■日時 令和4年3月7日(月曜日)10時00分~10時25分
■会場 応接室
【質問事項】
1 県民世論調査の結果について
2 新型コロナウイルス感染症について
3 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉について
4 風評・風化対策について
5 トリチウム水の処分方法について
6 処理水関連の公文書開示請求について
【質問事項】
【記者】
震災と原発事故から11年となるのを前に、福島民報社と福島テレビが共同で実施した県民世論調査について、岸田政権に望む復興政策として、「福島第一原発の廃炉・処理水対策」が最も多い結果となりました。処理水の海洋放出方針に対する国内外の理解については、過半数が「広がっていない」と回答しています。政府が掲げる放出時期まで約1年と迫る中、政府に求める対応を改めて伺います。
【知事】
ALPS処理水の取扱いについては、これまで国による関係者への説明や意見交換等が行われています。
しかし、今もなお新たな風評の発生を懸念する意見や、海洋放出に反対する意見など、様々な意見が示されており、そのような状況が、今回の調査結果にも表れたものと受け止めています。
廃炉と汚染水・処理水対策は、長期間にわたる取組が必要であり、県民や国民の理解が極めて重要です。国においては、昨年末に決定した行動計画に基づき、情報発信の充実強化や、迅速・柔軟な事業執行に全力で取り組むとともに、今後も様々な機会を活用し、関係者を始め、幅広い事業者や県民等に対する丁寧な説明を行い、責任を持って取り組んでいただきたいと考えております。
【記者】
同じく、世論調査の結果についてお尋ねします。
新型コロナウイルス関連ですが、まん延防止等重点措置の対策として、飲食店の営業時間の短縮ですとか、不要不急の外出自粛の効果について尋ねたところ、66%の人が「効果がある」と回答しました。
まず、この結果についての県としての受け止めと、その中で、今日から(まん延防止等重点措置が)解除というところで、改めて重要視していかなければいけない点について伺います。
【知事】
今回の第6波、オミクロン株との戦いにおいて行ってきた、まん延防止等重点措置を始めとする各種対策は、飲食店の皆さんへの営業時間の短縮や、不要不急の外出自粛などの要請に加えて、事業者の皆さんに対するテレワークの推進や、事業継続計画策定のお願い、そしてイベントの開催規模の制限、学校や各種施設への感染対策徹底のお願いなど、多岐にわたっています。
夜間の人流については、携帯電話の位置情報を基にしたデータによりますと、1月27日にまん延防止等重点措置を実施して以降、大きく抑えられてきました。
まん延防止等重点措置に伴う様々な対策によって、感染が拡大する要因の一つである人と人との接触機会を低減させる効果に加えて、様々な場面や場所で、県民の皆さんの感染防止対策をお願いすることで、危機意識を共有して、感染対策の徹底をしていただくことにつながるなど、全体として一定の効果があったと考えております。そして、そういった思いを県民の皆さんの相当程度の方々に共有していただいたということを、今回の調査結果を見ながら感じておりました。
昨日で、まん延防止等重点措置は解除ということで、オミクロン株との戦いは、また新しいステージに入ります。
今回、解除されたからといって、全てのリスクがなくなったわけではありません。現在、感染が大きく拡大している子どもたちに関係する施設、ここにおける感染の拡大、クラスターの発生というものを何としても抑え込んでいきたいと考えております。
そのために、「総点検」ということを考えておりますが、具体的なチェックリストを用意しております。これは御家庭の中で活用していただきたいということで、保護者の方に対するチェックリストです。そして、こちらが幼児、小さなお子さん、こちらが小学生向けということで、これはお子さん自身が本人でチェックしていただくものです。
これを県のホームページ等から、できれば出力していただき、その上で、お子さんあるいは保護者の方御自身が、まず点検をしていただくことが重要かと思います。
また、お子さんが通っておられる保育所、幼稚園、小学校、中学校、高校等がありますが、こういった施設に対しては、厚生労働省あるいは文部科学省から非常に詳しいマニュアルが通知されております。既に、それに則って十分に努力はしていただいているのですが、最近の感染傾向を見ますと、明確にお子さんの感染拡大が多いということもありますので、是非、そのマニュアルを、再度、総点検していただいて、その中で、自分たちの中で何か足らないところがあるのではないかといったことを気付いていただければと思います。その上で、御家庭あるいは施設において、一緒になってお子さんを守る取組を行うことが重要だと思います。
このキャンペーンを18日まで行った上で、並行して、こちらは今月いっぱいでありますが、「感染拡大防止重点対策」を講じていく。(まん延防止等重点措置は)解除になっておりますので、いわゆる従来型の制限・制約はありませんが、こういったものを多くの県民の皆さんと「共有」して「行動」することで、オミクロン株との戦いのステージを乗り切って、第6波を本当の意味で脱していきたいと考えております。
【記者】
あわせて、コロナ対応として政府や県に求める政策について尋ねた結果では、治療薬の開発というのが最も高かったのですが、次いで、「ワクチンの安定供給」や「(ワクチンの)迅速な接種」というものが上位を占めていました。
その一方で、子どもたちのワクチン接種については、4割弱の方が「不安」だと回答されています。
この点について、今後の政策や必要性について、知事の考えを伺います。
【知事】
昨日、私はロボットテストフィールドに行っておりまして、南相馬市の門馬市長さんと、正にこの話をしておりました。
5歳から11歳のお子さん方へのワクチン接種が、これから本格的に始まるわけでありますが、市長さんによると様々な御意見があるということです。「早めにお子さんに受けさせたい」という御家庭もありますし、一方で、「打って大丈夫なのかな」、「副反応が心配だ」こういった不安の声もあります。そういった中で、市として、どういう形で(接種を)訴えていけばいいかという話を、正にリアルで行っていたところであります。
今、御質問にもあったとおり、お子さんたちへの接種について、県民の皆さんが様々な思いを持っておられます。子どもへのワクチン接種を実施する場合には、子どもの特性を考慮しながら、接種体制を構築することがまず重要です。複数のワクチンを取り扱うことでトラブルや事故につながる可能性があるほか、お子さんの副反応が心配だという声、こういったものが各自治体から寄せられているなど、課題はまだ多いと考えております。
県としては、関係の医療機関との調整、広域連携による集団接種実施への支援や、技術的な支援、また副反応支援医療機関の体制強化などを図っているところであります。
加えて、今月の4日には、小児接種に関する県の相談窓口を開設して、接種対象者や保護者の皆さんから、ワクチン接種に関する全般的な相談について、医学的な知見を有する、看護師が相談対応を行っております。小児への接種を始め、接種を希望される方々が円滑に接種できるよう、今後も市町村を支援してまいります。
また、今回の子どもに対するワクチン接種に限らず、大人への接種においても、例えばモデルナを接種する場合の交互接種への忌避感、こういったものが、今もなお根底にあると考えています。そこで、先般行われました全国知事会議のウェブ会議においても、各県の知事から、そういったものに対し、これはオールジャパンの問題であり、各県ごとの問題ではありませんので、政府自身が、国全体として責任を持って、もっと分かりやすく、子どもたちや保護者の方、あるいは交互接種に不安を持っている方々に届くよう発信をしていくことが重要だという意見が出され、それをまとめて緊急提言しているところであります。
国、県、そして市町村、医療機関等が共に力を合わせて、このワクチン接種に取り組んでいきたいと考えています。
【記者】
まん延防止等重点措置の解除についてですが、沖縄など、先に解除されたところでは、また(感染者数の)上昇傾向が確認されたりしています。
県の重点対策は、現状のクラスターの部分などを抑える対策だと思いますが、これから全体の感染者数を抑えていく、再上昇を防ぐための対策というのは何か考えているか伺います。
【知事】
まず、感染拡大を抑えるためには二つの大事な視点があると思います。
一つは、先ほど言いましたように、実際にクラスターがどこで出ているかということを分析し、(円グラフを指し)こちらはクラスターの発生している現場でありますが、児童施設と学校だけで65%、ほぼ3分の2です。その他が、事業所、医療機関、加えて若干ウェイトが高いのが高齢者施設。したがって、まず、高齢者と子どもを守るということを、今回のキャンペーンであったり、今後の重点対策の中心にしております。
そしてもう一つ大切なことは、今、福島県で大体300名ぐらいの方が、日々新規感染しておりますが、大きな都市部での発生が多いということであります。郡山市、いわき市、特にこの2市については、まん延防止等重点措置を解除するに当たり、今後の延長の可否について議論を行いました。この郡山市やいわき市、あと会津若松市や福島市もある程度多いわけでありますが、こういった都市部における感染拡大をできるだけ抑えていくことが重要だと思います。
特に中核市の3市、3人の市長さんは、それぞれが保健所機能も有しておられまして、現場の実態を一番よく分かっています。傾向としては、お子さん(の感染)が多い。お子さんたちを止めないと、家庭から職場に、あるいは家庭から高齢者施設にというループがいつまでも続いて、沖縄のようになかなか減らないということに成りかねないと思いますので、何とかこういうところを抑え込んでいきたいという、強い決意を持っておられました。
また会津若松のように、県の保健所が管轄しているところも多数ありますので、そういったところにおいては、広域自治体である県として、重点的な、より効果が出る対策を講じていくことが重要だと思います。
いずれにしても、特にクラスターが発生している子ども関連の施設や高齢者施設、あるいは都市部の状況が、福島県における今のこの高止まりの要因を作っているということを十分認識した上で、これから確実に減少させるために、関係の皆さんと力を合わせて取り組んでいきたいと思います。
【記者】
原発の関連でお伺いします。先日、原子力規制委員会の更田委員長が、「廃炉の時期を見通すのはなかなか難しい」という発言をされていました。知事は、廃炉の時期についてどのように考えているか伺います。
【知事】
原子力規制委員会の更田委員長が、どういった趣旨の流れの中で、その発言をされたかということは、十分承知しておりません。
その上で、この原発の廃炉、特に福島第一原発は苛酷な事故を起こした原発であります。この廃炉を安全に着実に行うことは、福島の復興、あるいは福島の未来にとって、欠かすことができない大前提だと考えています。
現在、政府、東京電力が作り上げているロードマップの中では、原発事故発生以降、30年から40年の間に廃炉対策をしっかりと行うという一定の工程が示されています。県としては、このロードマップというものを大事にしながら、しっかり取り組んでいただくこと、重要であると、これがまず基本であります。
ただ一方で、最も大事なことは安全・安心です。したがって、安全・安心を最優先に取り組んでいただくこと、こういったことを、今後とも政府と東京電力に対して機会あるごとに訴えてまいります。
【記者】
関連して、廃炉の最終形、どのような在り方を目指すかによって、その廃炉のかかる時間というのもまた違ってきたりすると思いますが、知事自身の考えについて伺います。
【知事】
まず廃炉の最終形については、様々な議論があるかと思います。その上で、立地自治体の首長さんたちは、正に「更地にしていただいて『夢のあるビジョン』をつくってほしい」、こういった切実な要望も上がっているところであります。
私自身が考えておりますのは、その前に成すべきことがあるということです。
一つは、中間貯蔵施設、これは30年以内に県外最終処分ということが法律によって定められておりますが、今、環境省を始め、政府は一定の取組を間違いなくしていただいています。
ただ、「では具体的にどうするのか」というところは見えていません。したがって、まず法律に定められた中間貯蔵施設に対する対応、こういったものを政府として、しっかり我々に見えるような工程を描いて実行していくことが大事だと思います。
加えて、福島には原発が10基立地しており、原発事故前は、首都圏等に対して重要な電力を供給してきました。原子力発電、この発電施設は、当時誘致された方々がおられたわけですが、最終処分場に(本県が)なるということは考えておりません。それは、原発事故前もそうでしたし、今も当然そうであります。したがって、私自身が知事になってから幾度も政府に対して、燃料デブリあるいは使用済燃料を含めた放射性廃棄物については、県外において、国の責任でしっかり対応すべきということを申し上げておりますが、こういったことについても、政府は真剣に耳を傾けていただいていますが、具体的な回答があるわけではありません。
したがって、まず先ほど言ったような中間貯蔵施設、あるいは燃料デブリを含む使用済燃料等の放射性廃棄物の在り方について、国自身が、まず具体的な方向性を示すということが、この廃炉の最終的な議論の在り方などの大前提として重要だと考えております。
【記者】
震災から11年を迎えます。3月11日には県の追悼復興祈念式も開かれます。
一方で、政府の追悼式が今年は行われないなど、コロナ禍もあって、風化の進行というのが懸念されるかと思います。3月11日を始め、風化の防止に向けた情報発信ということについて、知事がどういった心持ちで臨まれるか伺います。
【知事】
御指摘いただいた点は、私自身が今、一番心の中でウェイトが高い部分であります。
ちょうど、この3月11日で、震災から丸11年が終わって12年目になります。つまり、節目の年ではありません。
昨年は震災、原発事故から丸10年が経った、正に節目の年でありました。したがって、ちょうど東京オリンピックの開催会等も重なり、非常にいろんな形で福島の議論というものが国内外のメディアで取り上げられたかと思いますが、これから11年、12年、13年と節目ではない年が続きます。こういう中で、風化がどうしても自ずと進んでしまう部分があろうかと思います。また先ほど言っていただいた新型コロナウイルス感染症、この2年間というものは、我々が様々な情報発信するに当たって極めて大きな制限がかかっています。
やはり一番大事なことは、今日もそうですが、アクリルパネルがあり、マスクもしてはいますが、直接顔を見てお話できています。これはすごく大事だと思います。
実はこの2年間に、我々がやろうとした情報発信において、大事な、素敵なチャンスが沢山ありました。ところがそのほとんどがリアルではできず、中止になったものもあります。
あるいは、せめてオンラインでということで行ったり、ビデオメッセージを出したり、こういったぎりぎりの代替手段、コロナ禍の対応というところでは精一杯やっていますが、実際にリアルで、例えば東京に行く、あるいは沖縄に行く、あるいは世界に行って発信するのも、オンラインとリアルとバーチャルでだいぶ違うのです。
そのため、特に11年目、12年目といった節目ではない年にただでさえ風化が進む、その上、知事も含めて、あるいは市長さん、町長さん等もそうですが、実際に現場に行って直接訴えるという機会がこのコロナ禍によって失われていること、これは福島の復興、風評払拭、風化抑制にとって非常に大きなマイナスだと思っています。
ただ、このコロナ禍に対して文句を言っても何かが動くわけではありませんので、できることからやっていく、あるいは、今後はリアルでの情報発信を感染対策と両立しながら、できるだけ行っていくことが大事だと考えています。
今週末に、「ふくしま復興を考える県民シンポジウム2022」を白河市で行いますが、実はそこでも、正に今お話いただいた風化をどうやって抑制して行くべきかということをメインテーマにしようと思っております。知事として、その意識を心に置いて、11年目から12年目、この新しい年に向かっていきたいと思います。
【記者】
震災から11年ということで、海洋放出に向けての東電の事前了解に対して、どう考えていくかについて伺います。
【知事】
処理水の放出関連設備における審査申請について、昨年末、東京電力から、原子力規制委員会に対して実施計画の変更認可申請書が提出されました。
東京電力においては、今回示した計画の内容について、まず、関係団体等の理解が得られるように丁寧に説明することが必要であります。
また福島県としては、専門家の意見を伺いながら、協定上定められております、この計画の安全面について丁寧に確認をしてまいります。
【記者】
処理水を巡るTUFの情報公開請求に対しまして、(既に)公開されたものを不開示とするなど不適切な点があったとして謝罪されました。
この件に限らず、処理水については、県は情報公開に消極的な点が多々見受けられると思います。議論の過程を検証することは、議論の出発点にもなると考えますが、ここら辺の考えについて伺います。
【知事】
県の情報公開制度については、条例に則って対応しているところでありますが、今回の公文書開示の誤りについては、担当部局での対応が足りないところがあったと考えており、申し訳なく思っております。
今後は、改めて情報公開制度に関する知識の周知を職員に図るなど、再発防止を徹底し、より適切な制度運用に努めてまいります。
(終了)
【問合せ先】
○質問事項
1 県政世論調査の結果について
→総務部政策調査課 電話024-521-7238
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238
2 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238
3 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉について
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
4 風評・風化対策について
→企画調整部風評・風化戦略室 電話024-521-1129
5 トリチウム水の処分方法について
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
6 処理水関連の公文書開示請求について
→農林水産部水産課 電話024-521-7376