくこの二つが、9月12日以降どうなるかを見ながら(判断する)ということになるかと思います。
ただ、今はまだ感染状況がステージ3の中心にある状況ですので、今日の段階、でいつ頃ごろになるというのは、まだ難しいと思います。事業者、飲食店の皆さんには大変申し訳ないのですが、こういった制度が間もなく予算化されて、スキームとしてはしっかり出来上がるということを説明し、いましばらく、県の集中対策、あるいはまん延防止等重点措置に御協力を頂くことをお願いしていく段階だと思います。
【記者】
確認ですが、そうなると、ステージ2の段階がある程度一定期間が続いたり、そういったところが実施の判断時期の見極めということになるのか伺います。
【知事】
いろいろな導入のやり方があるかと思いますが、今日の時点で、あまり予断を持った言い方はせず、今の感染状況の動向(を注視すること)や、他県でもこういったものを取り入れている事例があり、導入する以上は安定的に運営できるようにすることも大事です。また飲食店の皆さんは本当に御苦労されているので、できるだけ早くという気持ちも十分分かっていますので、そこのバランスを考えながら、真剣に検討を進めてまいります。
【記者】
先週、ALPS処理水に関して、政府が風評対策をまとめました。
これについては東京電力に一義的に責任があると思いますが、これについて政府が対策するということは、国費が投入されるわけで、これは賠償の在り方として適切なのかどうか(疑問であり)、東京電力の責任でやるべきものを、国民の税金で賄うという考えになりかねませんが、その点に対する考えについて伺います。
【知事】
2011年3月に発生した福島第一原発の事故は、福島県民、避難地域の皆さんに大きな被害をもたらしました。10年が経過しても、この原発事故によるマイナスの影響は、いまだ継続しており、現在進行形であるのが現実だと思います。
この原発(事故)のその後の対応については様々な経費が生じています。例えば第一原発の廃炉対策、処理水も含めての様々な費用、それから避難区域を設定し、それに伴って避難された方々に対する様々な経費、あるいは、原発事故によって汚染されてしまった地域を除染して、そして避難指示を解除して復興していくための経費、あるいは今回の風評対策の経費等々、極めて莫大な財政需要が生じており、これについて政府は、東京電力や関係機関と協議しながら、一定の整理をされてきたと思います。
その中で、例えば廃炉対策に生じる費用、除染に要する費用、あるいは賠償関係をどうするかといったことについて、一定の区分がなされてきました。
これについては、やはり国民的な議論を行って、政府と東京電力が責任を持って対応されることが重要だと考えています。そして、福島県としては、どのような財源の在り方があるにせよ、我々自身が、2011年3月の原発事故によって被った様々なマイナスをゼロに近づけて、復興に向かって前に進んでいくために必要な経費について、政府と東京電力に対して強く訴え続けていくことが重要だと考えています。
【記者】
デジタル対応に関して、9月1日にデジタル庁が発足しますが、期待される役割について伺います。
また、県でもDX推進基本方針の最終取りまとめに向けて検討中かと思いますが、改めて県のデジタル対応への基本的な考え方を伺います。
【知事】
デジタル庁が間もなく発足し、そしてDXが今、日本全体、世界にとってある意味当たり前のムーブメント、潮流になっています。福島県の新しい総合計画においても、DXを一つの基軸、大きな柱にしています。各市町村と連携して、いわゆるICT化ではないDXとは何か、何から始めるか、あるいは、モデル的な事業をとにかくやってみようということで、各方部において先進的な取組が始まっています。
特に福島県の場合は、例えば会津若松市においては県立のITの専門大学、会津大学があり、また同市内にAiCTという、IT企業によって満室入居となったITの拠点がありますので、こういったところと連動して、我々の地域課題解決のために、どうやってこのDXを活用するかという具体の取組を、正に行っているところです。
また、デジタル化を進めていくことによって、住民の皆さんの行政サービスを向上させたり、あるいはスピードを速めるといった部分が非常に重要だと思いますので、福島県としても、政府のデジタル庁の取組に合わせて、DX化に力を入れていきたいと考えています。
一方で、気をつけなければいけないことは、DXには「光」もありますが、やはり「影」もあると思います。例えば、全ての方について、スマートフォンや、パソコンあるいはWi-Fi環境が自宅に整っているわけではありません。今回のコロナ禍において、子供たちの学習がオンラインでどこまでできるかということについても、いろいろな取組や議論がなされていますが、全てが対応できているわけではありませんので、こういったデジタルディバイド、いわゆるこういったDXを取り入れることによって、新たな格差が生じることがあってはなりません。例えば、世代でいうと年配の方では若干苦手だという方も多かったりもしますし、あるいは、福島県の中山間地ですと、中々こういった通信環境を整えづらいところがあったりもします。
したがってこのDXの光と影の両方を見ながら、良い部分は積極的に取り入れ、そこから取り残される方々をどうやって救っていったらいいのか、ケアしたらいいのか、こういった両面をにらみながら取り組んでいくことが、福島ならではのDX推進だと考えています。
(終了)
【問合せ先】
○質問事項
1 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238
2 トリチウム水の処分方法について
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
(処理水処分方針決定に伴う風評対策について)
→企画調整部風評・風化戦略室 電話024-521-1129
(処理水処分により風評被害が生じた場合の賠償について)
→避難地域復興局原子力損害対策課 電話024-521-7103
3 デジタル変革(DX)への対応について
→企画調整部デジタル変革課 電話024-521-7134