知事定例記者会見
■日時 令和4年11月14日(月曜日)11時30分~11時50分
■会場 応接室
【質問事項】
1 知事就任・三期目を迎えて
2 新型コロナウイルス感染症について
3 原子力損害賠償紛争審査会の専門委員による最終報告について
4 総合計画の認知度について(県政世論調査を受けて)
5 新たな知事連合について
【質問事項】
【記者】
改めまして三期目に入られて、知事の所信を教えてください。
【知事】
11月12日から私の三期目がスタートしました。やはり今、心の中にあるのは17日間の選挙期間の県民の皆さんの思いであります。17日間かけて59市町村全てを巡り、多くの県民の皆さんと直接触れ合い、そのお気持ち、お考え、願い、希望を直接感じることができました。皆さんが県政に対して望む期待、願い、希望、こういったものを、この4年間でしっかりと実現していくために、誠心誠意県政に臨んでまいります。
特に、東日本大震災、原子力災害からの復興、度重なる自然災害、あるいは新型感染症、物価高騰対策など、喫緊する困難への対応、そして、福島県が抱える構造的な問題、急激な人口減少への対応など、県政の重い課題を一つ一つ解決しながら、県民の皆さんが復興と地方創生を実感できるように全力で取り組んでまいります。
【記者】
先ほどの(知事)訓示の中で、やりたいことの一つが「福島の発信」ということで、海外にも行ってないと話されていましたけど、処理水の海洋放出もあり、具体的にこの任期で、どういうことをやりたいかについて伺います。
【知事】
まず、私自身は、福島県知事に一期目就任して以降、大体1年間で3回ぐらい海外に行っていたかと思います。トータルで10数回、海外に行っておりますが、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、東南アジア、さらに南アメリカ、非常に幅広く各国に行きまして、政府の要人であったり、特に福島県の農産物の受入れに関わる方々と直接お会いをする、スーパーマーケットに行く、ダボス会議、あるいは国連でのプレゼンテーション、講演を行う、こういったことを行ってきたところであります。
それがこの3年間、実質的にできなくなっているということは、福島県をしっかり対外的に情報発信をしていく上で、非常に残念な期間であったと思います。
今後は、もう一度、現状というものを正確に発信するために、順次ではありますが、感染対策を行いながら、世界各国に私自身が、あるいは副知事等、県幹部も含めてですが、出かけていって、そこで直接皆さんにお会いをする。そして実は、お会いした方は、その後、福島に来てくれる方が非常に多い。なので、一方通行ではなく福島から諸外国に行く、そして、でき得ればその方々に、実際に福島に来て、見て、感じていただく。こういった双方向の良い意味での連鎖がつながるように、今年はなかなか難しいので、来年からになろうかと思いますが、是非、積極的に取り組んでいきたいと考えています。
【記者】
知事は、いわゆる「継往開来」ということで、ずっと掲げてやってこられましたが、前知事の佐藤雄平さんは、任期二期目の終わりに引退される時に、「花に十日の紅なし、権は十年久しからず」と言って後進に道を譲ったわけです。今回、三期目の途中で10年の節目となり、知事自身はこれまで21年、副知事8年と知事8年、県職員としても5年やっていますが、はっきり言って福島県職員の中で、もう知事より福島のことについて知っている人は、そんなにいないと思います。
そういう意味でも、三期目となってくると、いわゆる多選の弊害というのも少しずつ見えてきます。そういった気持ちで今、その「権不十年」という言葉をどう振り返りますか。
【知事】
一つの御意見として、しっかり受け止めさせていただきます。
私自身、今二期目が終わって、三期目に入ったばかりであります。大切なことは、知事職というのは、一期4年間というものを県民の皆さんの直接の選挙によって負託されているという立場でありますので、私自身にとっては、この4年間をどういう形で誠心誠意、福島県知事 内堀雅雄として務めていくのかということが、心の真ん中にあります。
また、当然、様々な御意見がそれぞれの方にあろうかと思いますが、私は現場主義と申し上げておりますが、多くの方の意見を、常に自分自身が率直に受け止めた上で対応しておりますので、県庁での仕事も頑張りますが、福島県内、あるいは県外、さらに世界も含めて、いろいろな方にお会いし、いろいろな方の思いというものをしっかり受け止めながら、全力で県政に取り組んでいく、特にこの4年間、これに全力を傾けるということに集中していきたいと考えています。
【記者】
先ほどの知事訓示の中で、情報発信について、「光と影の部分について堂々と発信していく」というようなお話がありましたが、正に今、伝えるべき影の部分については、どういったところがあるのか、またその影を伝える必要性、意味合いについて、知事のお考えを伺います。
【知事】
一言で言いますと、福島県の場合は、特に原子力災害による影、重い課題というものが、震災から11年経ってもまだまだ存続している、これが本質的な影の部分だと考えています。
例えば、双葉町でありますが、今年前半は住民が1人も帰還されておりませんでした。ようやく今年初めて本格的な避難指示解除がなされて、現時点では約40人が居住されていると聞いておりますが、避難指示解除が先行していた、例えば川内村ですとか楢葉町に比べると、まだ1%にも満たない帰還率、居住率という状況になっております。あるいは、若干先行している大熊町も、まだ4%に至らないという状況であります。
震災から12年目に入っています。しかし、12年目に入っても、住民の皆さんが古里に帰ることすらできていない。特に、自分の家のある地域が、まだ帰還困難区域である方が数多くおられます。
こういった方々の思いというものを、まず率直に訴えて、一度苛酷な原発事故を起こしてしまうと、ここまで復興に苦労するのだ、大変なのだということを伝えていくことが重要だと思います。
あるいは、原子力災害という意味で言いますと、東京電力福島第一原発の廃炉の問題があります。先週金曜日、私自身が14回目の訪問してまいりました。
その時、感じますのは、間違いなく廃炉対策は前進しているのです。東電の職員、あるいは政府も含めて、関係者皆さんが力を入れて頑張っていただいて、成果は出ているのですが、ただ今でも、例えば、燃料デブリの詳細な状況は分かっていません。あるいは、ペデスタルの損傷状況も分かっていません。そもそも11年経って現状分析もできていない。実際に建屋の中で穴が空いていて、それがあるが故に今、汚染水がまだまだ増えるわけですが、どこに穴が空いているかも分かっていないわけです。こういった部分というのが、正に影の一つの典型的な事例だと思います。
いわゆる自然災害からの復旧・復興ですと、大体3年から5年ぐらいすると一般的なハード面の復旧は、ほぼできます。福島県でもできています。
けれども、原子力災害であるが故に、これだけの期間がかかっても、まだ途上、更にこれから10年、20年、30年のスパンがかかる。こういったことを正確に発信する。ただ一方で、福島県は、これだけ光鮮やかな復興の前進があるのですよということも両方伝えないと、今の福島を正確に伝えることにならないと思いますので、光と影、両方を積極的に、国内外に発信していきたいと考えています。
【記者】
新型コロナウイルス感染症に関してお聞きいたします。
先週初め、全国知事会へ内堀知事も出席していましたが、そこで平井鳥取県知事が、第8波に関する認識で、「(第8波へ)入り始めているのではないか」と、(第8波の)入り口に入っているというような認識を示されています。
また、政府分科会の尾身会長も、第8波に入りつつあるというような御認識があり、北海道・東北を中心に感染拡大している中で、福島県の感染状況について、改めてこの第8波に対する認識を伺います。
【知事】
新規陽性者数が、福島県において、前の週の同じ曜日を上回る日が続いて、病床使用率も上昇するなど、感染が再拡大している状況にあります。
第8波が近づいていると考えられますが、引き続き、本県あるいは全国の感染状況を注視してまいります。
【記者】
コロナに関してですが、政府の方で対策強化宣言ということで、新たな行動制限を伴うものについて、検討が始まっているというところです。
先般、知事から若者を中心に感染拡大が顕著だというお話がありましたが、若者を含めた行動制限、こういったものの考え方、現在の見方を伺います。
【知事】
まず、対策強化宣言についてであります。先週、国の感染症対策分科会において、第8波対策として、各都道府県知事が対策強化宣言、あるいは医療非常事態宣言を発出し、感染リスクの高い行動を控えるよう要請できるようにすることなどが議論されました。
現時点で国から詳細な内容が示されているわけではありません。このため、引き続き情報収集に努め、今後の国の動向を注視しながら、県として県内の感染状況を勘案し、適時適切に対応してまいります。
現在の県内の状況でありますが、先ほど申しましたように、感染が再拡大している。そのために、やはり何よりも感染対策の徹底を行うことが重要な局面だと考えています。特に、今お話があったとおり、10代の若者で感染が急拡大しています。具体的な数値を申しますと、(スライド資料を指し)このオレンジの縦棒が10代の感染者数でありますが、先々週は1,243名。それが、直近の1週間、先週は2,283名と、他の年代に比べても明確に急増しています。
したがって、若者、10代の感染が拡大しているという現況を踏まえて、三つ、県民の皆さんにお願いしたいと考えています。
まず一点目ですが、マスクと換気です。会話を行う場合は屋内、屋外を問わずマスクを着用してください。また、十分な換気量の確保がオミクロン株対策には重要です。そして、その場合どうしても室内温度が下がってしまう場合があります。そこで、ウォームビズなど温かい服装で体温調節を工夫していただくこと、これも併せてお伝えしたいと考えています。
二点目は、ワクチンの早期接種についてであります。これまでの2年間は、年末年始に新型コロナは流行しています。今年の年末までに、重症化リスクが高い高齢者等の皆さんはもとより、若い方にもオミクロン株対応の2価ワクチン、こちらの接種を完了していただくようお勧めいたします。その接種については、(ワクチンの)種類にかかわらず、いずれか早く打てるワクチンで接種していただくことをお願いしたいと考えています。
そして、三点目ですが、感染の連鎖を断ち切ることです。まず、特に発熱やのどの痛み、せきなどの症状がある場合には外出をしない、これを徹底していただきたいと思います。仮に陽性になってしまった場合には、発症2日前までに接触した方に必ず連絡していただきたい。また、濃厚接触者となった場合には、5日間は自宅待機を徹底して、7日間が経過するまでは慎重な行動をお願いします。そして、症状が出てしまった場合には、抗原定性検査キットによって検査していただく。決められた療養期間は、外出することなく、人との接触を避ける。つまり、自分自身が濃厚接触として可能性がある、あるいは感染してしまった場合に、他者に対する感染の連鎖を断ち切るためにも、こういった基本的な対策の徹底をお願いしたいと考えております。
以上の三点について、是非皆さんのお力を借りながら、当面、県として強く訴えていきたいと考えております。
【記者】
今、質問のあった、政府分科会の第8波に向けた対策案について、案によると、飲食店の自粛等は求めないけれども、各都道府県知事の権限で、人出を抑えるというようなことを求めることが可能とされています。その場合、これから忘年会シーズンもあり、地域経済にとっては、場合によって大きな痛手となると思いますが、補償についてはどのようにお考えか、また、財源についてのアイデアがあるか、併せて伺います。
【知事】
今お話しいただいたのは、感染対策の徹底と地域経済、地域社会の両輪について、どのようにバランスをとるべきかという部分を念頭に置いてお話されていると思います。
実は先週の分科会の議論の方向性が示された後、知事会の新型感染症対策本部内で、正に議論を進めております。その中で、今回のものは、これまでのいわゆるまん延防止等重点措置とは違うスキームであります。したがって、その場合どうやって両者のバランスをとっていったらいいのかというところが、各都道府県知事も若干まだ分からないというところがございます。
今後、全国知事会として、政府に対して、この新しい分科会のスキームの内容が、まだはっきりしていないのですが、今、実はお話しいただいた点も含めて、こういった点を留意すべきだということを早急にまとめなければいけないと考えておりまして、今後、各都道府県知事から御意見を頂く場をできれば作っていきたいということで、今、内部調整をしているところでございます。
各都道府県知事の認識と私自身の認識も非常に同じ部分がございますので、取りまとめ役として各県の思いも含めて整理して、早急に政府にぶつけて、今回の第8波用の新たなスキームがより良い形になるように、また各県の状況が異なりますので、それに応じて知事が臨機応変に対応できるように、スキームを充実できるように是非取り組んでいきたいと考えています。
【記者】
取りまとめ役として、政府に財源の手当てまで求めていくお考えということでよろしいですか。
【知事】
今、正に、その議論をするための下準備をしていますので、今日のこの定例会見の場で、まだ具体的に申し上げる段階にはありません。
【記者】
今月、愛知県でもあったように、新型コロナウイルスワクチン接種を受けた人が亡くなる事案が発生していますが、県としてワクチン接種の副反応対策についての考えを伺います。
【知事】
この副反応対策については、現場の医療機関における速やかな対応というものが重要であります。これまで全国での事例、こういったものもお示しをしながら、各医療機関、保健所が迅速に対応できるようにきめ細かに情報提供する、あるいは、新しい事案が出てきたときは、それをまたアップデートして更新することも重要だと思っておりますので、こういった点に力を入れてまいります。
また、県民の皆さん自身が、そういう可能性があるということを知っていただくことも重要だと思いますので、ワクチンの早期接種をお願いするわけでありますが、その中で、副反応の問題というものについても、御理解が深まるように取り組んでいきたいと考えています。
【記者】
原賠審の関係ですが、9年振りに指針見直しの方針になりました。まず受け止めについて伺います。
【知事】
原子力損害賠償紛争審査会においては、今年3月の最高裁の決定によって、中間指針を上回る賠償額が、複数の判決で確定したことを踏まえ、専門委員により確定判決等の詳細な調査、分析を行っており、今般、最終報告が示されました。
この最終報告においては、苛酷な避難状況による精神的損害や古里の喪失、変容による精神的損害など、主に五つの論点が示されています。
原賠審においては、最終報告を踏まえ、指針の追加、見直しに向けた具体的な議論を進めるとされています。
引き続き、今後の原賠審における議論の状況を注視しながら、県としても、申し上げるべきことはしっかりと申し上げてまいります。
【記者】
被害者の救済が進んで「うれしい」とか、「よかった」というような、感情面での気持ちはあるか伺います。
【知事】
まず、今回、原発事故から11年が経っているところでありますが、特に原賠審の皆さんが、実際に現地調査を行い、また、被災者の方とも意見交換をする中で、こういう方向性が示されていると受け止めております。
大切なことは、今回の損害賠償でありますが、福島県の被害の実態を踏まえて、指針の見直しを含め、対応されることが重要であり、このことを福島県としてこれまで幾度も訴えてきたところであります。
こういった県としての思い、あるいは、協議会の要望活動もございますが、こういったものを真摯に受け止めた上で対応されることを期待しております。
【記者】
知事が三期目の公約に掲げられました総合計画について、先週、県政世論調査で8割が認知してないという結果が公表されました。地元紙としても、大変力不足を感じているところではありますが、この結果の受け止めについて伺います。
また、認知度向上に向けて、これまでも高校での授業などされてきたと思いますが、どのように取り組んでいくか併せて伺います。
【知事】
まずは今回の結果、真摯に受け止めております。
昨年10月に総合計画が策定されてから、私自身が各地域に赴いて、中学生、高校生など学生の皆さん、あるいは自治体職員の皆さんなどを対象にした特別授業や出前講座を行ってきました。これまでに400名を超える県民の皆さんに直接説明するなど、自分なりの周知に取り組んできたところであります。恐らく、これまでの百数十年の福島県政の中で、県の総合計画を直接知事がこうやって出前授業でやった例はないと考えております。
また、担当課の職員自身も講師となって、これまで35回の出前講座を実施して、1,700人を超える方々に御参加をしていただいています。
総合計画を知るということは、自分が暮らす地域について、あるいは将来について考える大切なきっかけとなります。県づくりを自分事と捉えていただく上でも、重要であると考えておりますので、こうした取組を着実に重ねていきたい、このように考えております。
【記者】
今月、22県による知事連合が新たに結成されたと思います。
全国知事会とのすみ分けも含めて、今後、この新しい枠組みに期待すること、取り組みたいことを教えてください。
【知事】
令和臨調が今、活発に日本という国の形について議論をしたいということで、各界各層の有志の方々にお集まりを頂いています。
私自身、しばらく前でありますが、知事会の有志として、この取組に参加しないかと言われて、「是非やりたいと思う」ということで、参加をさせていただいております。
今、日本という国が、世界情勢の激動の中にあるわけでありますが、従来のスキーム、特に昭和のスキームというものが、まだ地方分権の形一つとっても残っている。これが現実だと思います。
特に今、全国知事会のポジションにおいて、社会保障常任委員会の委員長、あるいは新型感染症対策本部の本部長代行ということをやっておりまして、こういった国の形の議論というものを本質的にやらないと、局所的な手当て、その場しのぎ、これを幾ら繰り返していても、この令和の時代には、構造的な問題の解決が難しいのではないか、こういう認識を持っています。正に今回集まった有志の知事の皆さんは、私とほぼ同様の感覚を持っておられます。
我々も当然、日頃から国の法律制度というものに則って仕事をしますので、これを大事にしつつ議論することももちろん重要なのですが、一方で、こういった制度、枠組みを新たに構築するとしたら、どれが今の令和の時代における理想なのだろうかという議論をするアプローチの仕方もあるのではないかと考えています。
今後、有志の皆さんと一緒に、そういった、そもそも論であったり、この国の形について、大胆に議論をしていくこと、これを楽しみにしております。
(終了)
【問合せ先】
○質問事項
1 知事就任・三期目を迎えて
→総務部広報課 電話024-521-7124
→危機管理部 原子力安全対策課 電話024-521-7252
→企画調整部 風評・風化戦略室 電話024-521-1129
→避難地域復興局 避難地域復興課 電話 024-521-8429
→生活環境部国際課 電話024-521-7181
→観光交流局 県産品振興戦略課 電話024-521-8026
→農林水産部 農林企画課 電話024-521-8183
2 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238
3 原子力損害賠償紛争審査会の専門委員による最終報告について
→避難地域復興局 原子力損害対策課 電話024-521-7103
4 総合計画の認知度について(県政世論調査を受けて)
→企画調整部 復興・総合計画課 電話024-521-7109