知事定例記者会見
■日時 令和5年3月27日(月曜日)10時00分~10時20分
■会場 応接室
【質問事項】
1 福島国際研究教育機構(F-REI)の設立について
2 とうほう・みんなの文化センターについて
3 新型コロナウイルス感染症について
【質問事項】
【記者】
今週末、4月1日に福島国際研究教育機構が開設します。
その県内全域への効果、波及であったり、いろいろと課題もありますが、そういったところの期待と、課題の克服について県としてどう取り組むのか伺います。
【知事】
福島国際研究教育機構、いわゆるF-REI(エフレイ)が、来月1日に設立されます。
F-REIは、福島の復興実現に向け、国が総力を挙げて取り組むプロジェクトであります。福島の創造的復興の中核拠点として、世界最先端の研究開発や、福島イノベーション・コースト構想を力強く牽引する取組、復興に向けた人材育成等を強力に進めることで、「福島の復興を実現する拠点」、「世界に冠たる拠点」、「地域に根差した拠点」になっていただくことを期待しています。
特に、F-REIがその力を最大限に発揮し、福島の復興に貢献していただくためには、地域に根ざし、県内の大学や研究機関、企業、教育機関等と共に事業を進めていくことが重要です。
県内には、F-REIと連携できる大学や研究機関、企業等の集積が着実に進んでおり、関連の研究や事業が先行して行われています。
また、実証フィールドとして活用することができる農地や未利用地が多く存在していることから、こうした強みを最大限にいかし、県内の多様な主体とのネットワーク形成を進め、F-REIと地域との結び付きを深めていきたいと考えています。
さらに、地域の小学生、中学生などが最先端の研究や学術分野に触れる機会として、出前講座や体験講座をF-REIの研究者の皆さんに実施していただくこと、また、教育現場との連携も深めていきたいと考えています。
F-REIと多様な主体との連携を深めることで、F-REIの機能を最大限に発揮させ、福島イノベーション・コースト構想のシンカにもつなげるなど、福島の復興を更に進めてまいります。
【記者】
今、「地域に根ざした機構になる」というところが大事だという話がありました。県としても、いろいろ体制づくりの部分であったり、連携の部分で注力されている部分があると思います。私も浜通りの方で取材した時に、「結局、機構(F-REI)と自分たちが、どこまでどういう形でつながれるのかというと半信半疑だ」という声を実際に聞いています。
そういった見える形、成果であったりとか、つながりを、どういった形で県としても後押ししていくのか、改めて伺います。
【知事】
F-REIは、正にこれからスタートする大事な施設であります。まだ浪江の事業所も仮の事務所でありますし、これからがスタートだと考えています。
今回、このF-REIの大事な先例になるのが、福島イノベーション・コースト構想の具体的な取組です。例えば、ロボットテストフィールド、あるいは浪江の水素製造拠点など、伝承館も一種のそういった性格を持っておりますが、既に地域に核として存在している具体的なプロジェクトがあります。それぞれF-REIとは異なる組織でありますが、地域に根差す拠点になるということが、大事な使命として掲げられておりまして、そういったもののため、ネットワーク組織を作ったり、実際に工場、事業所、企業、あるいは研究者や大学が参画して取り組んでいる先例、実例が幾つもあります。
そして、うまくいっているものもありますし、結果として、まだなかなか成果が出ていないものもあります。こういった、正に身近な事例というものを大事な例として、F-REIにおいても取組を広げていき、ネットワークを深めていくことが重要です。
令和5年度においては、F-REIに関わるネットワーク化に福島県が広域自治体として積極的に関わってつくっていこうという事業を予算化しているところであります。
こういったものを是非いかしながら、F-REIを地域に根差す拠点として確立することができるよう、積極的に取り組んでいきたいと思います。
【記者】
今の質問に重ねてですが、地域に根差すということや、福島イノベーション・コースト構想からの蓄積や経験をF-REIにいかすということが、非常に重要になってくると思います。
イノベーション・コースト構想の例を見ても、まだ人口が急激に増えているという状況ではないですし、自治体等に伺うと、「今は補助金があるから企業誘致などを進めやすい」という声もあるかと思いますが、今の時点でイノベーション・コースト構想の課題、F-REIにいかせる課題というものを、知事の中で今どのように総括しているか伺います。
【知事】
まず、具体的な「光」の部分で言いますと、福島ロボットテストフィールド、あるいは伝承館、浪江の水素製造拠点等は、本当に多くの方々が参加されています。
その参加というものも、正にその地域に事業所や工場を持って、新しいドローンであったり、空飛ぶクルマに関わったり、あるいは研究開発をする、こういった具体の事業に熱心に取り組んでいただいているスタートアップのメンバーの方々がたくさんおられます。
例えば、ロボットテストフィールドは、当初、研究用のスペースというものを一定数用意していたのですが、あっという間に一杯になってしまって、その後、会議室等をスペースに作り替え、さらに拡張しても、また一杯になってしまった。そして、そこからスピンアウトして、近くに工場を作って、本格的に新たな製品等を供給されている事業者さんもおられます。
こういったことに取り組みながら、既に600を超える研究開発が行われていまして、全国、あるいは世界から数多くの方々が来られて非常ににぎわっています。また、ロボットテストフィールドは、あの場だけではなく、例えば、南相馬市等のバーやカフェなどでロボテスにちなんだメニューを出したり、カクテルを出したり、お土産のお菓子を出したり、宿泊の受入体制も旅館・ホテル等が連携して一緒に取り組む、こういった好事例も見られます。
あるいは、浪江の水素製造拠点は世界最大級の(製造装置で)水素を作っていますので、それを是非使おうじゃないかということで、トヨタさんであったり、いろいろな企業が関わって、浪江で出来たメードイン浪江の水素を使って、それをどのように運んで活用するかといった取組も既に具体的に行われています。
また、伝承館については、コロナ禍であったにもかかわらず、我々の想定を超える多くの方々が来られています。
そして、ホープツーリズムも一つの典型でありますが、請戸小、あるいは富岡町であったり、他の地域における震災の遺構とも連携しながら、数多くの方々が来て、「他人事ではなく、自分事だ」ということで、震災・原発事故というものを再度、学び直す重要な場になっているかと思います。
こういったものは、正にF-REIが、実際にこれから様々なプロジェクトに取り組んでいくに当たって、非常に参考になる先進事例だと思います。
一方で、難しい課題であるのは、どちらかというと外から来られた方が関わる場面が多いということです。元々地域に住んでいた方々が、どれだけ距離が近づいたかというと、まだまだ足らざる部分があると思います。
一方で、南相馬の企業さんたちが自ら関わって、南相馬の事業所だけでロボットをつくるという事例もあります。これは正に良い事例なのですが、数多くあるかというと、そこまではいっていません。
したがって、地元に住み、暮らす双葉郡であったり、相馬地方であったり、避難地域の方々が、F-REIは正に自分の施設だと思ってもらえるようにするためには、いろいろなステップを乗り越えていかなければいけないという思いもありますので、古里に帰還される方、移住される方、あるいは研究される方、皆さんが一緒になってこのプロジェクトを前に進めていき、浜通り、福島、日本全体の復興に役立つように頑張ろう、そう思っていただけるようなネットワーク構築に広域自治体として取り組んでいかなければいけない、こう考えております。
【記者】
地元の方が関わりづらい、というのは何がネックになっているのでしょうか。
【知事】
行われていることがかなり先進的な研究である、というところがあるかと思います。
F-REIは、世界に冠たる拠点になるということを目指していますから、当然ながら日本や世界でもトップレベルの方々が来られる。そうすると、地元の方にとってみると、それは「少し敷居が高いな」と思われるのは当然だと思うのです。
ただ、冒頭の御質問にお答えした時にも言いましたが、例えば、農業で言えば、地元の方々が既にやっておられます。今までやっていた農業について、原発事故によって全町避難・全村避難になった地域を、営農再開して復活させていくために、一定の大規模化を行い、スマート農業をして、また高齢者の方でも多面的に新しい農業に挑戦していただくということは、地元の方であっても現にやっておられる方がいますし、可能だと思います。
したがって、地元の方自身が「この切り口だったら参画できる」などと感じていただけるような身近な課題というものをF-REIサイドから提示していくということが、その敷居の高さを低くしていくための大事な一歩になると考えています。
【記者】
F-REIの関連ですが、知事から先ほど「光」の部分というところで、ロボテスとか水素フィールドの地元の盛り上がりという先進事例の話がありました。
それは立地市町が中心となった動きなのかと思いますが、F-REIに関しては、予てから立地町だけでなく広域波及というお話をしています。
ロボットテストフィールド、水素フィールドに関して、立地市町を超えたところへの波及について、現状を知事はどのように見ているのかということ、さらに、F-REIに関してどのように取り組むのかについて、改めて伺います。
【知事】
例えば、福島ロボットテストフィールドは(関わっているのは)南相馬市だけではないと思います。これも先ほども言ったとおり、全国から本当に多くの研究者の方々が来られていますし、関わっている大学も非常に多い状況です。ですので、やはり一つの地域だけということではないと思います。
また、浪江町の水素製造拠点も、当初はFH2R(福島水素エネルギー研究フィールド)で作っているということがスタートになっているのですが、トヨタ自動車さんとも議論して、浪江町での水素利用もやるけれど、人口30万人規模での水素実証をやろうじゃないかということで、先日、郡山市において、ヨークベニマルさんが水素のFCトラックを使って荷物の配送を始めています。
また、いわき市や福島市でも水素ステーションが出来ており、今後本宮市でも24時間体制のものが出来る。そして今日、実は昼にキッチンカーをお披露目しますが、これは県内の広域エリアで水素を使う非常に環境に優しいキッチンカーで、正に地元の食材をその場で調理して食べるという、これまでなかった取組だと思います。
また昨年、山梨県の知事と連携協定を結んでいます。今後、田村市に新しい水素製造拠点が出来ますが、水素の製造の仕方というのは大きく二つあります。A方式とB方式があるのですが、例えば浪江町のものをA方式とすると、今度田村市に出来るものはB方式、全く違う作り方であり、それぞれメリット・デメリットがあります。しかも、田村市のものも(浪江町と)同じく世界最大級となります。同じ県内でA方式とB方式の両方がこれだけの出力で出来るというのは、福島県のみです。浪江町が起点となっていますが、それが間違いなく広がりを持ってきているということですので、先ほど冒頭で言ったネットワークにより、多くの方々に参加していただくことで、立地町だけではなく、周りも一緒になって盛り上がるということは十分可能だと考えています。
【記者】
昨年の地震で被災した、とうほう・みんなの文化センターについて、先日の包括外部監査の報告書でも、「老朽化なども考慮するべきではないか」という意見がありました。
県では、費用が5億円程度、工期が1年半ぐらいかかりそうだということを示していますが、これは修繕の方向で進めたいということなのか、伺います。
【知事】
この文化センターの取扱いについては、先日の2月県議会でも、担当部局長の方から答弁をしているとおりです。
令和5年度予算の中で、今後の修繕をしっかり行って、当分の間、安定的に使える施設をしっかり作っていこうということが、考え方であります。一方で、中長期にわたってどうするかは、また別の問題ですので、今回の包括外部監査等も見ながら、今後時間をかけて議論していくということかと思います。
【記者】
新型コロナウイルス感染症について伺います。マスクの緩和から2週間が経過しましたが、県内の感染状況は落ち着きを見せている中で、改めて県内の状況をどう見ているか伺います。また、第8波のピークアウトの認識についても伺います。
あわせて、4月1日から学校でもマスク着用が緩和になりますが、改めて学校現場での注意喚起がありましたら伺います。
【知事】
この5日間、新規陽性者数が前の週の同じ曜日より、少し増えた形になっていますが、この一週間を足し上げると、実は前の週より直近の一週間の方が、総数では減っています。したがって、何とか減少傾向は維持できている状況です。とはいえ、5日連続で前の週の同じ曜日を上回っているのも事実ですので、やはり3月13日以降、マスクの着用が個人の判断に委ねられた、あるいは、年度末、年度始めに向けて、人の交流が非常に活発化する時期でもありますので、やはり一定程度、また感染が少し広がる傾向にあるということ、両方が混ざり合っているのかなと思います。
第8波ピーク時は、昨年の12月に、1日当たりの新規陽性者数が3,705人、過去最多ということでありましたが、現在、特に3月の状況を見てみますと、第8波のピークアウトは当然しているという認識になっています。
その前提で、本県においても、先週、レベル1という判断をしました。これまで、レベル2の中でも相当厳しい時期もありましたが、徐々にレベル2の中でいい形になり、更に安定的な状態になったということで、レベル1ということを皆さんにお示しすることができました。
これも県民の皆さんや事業者の皆さんに、この3年間、新型感染症と向き合いながら真剣に感染対策を継続していただいた結果、おかげであると考えております。また、特に医療関係の皆さんには、本当に苦労しながら、今でもまだ苦労は続いていますが、奮闘していただいているおかげでありますので、全ての皆さんに心から感謝申し上げたいと思います。
ただ先ほど言ったとおり、これから年度末、年度始めに向けて、どうしても人の動きが、卒業する、進学する、転勤する、あるいは、県内でも県外でも観光が活発化していくという部分もありますので、引き続き、基本的な感染対策に留意していただきたいと考えております。
そして学校関係ですが、現在、学校については先週お話ししたとおり、政府の方向性というものが示され、原則としてマスクを着用しなくてもいいとされました。ただし、特別な状況に限ってはマスクの着用もあり得るということで、一定の具体的な方向性が示されました。
県内の公立の学校、私立の学校にそれぞれ、政府の方向性をお示ししておりますので、学校現場においてはそれを踏まえ、新学期に向けて適切に対応していただきたいと思います。
また、感染はある程度落ち着いた傾向にありますが、今後また、仮に急激に増えるような場面があれば、当然ながら注意喚起の仕方が変わってくるということになりますので、県としては、感染状況を注視しながら、時点、時点で臨機応変に対応していきたいと考えています。
(終了)
○質問事項
1 福島国際研究教育機構(F-REI)の設立について
→企画調整部福島イノベーション・コースト構想推進課 電話024-521-7112
2 とうほう・みんなの文化センターについて
→文化スポーツ局文化振興課 電話024-521-7159
(包括外部監査について)
→総務部職員研修課 電話024-521-7034
3 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238