知事定例記者会見
■日時 令和5年3月6日(月曜日)10時00分~10時20分
■会場 応接室
【質問事項】
1 ALPS処理水の取扱いに伴う風評対策について
2 新型コロナウイルス感染症について
3 3月11日知事メッセージについて
4 県外での除去土壌の再生利用実証事業について
【質問事項】
【記者】
処理水の海洋放出についてお伺します。
今週末公表されました全国世論調査と県民世論調査で、処理水の海洋放出に伴う風評被害について、「風評被害が起きる懸念がある」という回答が約9割を占めました。
このことについて、まず知事の受け止めと、また、国民や県民の方が感じているこのような懸念について、どのような姿勢で取り組んでいくのか考えを伺います。
【知事】
ALPS処理水の取扱いについては、これまで国に対し、関係者への丁寧な説明や、情報発信の充実強化、万全な風評対策に責任を持って取り組むことなどを強く求めてまいりました。
ALPS処理水の問題は、福島県だけではなく、日本全体の問題であります。今、御指摘があったとおり、最近、様々な調査結果が示されております。
政府においては、こうした状況をしっかり踏まえ、まず県民、国民の皆さんの理解を深めていくこと、これが重要であります。
これまで国においては、全国地上波でのテレビCMや新聞広告など、様々な媒体を活用した情報発信に取り組んでいます。引き続き、国が前面に立って、正確な情報を分かりやすく、県民の皆さん、国民の皆さんに継続して発信するとともに、行動計画に基づき、政府が一丸となって万全な風評対策を講じていくよう、機会を捉え、求めてまいります。
【記者】
処理水の関係で、世論調査等を見ると、県民の間でまだ風評の心配であったりとか、海洋放出についても賛否が分かれているという状況があると思います。もちろん国が前面に立って対応することが一番必要なことでありますが、県として、主体的な関与を強める必要性というのはどのようにお考えか伺います。
【知事】
まず、このALPS処理水の風評の問題。県内でも、国内でも、世界でもそういった懸念というものが多くあるのが現実かと思います。そういう状況の中で、このALPS処理水の取扱いについては、新たな風評を懸念される声、また、陸上保管の継続による復興への影響を懸念される声など、本当に複雑な、様々な声が示されています。この処理水の問題は、福島県だけの問題ではなく、日本全体の問題です。
やはり、県民や国民、また世界における理解というものが重要ですので、国においては、今回の様々な調査結果等も踏まえながら、科学的知見に基づいた正確で分かりやすい情報発信、そして事業者支援といった万全な風評対策にしっかり取り組んでいただきたいと思います。
特に、この問題の影響を直接受けられるのは、漁業者の皆さんです。漁業者の皆さんが、これまで政府との対話の中で、幾度も「未来の世代に向けて、福島の水産業を残していきたい」ということを強く訴えておられます。そういった思いを真摯に受け止めて、最大限の風評対策をしっかりとっていただくよう、県としても訴え続けていきたいと思います。
また、福島県として、今、12年が経過しようとしていますが、その中でも、先ほど申し上げましたように、根強く残る風評の払拭に向けて、福島県の正しい現状、そして、様々な挑戦、チャレンジしている姿、あるいは地域や県産品の魅力等について、対面やオンラインといった工夫を重ねながら、戦略的に発信していきます。
また、実際に福島に来て、見て、実感していただくこと、これが非常に大きな効果がありますので、県としては、いわゆる国内外のお客様を福島にお迎えできるような取組を進めていく中で、福島県に対する理解と共感の輪を広げていきたいと考えています。
【記者】
新型コロナウイルス感染症対策について伺います。政府において、「13日から、マスクの着用については個人に委ねる」という方針が示されています。
知事も先日、個人の判断を尊重されるというお考えを示されましたが、県職員の皆さんに対してはどのような対応を求めるのか、考えを伺います。
【知事】
2段階に分けてお答えしたいと思います。
まず基本的な考え方でありますが、マスクの着用については、3月13日から、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本とすることとされました。
一方で、高齢者など重症化リスクの高い方への感染を防ぐために、医療機関の受診時や高齢者施設等を訪問するとき、混雑した電車やバスに乗車するときなどは、マスクの着用が推奨されています。また、医療機関や高齢者施設等の従事者については、勤務中の着用が推奨されています。県民の皆さんお一人お一人が、感染リスク、重症化リスクを正しく理解していただいた上で、マスクの着用が効果的な場面では着用をお願いします。
マスク着用の考え方が変わっても、ウイルスの特性が変わる訳ではありません。県としては、マスクの着用が効果的な場面を分かりやすく情報発信するとともに、個人の判断を尊重してまいります。
次に、御質問を頂きました職員の関係です。
職員一人一人が感染リスクや重症化リスクを理解し、十分な換気、3密の回避、人と人との距離の確保など、基本的な感染防止対策を徹底した上で、原則、個人の判断を尊重いたします。
一方で、マスク着用の必要性が高い場面では、引き続き、着用することが有効と考えられます。例えば、高齢者の方と職員が対面で相談をする場合や、その高齢者の御自宅を訪問される場合など、重症化リスクの高い方が身近にいる場面等では、職員にマスクの着用を求めることにしたいと考えております。
【記者】
今の関連ですが、知事御自身は、基本的には、公務でマスクを外すということになるのか、伺います。
【知事】
このマスクの着用の仕方は、特に知事という立場でもありますので、極力、県民の皆さんと接するような場合で、なかなか距離等の確保が難しい場合には、着けた方が適切かと思います。特に、高齢者の方とお話しする機会もありますが、そういった際にはマスクを着用していきたいと思います。
一方で、今、様々なイベントや、本日の会見もそうですが、一定の感染対策をしっかりとってお話ができる場合には、マスクを外してお話をする、特に表情を見せたり、「今、知事はどんな思いなのだろう」ということを県民の皆さんに知っていただくという観点においても、マスクを外すことには意義があろうかと思いますので、そういった点について、一つ一つ、きめ細かく判断していかなければいけないと考えています。
【記者】
震災の関連ですが、今週土曜日に3月11日を迎えます。知事は毎年、メッセージを全国に発信していますが、今年のメッセージに込めた思いを教えてください。
【知事】
今週末、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から12年が経過いたします。この間、県民の皆さんの懸命な御努力、そして国内外からの温かい御支援を頂く中で、福島県は復興・再生を着実に前に進めることができました。これまでの県民の皆さんの御努力、そして、多くの方々からの温かい「福島頑張れ」というエールに、心から感謝を申し上げたいと思います。
私自身、知事メッセージを発出しておりますが、この12年間を振り返って、前に進んだ部分、いわゆる光の部分と、12年が経っても難しい課題があるという影の部分を要素として大切にしております。
例えば、この12年間、除染を一生懸命進めて、各地で避難指示(の解除)を着実に進めることができました。そして、特に、避難指示解除が先行的に進んだ自治体においては、かなり多くの住民の方が古里に帰って住むことができている、あるいは、帰還困難区域を多く抱える自治体においても、復興拠点の避難指示解除が進んで、12市町村全てで、一部の地域ではありますが、古里に帰って暮らすことができるようになっています。
復興拠点外においても、新たなスキームが出てきているということで、一定の希望を示すことができる状況にはなっているかと思います。
また、県産農産物についても、原発事故直後は本当に辛く苦しい思いをしていました。正に風評以前の問題でしたが、安全対策を講じ、その後、モニタリング検査を着実に進める中で、福島県産の農産物に対する抵抗感が和らいで、特に国内においては、福島県の農産物の品質の高さ、おいしさというものを評価していただいて、多くの方に笑顔で食べていただけるようになりました。さらに、輸入規制を継続していた諸外国においても、輸入規制の撤廃が続き、県産の農産物の輸出量が過去最高を更新しました。あるいは、福島県に、特に若い世代を中心として移住される方が増えている。こういった明るいニュースを増やすことができたのは、正に復興の前進だと考えています。
ただ一方で、残念ながら、東日本大震災と原子力災害、いわゆる複合災害からの復興はいまだ途上です。
先ほど、徐々に避難指示が解除されて住民が戻ってきていると言いましたが、先行している地域でも、実は戻っておられる方は、高齢者の方が比較的多く、若い世代が少ない。したがって、居住率が高まっても、新しく企業が立地して働き手を求めていても、そこでの働き手が足りない、十分ではないという新しい課題に直面しています。
また、生活環境はできる限り元に戻すようにしていますが、震災、原発事故前の便利だった買物環境、教育環境、医療環境とは、まだ相当かけ離れているという現状があります。
したがって、こういったものも含めて、避難指示解除が進んでいる地域でも、これから避難指示解除が進む地域においても、なすべき課題解決というものは様々あると考えています。
また、複合災害からの復興だけではなくて、その後も、令和元年東日本台風、令和3年・令和4年の福島県沖地震、さらに新型コロナウイルス感染症への対応、鳥インフルエンザの対応と、次から次へと新たな自然災害や困難が目の前にある。
そしてもう一つ、大きな大きな問題が急激に進む人口減少、こういったものも抱えています。
だからこそ、震災から12年ということで、これまでの期間を振り返って「ここまで前に進んできたな」という思いは持ちつつも、まだまだ目の前に、大きな壁、山がそびえ立っているのも事実であります。こういった課題解決に向けて、私たちの挑戦、チャレンジを更に「シンカ」させていくという思いで、県政に臨んでいきたいと考えています。
こうした思いを、もう少し短くなりますが、文章に整理して、英語等も含めて、国内外に発信していきたいと思います。
【記者】
関東での、除染土の再利用について伺います。
環境省が年度内での開始は見送る方針ということを決めたようです。まず、これについての受け止めをお願いします。また、環境省によると、地元の同意のプロセスは想定していないということですが、これは、進め方によっては、福島や福島県民にも批判が向きかねないという懸念があるかと思いますが、この点についてどのように考えるか伺います。
【知事】
今あった、そういったお話については、報道等で拝見をしております。
まず我々の基本スタンスでありますが、この県外の最終処分は法律に定められた国の責務であります。県としては、国に対して、国民の理解を深めるための取組を着実に進めていただくこと、あわせて、最終処分地の選定方法等の具体的方針、工程を早期に明示して、目に見える形で一つ一つのステップを着実に進めていくよう、求めているところであります。政府においては、様々な状況も踏まえながら、我々のこうした思いにしっかり応えていただきたいと考えております。
【記者】
進め方についても伺いたかったのですが。
【知事】
今申し上げたとおり、福島県は「法律上の約束をしっかり守ってくれ」という本質を、訴え続けているところでありますので、今後ともその思いを伝えてまいります。
(終了)
【問合せ先】
○質問事項
1 ALPS処理水の取扱いに伴う風評対策について
→企画調整部風評・風化戦略室 電話024-521-1129
2 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238
3 3月11日知事メッセージについて
→企画調整部企画調整課 電話024-521-8627
4 県外での除去土壌の再生利用実証事業について
→生活環境部中間貯蔵・除染対策課 電話024-521-7276