■日時 令和3年9月13日(月曜日)10時00分~10時25分
■会場 応接室
【質問事項】
1 新型コロナウイルス感染症について
2 JA全農福島の令和3年産米概算金の決定について
【質問事項】
【記者】
新型コロナの対応について、県独自の集中対策を56市町村に対して行っていますが、今後の感染状況によっては期間などを見直すという方針を示しています。現在の状況をどう見ているのか、また見直しはいつ判断するのかについて伺います。
【知事】
ただいまの御質問の件ですが、今日から非常事態宣言が延長され、それに伴い、まん延防止等重点措置と県独自の集中対策も(延長が)スタートしたので、今日の時点で、まだ確定的なことを申し上げる段階にはありません。その上で、現在の感染状況と今後の方向性、見通しについて、今の段階でお話しできる内容を少し丁寧に御説明したいと思います。
まず、県全体の感染状況ですが、1週間前はステージ4が一つ、そして、ステージ3が三つという状況でした。その後の1週間で感染状況は全体として改善しており、現時点においてはステージ3が一つ。それ以外はステージ2以下の水準ということです。したがって、県全体の感染状況の判断は、現在ステージ2相当であると考えています。
このように、この1週間でも相当感染状況を改善することができました。これも県民の皆さん、事業者の皆さんが非常事態宣言に対して御理解を頂き、一生懸命御協力していただいているおかげです。特に事業者の皆さんには、まん延防止等重点措置の地域で酒類の提供の制限、また、集中対策においても時間短縮をお願いしていますが、この期間が延長となって長引いています。そういう制限、制約が多い中で、このように御協力していただいていることに重ねて心から感謝を申し上げます。
その上で、現在、全体として良くなっている傾向にありますが、ただ、二つ留意すべき点があります。一つ目は新規陽性者数、1週間の10万人当たり(の新規陽性者数)ですが、現在、13.27人、ステージ2(の水準)にはなっていますが、ステージ3(の水準)は15人ですので、やはり大分ステージ3に近い状況ということは事実です。また、療養者数は18.74人になりますが、これもステージ3は20人という水準ですので、大分ステージ3に近い基準だということです。したがって、先ほどステージ2相当というお話をしていますが、やはりこの重要な指標がまだまだステージ3に近いというのが、全体として留意すべき点かと思います。
その上で、先ほど記者さんからお話いただいた56市町村の話、今後の方向性についてお話したいと思います。現在、この緑色の折れ線グラフが56市町村、つまり、福島県の中核市、いわき市、郡山市、福島市を除いた56市町村の感染状況、人口10万人当たり1週間の新規陽性者数ですが、この数値は9日間連続でステージ3を下回る状況、つまり9日連続してステージ2の状況にあるということです。
8月の中旬、ちょうどお盆の頃には、一時期ステージ4でしたので、その後、皆さんの御協力の中でしっかり下がってきて、現在ステージ2であることを大変うれしく思います。したがって、この9日間、ステージ2の状況をきちんと堅持していただいていますので、今後の方向性としては、先週も申し上げましたが、この感染状況の抑制傾向、落ち着きが継続するということであれば、現在56市町村にお願いしている県独自の集中対策を解除することが視野に入ってくると考えています。
ただ、冒頭で申し上げたとおり、今日、非常事態宣言を再延長したばかりですので、これは未確定ということです。また、留意すべき点が3点ほどあるかと思いますが、今回は非常事態宣言を出している大きな要因がデルタ株との戦いです。前回5月の非常事態宣言が比較的短期間で解除できているのですが、これはアルファ株との戦いでした。このデルタ株の猛威というものを甘くみてはいけない、油断してはいけないと考えています。具体的に言うと、今、この緑色の折れ線グラフ56市町村が下がっていて、ステージ2であるのは良いのですが、これは明らかに下げ止まっています。そして、11.8(人)です。中々10(人)を切ることができません。ちなみに、前回5月に非常事態宣言を発出して解除した後ですが、極めてゼロに近い、1桁の下の方というのがずっと長く続いていました。それに比べると、中々1桁に至らない、下げ止まっているというのが現実ですので、ここは注意する必要があると考えています。なぜ下げ止まっているかということを具体的に申し上げると、この1週間に、56市町村の中で、例えば白河市が10名、会津若松市は4名の日が2日間、矢吹町が3名、南相馬市が4名の日が2日間、西郷村が3名、こういった日がポツポツと入ってきます。例えば、中核市でこの数字であれば比較的抑えられた数字ですが、人口を考えると、実は、矢吹町や西郷村の3名というのが決して少なくないというか、むしろ多い数字です。
したがって、デルタ株というのは、いつどこで急激に感染拡大するか分からない傾向があります。56市町村、浜・中・会津全体で、一見落ち着いているようでも、ある日突然急激に感染者数が膨れ上がるということもありますので、予断を許さない状況です。
したがって、まず今週、当面の感染状況を見極めて、今週末に向けて、全体としての傾向がさらに10を下回って1桁になり、安定性が見えてきた場合には解除が視野に入ってくると思いますし、もしこの下げ止まりの状況が継続する、あるいは残念ながらリバウンドするということもあり得ますので、そういった場合には、もうしばらく状況を見なければいけないと思います。まず今週末に向けて感染状況を見ながら、我々としては状況に応じてしっかり判断をしていきたいと考えています。
【記者】
今の発言の最後のところで、今週中に感染状況が下がっているということが判断できれば、週内に本部員会議の中で(県独自の集中対策の解除等について)判断されるという趣旨でよいか伺います。
【知事】
毎週木曜日、あるいは金曜日に本部員会議を開催しております。そこで今週の月曜日から例えば木曜日、あるいは金曜日までの感染状況を踏まえて、何らかの判断、あるいは今後の継続の見通し、これらについて方向性をお示しすることはできるかと思います。
【記者】
政府の基本的対処方針の変更で、まん延防止等重点措置対象区域において感染状況が下降傾向にある場合は、知事の判断で感染対策が取られており、第三者認証などのある飲食店では、午後7時半までの酒類の提供や午後9時までの営業が可能になるという方針が出ています。このことについて、出口戦略を含めて、本県での対応や検討状況について、現段階での状況を伺います。
【知事】
現在、まん延防止等重点措置がいわき市、郡山市、福島市を対象に発出をされています。先週、政府の対策本部会議において、まん延防止等重点措置の対象地域における、お酒の提供、あるいは飲食店の時間短縮の在り方について新しい方向性が示されました。これが一つの検討材料だと考えております。
また一方で、福島県の場合ですと、いわき市は(新規陽性者数が)22.04人であり、ステージ4を下回って3日間ほど経っていますが、まだステージ3の状況で、しかもステージ3の上の方にあるという状況ですので、厳しい状況が継続していると考えております。また郡山市は(新規陽性者数が)12.05人であり、4日連続でステージ3を下回った状況。また福島市においては10.8人、5日連続でステージ3を下回った状況にあります。
したがって、特に郡山、福島はそれぞれステージ3を下回ってきており、他の56市町村と同様の傾向ですので、これは望ましい傾向だと考えています。
ただ、先ほど56市町村は9日連続というお話をしましたが、福島市、郡山市は、まだステージ3のラインを切って、比較的日が浅いという現実があります。また、郡山市では今週1週間の中で(1日当たりで)10人を上回る日もありました。特に30万人程度の規模の都市ですので、やはりもう少し様子を見ていく必要があるかと思います。
ただ、全体として、いわき市も含めてですが、抑制傾向、低減傾向にありますので、今後、まん延防止等重点措置の地域においても、次のタイミングがどこかということを視野に入れて、しっかり県として検討していきたいと思います。まずは、56市町村の議論があり、そして、改善傾向が比較的明確になってきた福島市、それに続く郡山市、こういったところの取扱いをどうするかという議論が1番の骨格になる議論だと考えておりますので、政府の新しい手法、これはこれで検討材料ではあるのですが、やはり本質的なところを押さえて福島県としては対応していくべきではないかと考えております。
【記者】
今後の(新型コロナウイルス感染症関係)集中対策の解除の中で重要視される指標というのは、新規感染者数というところに1番重きを置いている状況であるのか伺います。
【知事】
5つの指標・7つの区分(の状況)の中で遅れて反映されるものと、先行、先んじて見える指標のパターンがあると思いますが、「PCR陽性率」、「感染経路不明割合」は比較的先行的に(状況が反映されるため)大事にすべき指標だと思います。
一方で、この「療養者数」とか「病床の使用率」は、感染者数が出た後の話になりますので、(状況の反映が)遅れてくる傾向があります。「療養者数」は新規陽性者数が出てから入院等になりますし、また「重症者病床の使用率」は、入院された後に症状が悪化して(増加する指標)になりますので、恐らく1番遅れて現れてくる指標になると思います。
したがって、今後の福島県の対策の在り方をどうするかという議論をする場合、基本的に先行的な指標を大事にしていくこと、これがポイントかと思います。そのため、一番先に出てくる指標である、「新規陽性者数」を非常に重要視しております。
ただ先週、政府において、指標判断の見直しについて、病床の使用率や重症者病床のひっ迫率を重視する、あるいはそれらの指標を、解除の場合に、より重視していくというお話がありました。これも一つの見方だと思います。ですが、先日(土曜日)の知事会でも、緊急事態宣言あるいはまん延防止重点措置を解除する際の指標の見直しにおいて、新規陽性者数を軽視してはいけないということを、提言の中に強く盛り込んでいます。我々はこの新規陽性者数が先行指標であるからこそ、一番先に未来を見通すために重要な指標だと思います。したがって、先行指標も遅行指標も両方をにらみながら判断の対象にすべきというのが知事会としての考え方です。
【記者】
先日の知事会でも出ていた意見かと思いますが、今後の行動制限緩和について、緩和のみが目立ち、(国民の感染状況に対する)楽観につながるという意見がありました。これについて県としての考え、またどのような対応を検討していくのかについて伺います。
【知事】
まず、現在、政府分科会等において、いわゆる「出口戦略」というものが議論されています。国民の皆さん、県民の皆さんもそうですが、制約・制限・我慢、これをずっと継続していただいていますので、やはり今後の将来の見通し、方向性を出していくということについては、福島県としても知事会としても明確に賛同しています。
ただ一方で、留意すべき点があると思います。まず1点目は、こういった出口戦略や、ロードマップ、これを検討したり、策定していく際には、政府の判断ももちろん重要ですが、実際に現場で今回の感染と向き合っているのは都道府県であり市町村です。したがって、自治体の意見というものを十分に聞いた上で、こういった出口戦略の内容を吟味してほしい、方向性を固めてほしい、これが、まずポイントになると思います。
そしてもう一つ大事なことは、先般の知事会でも非常に多くの知事から発言があったのですが、出口戦略に対しては(都道府県知事の)皆さんが「いいよ」と言います。ただ、これを打ち出すタイミングがどうかという問題があります。今回、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が、一部を除いて継続されている状況にあります。今月いっぱい我慢していただきたいということを国民の皆さんにお願いしている中で、ある意味逆方向の出口戦略の話を同時に出すことによって、やはり国民の皆さんの気が緩んでしまうのではないか、あるいは混乱してしまうのではないかという懸念、心配が我々にはあります。
したがって、こういった国民に対するメッセージの出し方は、シンプルに一つのことを訴えたほうが、受け止める国民の皆さんの誤解がないと思うのです。その辺、今回のタイミングが適切だったのかということを、知事会の提言として、各大臣にも直接お話をしていきたいと考えています。
また、内容の問題です。ワクチン・検査パッケージという新しいシステムのもとで、様々な行動制限の緩和というものを11月以降に行うということかと思いますが、その際、このワクチン・検査パッケージをどのように運用するのか、これには多くの問題があります。例えば、ワクチン接種率の目安をどうレベルに持っていくのか。80%なのか85%なのか90%なのか。現在は、ワクチンは希望した国民に、という言い方をしています。これまではそれでよかったと思いますが、今後、出口戦略を議論するに当たっては、もう少し具体的な接種率の目標的なものがあった方が、恐らく、現場は動きやすいと思います。
また、ワクチン・検査パッケージの、例えば検査結果証明書をどういう形で出すのか、紙で出すのか、デジタルで出すのか、また、ワクチンを受けられない方が(PCR)検査を受ける場合の費用負担をどうするのか、検査はどこで受けるのか、これらのシステム(構築)が非常に難しいです。また、運用する際には、保健所、市町村にも様々な負担がかかってきますので、こういった実務的な問題をどう整理するのか、また個人の人権がこれ(ワクチン・検査パッケージ)によって制約される可能性が十分あると思います。ワクチンを打ってないことによって、お一人お一人の国民生活や県民生活に支障があってはならないと思いますので、こういった点についてもこれからの1か月弱で、相当精力的に議論をして詰めていかないと、このワクチン・検査パッケージの中身をいい形に作り上げることが難しいと思いますので、自治体との協議の場もつくりながら、是非精力的に検討を進めていただきたいと思います。これらの内容について、恐らく、今後、政府サイドと知事会とのやりとりをする場があると思いますので、平井会長、私自身も出席し、政府に対して地方自治体の思いを伝えていきたいと思います。
【記者】
新型コロナウイルス感染症について、福島市と郡山市のまん延防止等重点措置の解除について、数値的には大分下がってきていまして、先ほども他の56市町村と同じような傾向に見えるという話がありました。いわき市がまだちょっと指標として数字が高い状態にありますが、この3市の取扱い、例えば2市だけ先行して解除するという考えもあるのか、その場合は、例えば県独自の集中対策に移行するのか、もしくは全面解除となるのか、現時点の考え方を伺います。
【知事】
まず、先ほど56市町村については、今後、感染状況の抑制傾向が継続する場合には、解除を視野に入れて検討を進めたいというお話をしました。
一方で、今の質問は、郡山、福島の2市についてのお尋ねだと思いますが、まん延防止等重点措置の対象地域であり、今日は期間の延長がスタートしたばかりの段階ですので、やはりまだ予断を持ってお答えする段階ではないと思います。
ただ、今後の話としてあえて申し上げますと、例えばまん延防止等重点措置、この対象地域から仮に外すという段階に来た場合は、いきなり全面解除ということは一般的にはなく、まず県内の56市町村が行っている県独自の集中対策に移行する、まん延防止等重点措置から県独自の対策に移っていくということがありうるステップかと思います。その上で更に状況が良くなれば、全面的な解除というように、段階的に感染対策を講じていくと、これが急激なリバウンドを防ぐ、第6波の波をできるだけ下げる、ということにつながると思いますので、将来的にはそういうイメージを持っています。
ただ、繰り返しますが、今日はまだ(延長が)スタートしたばかりで、しかも政府の特措法に基づくまん延防止等重点措置という非常に強い制限がかかっていますので、まだ予断を持ってかかる状況ではないということを御理解いただければと思います。
【記者】
米の概算金について。先日数字が発表され、(令和2年産米比で)大幅下落となりました。これについて、県としての支援や、対応、検討(状況)について伺います。
【知事】
福島県では、農家の皆さんを始め、市町村、JA等が一丸となって、令和3年産米の生産数量の目安を達成しています。ただそのような中で、結果としての概算金の下落は、大変残念です。全国的にも生産数量の目安をほぼ達成する中での下落です。これは専らコロナ禍による需要減少の影響と受け止めています。
この概算金下落への対応ですが、今後、市町村、JA等と連携し、どのような支援ができるか検討を進めてまいります。
(終了)
【問合せ先】
○質問事項
1 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238
2 JA全農福島の令和3年産米概算金の決定について
→農林水産部水田畑作課 電話024-521-7360