■日時 令和4年7月25日(月曜日)10時00分~10時25分
■会場 応接室
【質問事項】
1 ALPS処理水海洋放出関連設備の設置等に関する原子力規制委員会の認可について
2 福島県内のローカル線について
3 福島国際研究教育機構について
4 新型コロナウイルス感染症について
5 世界平和統一家庭連合(旧 統一教会)との関わりについて
【質問事項】
【記者】
福島第一原子力発電所の処理水について伺います。
海洋放出計画の正式認可を受けて、宮城県の村井知事が、海洋放出以外の処分方法の継続検討を求めていくとのコメントを発表されました。
改めての質問ですが、福島県として、福島県のみからの海洋放出を行う方法以外の検討を求めていく考えはあるか伺います。
【知事】
先週、原子力規制委員会が開催され、ALPS処理水海洋放出関連設備の設置等に関する実施計画の変更が認可されました。こういった状況の中で、今までお話があったような御意見も出たかと思います。
改めて、福島県としての基本スタンスをお話させていただきたいと思います。
ALPS処理水の取扱いについては、これまで国による関係者への説明や意見交換等が行われています。今なお、海洋放出に反対する意見や、新たな風評の発生を懸念する声、陸上保管による復興への影響を危惧する意見など、様々な意見が示されています。
廃炉と汚染水・処理水対策は、長期間にわたる取組が必要であり、県民や国民の理解が極めて重要であります。そのため、先月、経済産業大臣に対して、農林水産業や観光業の事業者を始めとした関係の方々に、丁寧な説明を行うとともに、関係者の声をしっかり受け止め、理解が深まるよう取り組むことなどについて、改めて県として求めたところであります。
今後も国が前面に立って「行動計画」に基づきながら、責任を持って取り組んでいただきたいと考えております。
【記者】
今のお話にもありました、「理解を深めていく」ことについては、非常に重要なことだと思い、処理水についてもう一点伺います。
政府と東京電力は、地元の漁業者と「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」という約束をしています。
この文言に出てくる「理解」、これは何を指す言葉なのか、そして、この「関係者」、これはどこまでを指す言葉なのかについて、知事としてどのように考えているか、非常に難しいと思いますがお伺いします。
【知事】
まず、今ほど御指摘のあった「約束」については、正に当事者同士が、その段階において真剣な議論を重ねながら、行われたものであると受け止めております。
ALPS処理水については、これまでも国に対し、誠意を持って漁業者の皆さんを始め、関係者の皆さんと意思疎通を重ねることが極めて重要であると申し上げてきました。
福島県としては、引き続き、国及び東京電力に対し、漁業者の皆さんを始めとする関係の皆さんの思いを真摯に受け止め、丁寧な説明を行うよう求めてまいります。
【記者】
処理水の話ですが、先週規制委員会で正式に認可されまして、東京電力が今後本格的な工事を始める上での条件として、現在、残っているのは、地元立地自治体、双葉、大熊そして福島県の事前了解ということになると思います。
この事前了解の現在の検討状況、そしてこの事前了解というのがなされたことによって、公の手続としては本格的な工事が進むということになりますが、事実上の処理水の放出を賛成することにならないのか、事実上のゴーサインなのではないかという、単純に一般の感覚として思うのですが、その辺り知事としての考えを伺います。
【知事】
先週、原子力規制委員会によって実施計画の変更が認可されました。
県としては、安全確保協定に基づき、提出されている事前了解願いについて、廃炉安全監視協議会を開催し、今回の認可内容の確認を行うとともに、関係の自治体や専門家の意見を伺いながら、設備の安全面に関する検討結果について、報告書の取りまとめを進めてまいります。その上で、この手続きは、東京電力が計画している設備について、必要な安全対策が講じられているかどうかを確認するものであります。
一方で、先ほどもこの場でも議論になっておりますが、様々な立場の方が、様々な御意見をお持ちであるというのが現状であります。そのため、政府に対して、農林水産業あるいは観光業の事業者を始めとした関係の方々に丁寧な説明を行うとともに、関係者の声をしっかりと受け止めて、理解が深まるよう取り組むこと、これを県として、今後も求めていきたいと考えております。
【記者】
県内のローカル鉄道の状況について伺います。
現在、国において、地方鉄道の在り方が積極的に議論されておりまして、バスへの切替え等も含めた提言などが検討されている段階だと伺っております。
県内にも、たくさんローカル鉄道があり、財政的に厳しい状況を抱えている地方鉄道が多くある中で、存続していく路線はどういうものになっていくのかについて、知事個人のお考えを伺います。
【知事】
今回、国あるいはJR等の関係者が、今後の地方鉄道、ローカル線の在り方について、様々な議論を積極的に行っていくことが必要なタイミングになってきているかと思います。
本県においては、JRが所管しておられます只見線を始めとするローカル線があり、また一方で、第三セクター鉄道の阿武隈急行、会津鉄道、野岩鉄道のような地方鉄道もあります。
今、名前を挙げた鉄道は全て、いわゆる経営面で言いますと、構造的に厳しい状況にあり、これは令和になって始まったことではなく、昭和・平成以前から構造的に簡単ではなかったという状況にあります。
その上、今、それぞれの地域で少子高齢化が進んでおり、また、新型感染症の影響で、そもそも人が移動しなくなる、観光に関しても思うように動けない、こういったことも影響して、それぞれの鉄道事業者は非常に厳しい状況にあるかと思います。
御承知のとおり、JR只見線については、東日本大震災の年に新潟・福島豪雨災害があり、自然災害によって寸断されてしまいました。その鉄道をどうするかということは、今回の取組に先んじて、JR、地域の自治体、県、あるいは国も含めて、様々な議論を重ねてきました。その結果、上下分離方式によって、今後も運行をしっかりと継続していくということで合意形成が図られ、10月1日から全線運転再開というところに来ております。
それぞれの地域によって実情は異なると思います。その地域、地元自治体や、地域住民の皆さんの思いを尊重しつつ、鉄道事業者などと真剣に議論を重ねていくことが、今は必要になってきていると受け止めております。
【記者】
只見線の例も先ほど挙げていただきましたが、(路線を)存続させるということになった時に、県として果たしていく役割があれば伺います。
【知事】
御承知のとおり、鉄道は一つの市町村の中で完結するものではなく、広域的な公共交通機関であります。
そして、その公共交通が、地域の生活の足として非常に重要な意義を持っています。例えば、学生さんの通学や、社会人の皆さんの通勤、あるいは車を運転しづらい方や高齢者の皆さんにとって、病院あるいは薬局に通うための足になる。さらには、観光など、人と人が交流する大事な寄る辺となるもの、それが地域の公共交通であります。
したがって、地域として、地域の公共交通をどういう形で維持存続していくのか。あるいは、バス転換することによるメリット・デメリットもそれぞれありますので、こういったものを、特に今の状況下で真剣に議論するということが重要だと思います。
【記者】
福島国際研究教育機構について2点伺います。
先週、(機構の)理事長が指名されるというニュースがありました。知事が(理事長指名者と)これまで面識があるのかということも含めて、期待感を伺います。
また、いよいよ立地場所の選定が来月に迫っていますが、検討状況について改めて伺います。
【知事】
先日、機械工学の専門家であり、今年3月まで、金沢大学の学長を務められた山崎光悦氏が、内閣総理大臣から、福島国際研究教育機構の初代理事長となるべき者として指名されました。このことは、機構の具現化に向けた重要な前進であると受け止めています。
山崎氏におかれては、金沢大学学長としての御経験を生かし、リーダーシップを発揮され、世界最先端の研究開発やその産業化、将来を担う人材の育成を推進し、福島イノベーション・コースト構想の更なる発展に御貢献いただきたいと考えています。
県としても、世界に冠たる「創造的復興の中核的拠点」、この実現に向け、広域自治体としての役割を果たしていきたいと考えています。
私自身は山崎さんとまだお会いしたことがございませんので、今後、機会を捉え、山崎理事長候補とお会いして、どういうお考えをお持ちか、また今後、機構をどういう形で発展をさせ、具現化していきたいと考えているのか、率直な意見交換を、是非、行いたいと考えております。
また、この機構の本施設とその整備までの仮事務所の立地についてであります。
これまで国において各種条件などの整理が進められてきた中で、国から県に対し、8月末を期限とした照会がありました。国からは、この国際研究教育機構の本施設の候補地については、避難指示が出ていた地域への立地を基本とし、市町村の提案等を踏まえること。また、仮事務所についても、令和5年4月の機構設立時点で入居可能な物件を提案するよう依頼されています。
この照会を踏まえ、県として、避難地域12市町村に提案を依頼し、本施設については、九つの市・町、仮事務所については、八つの市・町から提案の意向が表明されました。その後、意向表明のあった、全自治体から調査表の提出を受けました。県としては、現地調査やヒアリングを行った上で、8月中に候補地を選定して、国に提案し、9月に予定されている国の最終決定につなげてまいります。
【記者】
新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
先週、福島県感染拡大警報発令がありましたが、その後の感染状況をどう見ているか、改めて注意喚起と併せて伺います。
【知事】
新型コロナウイルス感染症の状況であります。
まず、こちらのカレンダーを見ていただきますと、6月末までは比較的落ち着いておりましたが、7月に入って、全ての日、24日間連続して、(新規陽性者数が)前の週の同じ曜日を上回る状況が続いています。(カレンダーにおいて、)この24日間の中で色分けがしてあります。黄色の箇所は前の週よりも100%以上も上回った日であり、ピンクの箇所は倍以上(200%以上)増えている日であります。この全体を見ていただきますと、前の週の同じ曜日の倍以上増えている日が多いということが、分かりやすいかと思います。
こちらの棒グラフを見ていただきますと、今回(新規陽性者数が)急激に増加している、その様が明確に分かります。特に、先週一週間でありますが、1,000人を超える日数が4日間連続し、特に、7月20日の1,232名、これは福島県としての過去最多を更新するという状況でありました。厳しい感染状況が継続しております。各種指標も軒並み悪化しております。
こういった状況の中で、なぜ今このような状況になっているか。やはり一番大事なことは、BA.5系統への置き換わりが進んでいること、これが本質的な構造要因だと考えています。
直近の一週間の(BA.5系統の)割合は47%です。(一週間ごとにその割合を見ますと、)1%、7%、25%、47%と、残念ながら、(BA.5系統への)置き換わりが非常に大きく進んでいる。
しかも、この直近の数字47%という数値ですが、このデータが出るまでにゲノム解析等に一定の時間がかかります。つまりタイムラグがありますので、大体この47%、5割近くの数字というのは、2週間から3週間前の状況を示しています。この一週間、(新規陽性者数が)1,000人を超えるのが当たり前という状況になっているということは、(現在の感染全体に占めるBA.5系統の割合は、)この47%ではなく、更に上回っており、より一層置き換わりが進んでいる中で、これだけ急速な感染急拡大が起きていると、県としては考えております。
正に第7波の中にあるという状況にありますので、先週、県として、感染拡大警報を出させていただいて、県民の皆さんと事業者の皆さんに、八つの留意点をお示ししております。
まず一点目ですが、マスクを正しく着用する。症状がある場合には、早めに受診をしていただくことです。特に夏休みですが、症状がある場合には、会食、食事やイベントに参加をしない、これが非常に重要です。これをおろそかにして、感染が拡大した事例やクラスターになっている事例が現実にありますので、体調が悪い時は出かけないでください。
次に、二点目は、陽性となった場合どうするかということです。「自分は大丈夫だ、自分の家族は大丈夫」だと思わずに、万が一の備えを今からしていただくことも重要です。
そして三つ目は、速やかなワクチン接種を検討していただくこと。
そして四つ目は、感染不安のある方、あるいは帰省等で御高齢の方や持病を持っている御家族とお会いされるような場合には、積極的に無料検査を活用していただくことも重要です。
また五つ目、BA.5は換気をしておくと相当(感染)リスクが低減されます。逆に言いますと、現在、事業所等でのクラスターも増えていますが、比較的狭い部屋で、換気を行わない、特に冷房など猛暑対策も講じているので、窓を開けるのが少し難しいという部分は十分に分かるのですが、換気をしない中、密閉された空間で結構な人数で議論し合っていると、どうしてもBA.5に感染しやすいというところがありますので、換気を徹底するということが、BA.5対策としては重要なポイントです。
次、六つ目は、夏休みということで、帰省、旅行、あるいは仕事での出張等もあると思いますが、移動する場合には、より留意、注意をすることも大切です。
そして七点目、お子さんと高齢者を守ること。これは重症化を防ぐためにも極めて重要でありますので、是非、今でも、県民の皆さん、事業者の皆さんは、お子さんや高齢者を守るために頑張っていただいているのですが、先ほども申し上げたように、福島県で1,000人を超えるのが当たり前という状況になっていますので、より一層注意していただくことをお願いしたいと思います。
そして八点目が、医療を守るということであります。今、福島県の各種医療機関等や、医師、看護師、医療機関の関係の皆さん、懸命に取り組んでいただいて、何とかコロナ病床と、一般病床、救急医療、この大事な3本柱の両立に向けて懸命に日々取り組んでいただいています。ただ、この1,000人を超える状況が、今週のこの平日もまた継続するということですと、より一層厳しい状況になりますので、今八点お話ししてきましたが、福島の地域医療を守るためにも、県民の皆さんや事業者の皆さんのお力を、是非、貸していただきたいと考えております。
【記者】
今の質問と関連してですが、正に最近でも、「病床の使用率」が急激に悪化してきている中で、医療提供体制の拡充など、何か対応を検討されていること等があれば伺います。
【知事】
こちらの指標は一週間ごとのデータになっておりますが、「病床使用率」も24.4%、29.9%、50.9%と推移しており、現在はレベル3という状況にあります。
とにかく日々1,000人レベルで感染者が出ますと、オミクロン株は比較的無症状、軽症の方が多いウイルスではありますが、母数が多いので、どうしても入院される方が増えてしまい、病床がひっ迫する傾向が強まります。したがって、やはり先ほども申し上げたとおり、とにかく日々の新規陽性者数を抑えていくことが何よりも重要です。
またもう一つ大事なポイントは「重症者用病床(使用率)」であります。これは比較的落ち着いておりまして、今はほぼ毎日ゼロが連続しているという状況であり、この45床に対して0%ということですので、直接、命に関わるようなリスクというのは、今日の時点では、ある程度抑えられているということかと思います。
これは、ワクチンの効果が相当出ている結果だと思います。したがって、高齢者の方、3回目、4回目のワクチン接種をしっかり行っていただく、あるいは若い世代の中でも持病のある方、こういった方は是非ワクチンを打っていただく。また若い世代はどうしてもワクチン接種率が低いという状況にありますので、ワクチンの接種というものを意識していただくことが、自分自身の症状を悪化させない効果が期待できますし、また周りの方々に感染を広げないためにも一定の効果がありますので、こういった点も、テレビ、新聞等の報道のお力も借りながら、是非、県民の皆さんにお伝えしていきたいと考えています。
【記者】
そうなると、今のところ医療提供体制としては、現状のままの対応を続けていくということでしょうか。
【知事】
まず、病床については、この一週間余り、即応病床の数を749床に向けて着実に増やしていくことに取り組んでおります。また、待機ステーションの運用も開始しました。
さらに、宿泊療養施設も1,500室というレベルでしっかり確保しており、現在、相当程度の余裕を持って運用しております。これらを組み合わせながら、入院あるいはホテル療養の必要な方については迅速に対応できる体制をしっかり確保します。
また一方で、自宅療養の方が増加しています。こういった方々との連絡体制も構築しながら、現在、市町村にも御協力を頂いておりますので、こういった皆さんのお力もお借りしながら、感染された方の健康観察、あるいは悪化しないような医療体制を万全に講じ、広域自治体としてしっかり取り組んでまいります。
【記者】
警報を発出されて八つの留意点を呼びかけされていると思いますが、行動制限についても、対応を検討されているような他県の事例等もあるかと思いますが、福島県として行動制限の必要性について、知事の考えを伺います。
【知事】
今、お話ししているように、福島県も厳しい感染状況が続いています。
また、全国47都道府県でありますが、その中の感染状況というものも相対的に見て、非常に悪い状況の、もう極めて深刻なレベルの県が、一定の行動制限を課されているという状況についても、私どもしっかり確認しております。
本県においてまず大切なことは、感染拡大警報を出して、この八つの留意点について、県民の皆さんと事業者の皆さんにしっかりと対応をしていただくことによって、一日一日の新規陽性者数を抑えていくこと。このことに力を尽くしていきたいと考えています。
【記者】
話題が変わりまして、世界平和統一家庭連合、旧統一教会との関係についてお尋ねします。
安倍元首相の銃撃事件をきっかけに、他県の知事を始め、政治家との接点がクローズアップされています。内堀知事はこれまでに旧統一教会や関係団体からそういう選挙の応援を受けたりであるとか、知事自身がスピーチされたりであるとか、そういう相互の接点等があるか伺います。
また、一御意見として伺いますが、旧統一教会と政治家との関わりについて、御見解をお聞かせください。
【知事】
平成30年に行われた福島県知事選挙の遊説中に、世界平和統一家庭連合 福島家庭教会に立ち寄り、挨拶をしたことがありました。
私自身、どういった団体かということについて、この場で具体的に申し上げる状況にはないと思いますので、その点については、回答を控えさせていただきます。
それぞれの政治家自身が、自分の考え方や政治と宗教との関係、今もその宗教と言っていいのかどうか、団体の性格が違いますので、ここの部分については、私自身が、それぞれの団体がどういう状況かということを十分に分かっておりませんので、お答えするのが難しいと考えております。
(終了)
【問合せ先】
○質問事項
1 ALPS処理水海洋放出関連設備の設置等に関する原子力規制委員会の認可について
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
2 福島県内のローカル線について
→生活環境部生活交通課 電話024-521-7177
(JR只見線の鉄道復旧について)
→生活環境部只見線再開準備室 電話024-521-8736
3 福島国際研究教育機構について
→企画調整部福島イノベーション・コースト構想推進課 電話024-521-7928
4 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238