知事定例記者会見
■日時 令和5年7月10日(月曜日)10時00分~10時20分
■会場 応接室
【質問事項】
1 ALPS処理水の取扱いについて
2 新型コロナウイルス感染症について
3 只見線の利活用促進について
4 県職員の不祥事の再発防止のための取組について
【質問事項】
【記者】
処理水のことに関してお聞きいたします。
IAEAのグロッシ事務局長が公表された報告書に関して、こういった形で手続きが進んでいますが、なかなか県内では、反対の声であったり、懸念の声というのが依然としてあります。
現在、政府のほうでもそういった風評対策ということで、改めて努めるということを言っていますけども、まず県内の現状、その理解の部分を知事としてどういうふうに見られているのか伺います。
【知事】
ALPS処理水の取扱いについては、これまでも国に対し、関係者への丁寧な説明や情報発信の充実強化、万全な風評対策に責任を持って取り組むことなどを強く求めてきました。
先週開催された廃炉・汚染水・処理水対策福島評議会においても、参加者の皆さんから理解の醸成や、風評対策の徹底、安全性の確保などについて意見がありました。
太田副大臣からは理解醸成に更に努めること、安全性の確保、風評対策に万全を期していくなどの発言がありました。
国においては、基本方針や行動計画の中で、農林漁業者等の生産者、流通・小売事業者や全国の消費者などの理解醸成に向けた具体的な取組を自ら示しています。
そうした取組を更に徹底し、最後まで責任を持って取り組むべきであると考えております。
【記者】
先週の会見でも、時間の経過とともに難しい課題になっているという御指摘がございました。そういった中で、今夏にもということで政府の方針、処理水海洋放出する時期に関しては堅持するという姿勢です。
ここで県として、具体的な提案ということも期待として高まっていると思うのですが、どういった形で発信していくか、お考えを伺います。
【知事】
ALPS処理水の取扱いについては、漁業者の皆さんを始め、県民の皆さんも、様々な葛藤を抱えながら、それぞれの立場から御意見を述べられています。
そのような中、県は広域自治体として、そうした葛藤なども含め、県民の皆さんの様々な思い、御意見などを機会あるごとに、国及び東京電力に強く訴えてきました。
国においては、県民の皆さんの思いをしっかり受け止め、引き続き、丁寧かつ十分な説明を重ねるとともに、基本方針や行動計画の中で、自らが示している取組を更に徹底していくことが重要であると考えております。
【記者】
最後になりますけども、そういった中で、県から国に対して、国が直接県に入ってきて、何かこう対話の場であったりとか、説明会であったり、あと、改めて、知事と担当閣僚との間の話し合いの場であったりとか、そういったものを求めるというお考えはあるか伺います。
【知事】
これまでの状況及び現在の情勢等を踏まえ、県として、国に対して直接申し上げるべきことは、先月、官房長官、経済産業大臣、復興大臣等に対し直接申し伝えているところであります。
今後もこういった取組を続けてまいります。
【記者】
処理水の関係ですが、科学的な安全については、IAEAの評価が出て国際的にも国内的にも広がってきていると思います。
一方で、まだ反対している県民の皆さんに対する、外からの視点というのがより厳しいものになってきているという現実もあると思います。それは、科学的な安全性を理解できていないというようなレッテル張りじゃないですけれども、そういう言説があるというふうに思います。
ただ、県民の皆さんが反対している理由としては、安全性のことだけではなくて、廃炉全体の工程が思うように進んでいない現実であったりとか、地域の復興をどう考えてくれているのかが見えてこないというところに、もどかしさを感じて、このまま処理水問題を進めないでほしいと思っていらっしゃる方もたくさんいると思います。その県民が、科学的な安全を理解できていないというレッテルを張られたり、あるいはそういう状況にあって声を上げづらい、反対すること自体を言いづらくなってしまう現状について知事はどのように考えているのか伺います。
【知事】
今、外からそういうレッテル張りという御発言があったのですが、外からというのは、海外からという御趣旨ですか。
【記者】
海外からというより国内です。
【知事】
まず、大前提として、今般、IAEAの包括報告書が整理されたところでありますが、それに対する基本的な考え方をお話ししたいと思います。
先週、IAEAのグロッシー事務局長が来日され、岸田総理に対し、ALPS処理水の安全性に関する包括報告書を手渡されました。翌日には、福島県を訪問して、廃炉・汚染水・処理水対策福島評議会において直接説明をされるとともに、福島第一原発を視察されました。
IAEAの包括報告書は11か国の原子力に関する専門家で構成されたタスクフォースによって、実施計画の確認作業や現地調査を基に取りまとめられたものであります。世界各国における原子力施設の状況を把握している国際機関によるものであり、ALPS処理水の安全性に関する科学的かつ技術的な報告書であると受け止めております。
また、グロッシー事務局長は、地元自治体や関係団体との直接の対話において、将来にわたり、IAEAが、ここ福島の地で処理水に関わり続けると言明されました。ALPS処理水の取扱いに関しては、国内外の理解醸成に向け、様々な取組を進める上でも、客観性や透明性を確保することが重要であります。
国においては、引き続き、IAEA等の国際機関と連携し、第三者による監視と透明性の確保に努めるとともに、今般公表された包括報告書の内容も含め、国内外に向け、科学的な事実に基づく分かりやすい情報発信を行うなど、責任を持って取り組むべきであります。
今どちらかというと、科学的安全の話をさせていただきましたが、一方で、科学的安全と社会的安心の議論の中で、いろいろな立場の方がそれぞれの物の見方や、御意見を発信されているかと思います。
今、記者さんからお話があったのも、そういったことからの懸念を表していただいているように受け止めております。特に、福島県の中で、様々な意見がありますが、例えば県漁連の漁業者の方は、会長さんもそうですが、非常に処理水のことをよく勉強されて、学んでおられて、事実をよく御存じであります。
一方で、原発事故後の12年余り、科学的な安全論は別にして、やはり風評があり、風評被害で苦しみ続けているという現実もございます。
そういう中で、今回の処理水の問題によって、また新たな風評が生まれてしまうのではないかという心配の中から、真剣に御意見を述べられているのだろうと私自身受け止めております。
特に、県民の皆さんは、(処理水に関する)報道を目にする機会が多いということと、自分たち自身の問題だという思いを持っておられますので、相当程度の理解があった上で、特に風評の問題を心配されている方もおられるかと思います。
したがって、それをレッテル張りということで、ゼロかイチかということではなく、全体として、この福島県民の葛藤をどう捉えていただくかということがポイントだと思います。
先ほど福島民報さんの御質問に対する意見の中でも、私は葛藤という言葉を使っておりますが、原子力災害からの復興については、なかなか一つのシンプルな解決策、正解というものがあるわけではありません。常に様々な長所・短所、メリット・デメリットが共存しているということが特性としてありますので、この葛藤、分断、多様性というものを福島県民の思いとして理解していただけるように、私自身、政府や、あるいは様々な場面でお話をする際、こういった部分も含めて、伝えていかなければいけないと考えております。
【記者】
処理水に関して、今、少し海外というお話がありましたけれども、IAEAの報告書を受けて、グロッシ事務局長は直接韓国入りしておりますが、ほかにも中国から談話が発表されたり、アメリカや各国いろんな受け止め方があると思います。この受け止め方について知事はどう見ていらっしゃいますでしょうか。
また、政府に求めることがあれば伺います。
【知事】
まず、韓国の件ですが、先週、韓国政府において、ALPS処理水の安全性等について独自に実施した検証結果を公表されました。
また、IAEAのグロッシー事務局長が韓国を自ら訪問され、ALPS処理水の安全性に関するIAEAの包括報告書について、政府関係者等に直接説明されたという報道も拝見しております。
また、アメリカ、中国、香港、それぞれの立場において、様々な意見を表明されているという状況を確認しております。こうした状況を見ますと、世界の中にたった一つの意見があるということではなく、ある意味、様々な意見が両立している、更に言えば対立している状況にあるというのが、世界の現状かと思います。
国においては、引き続き、IAEA等の国際機関と連携して、第三者による監視と透明性の確保に努めるとともに、今回、IAEAにおいて公表された包括報告書の内容も含め、科学的な事実に基づく情報を積極的に発信するなど、国内外の理解醸成に向け、責任を持って取り組むべきと考えております。
【記者】
処理水のことに戻ります。
着々と放出に向けた準備が整いつつありますが、漁業関係者や観光業者の方々は風評を懸念しており、依然として反対意見は根強いです。
国民の理解醸成に向けた国と東電の取組は十分だと感じていらっしゃいますでしょうか。
また、県としては理解醸成に向け、どのように取り組んでいくつもりなのか、改めてお考えを伺います。
【知事】
ALPS処理水の取扱いも含めて、原子力災害からの復興は世界でも前例のない困難な課題であります。
時間の経過とともに、課題が複雑多様化して、解決が極めて難しい問題になっています。
また、ALPS処理水の問題は、福島県だけの問題ではなく日本全体の問題です。
福島県ではこれまでも国に対し、丁寧かつ十分な説明を重ねるとともに、関係者の声にしっかり耳を傾け、その思いを真摯に受け止めながら信頼関係を構築することや、万全な風評対策に取り組むことを強く求めてきました。
そうした取組について、政府としてIAEA等の国際機関とも連携しながら、最後まで責任を持って対応することが何よりも重要であると考えております。
【記者】
コロナに関してですが、専門家の一部から第9波に入っているんじゃないかという見方もある一方で、政府としては、そういう状況ではないという判断をされていると思います。
国のほうに指標、インフルエンザのような指標があったほうが、各自治体としても判断しやすいというお考えなのか、あるいは指標がなくても、県独自の状況を判断して新たな規制とかを考えるようなお考えはあるか伺います。
【知事】
全国的に感染状況は増加傾向にあります。
福島県においても、6月26日から7月2日までの定点当たりの報告数が6.21と、前の週の5.16から増加しているため、今後感染が拡大する可能性があります。
感染症の専門家からは、過去の状況等を踏まえますと、夏に向けて、一定の感染拡大の懸念が示されております。一方、政府における見解も報道等で拝見しているところであります。
福島県としては、引き続き感染状況を注視してまいります。
また、感染状況の捉え方についてでありますが、やはりインフルエンザのような一定の指標的なものがあったほうが、各都道府県が対応しやすいだろうということで、全国知事会を通じて提言を行っているところであります。
ただ、現時点においては、具体的な動きがあるということは聞いておりません。
また、今後福島県における個別の状況については、感染動向を見ながら臨機応変に対応してまいります。
【記者】
先週、只見線の昨年度の平均乗客数が、2011年に不通となる前の数字を上回ったという発表がありました。
受け止めをお願いしたいのと、こういった状況持続していくのが大事なのかなと思うのですが、今後の取組についてお考えを伺います。
【知事】
只見線、また県内の状況について、JR東日本が令和4年度の路線別利用状況として公表されました。
まず、只見線ですが、会津川口駅・只見駅間については、令和4年10月からの運行であったものの、新潟・福島豪雨災害前の年間利用者数を上回りました。
これは、沿線自治体や地域の皆さんの全線再開通に向けた思いが実を結び、観光を始め、多くの方々に利用していただいた結果だと受け止めており、本当にうれしく思います。
引き続き、関係の方々や只見線を応援してくださる全ての皆さんと一丸となって、利活用の促進に取り組んでいきたいと考えています。
また、東北本線など多くの区間で、利用者数が前年度を上回り、コロナ禍からの回復傾向が見られる一方で、収支公表の対象となった赤字線区については、依然として厳しい利用状況にあることが明らかになりました。
県としては、路線ごとの協議会を通じて、沿線自治体やJR等と連携し、マイレール意識の醸成を始め、交流人口の拡大や地域の魅力創出など、路線の利活用に向けた議論を本格化させていきたいと考えております。
【記者】
先週、政策監会議が臨時に開かれまして、県職員の不祥事の再発防止策を示されました。
この狙いについて知事に伺いたいのと、監視委員会から「今後の実行が大事だ」という指摘もありましたが、今後どのように実行していくのか、併せて伺います。
【知事】
相次いでいる職員の不祥事を受けまして、先般、全庁的な再発防止対策を取りまとめ、徹底を図りました。
職員のコンプライアンス意識の更なる醸成に向け、新たに作成した「県職員コンプライアンス必携」を携帯させるなど、職員一人一人に日頃から緊張感を持った自覚ある行動を促してまいります。
あわせて、入札業務に関する取組について、入札制度等監視委員会からの提言に盛り込まれた、ハード面・ソフト面における不正予防や不正発見のための具体的な対策を実行に移してまいります。
今後も、全庁的な取組と入札業務に関する取組を車の両輪とし、繰り返し綱紀粛正の徹底を図るとともに、全庁一丸となって、不祥事の根絶と県民の皆さんからの信頼回復に努めてまいります。
【記者】
実行していくということについて、例えばチェック体制ですとか、どのように取り組んでいくか伺います。
【知事】
入札関係の業務、特に今回の事案については、コンピューターの取扱いの問題、データの取扱いの問題も具体的に指摘されております。
これについては、システムを改修するなど、既に是正策を講じておりますが、現場で二度とこうした事案が発生しないよう、あるいは、今回の件とは違う形であっても問題が発生しないよう入札関係業務を適正化していくこと、これは正に県の責務でありますので、真剣に取り組んでまいります。
(終了)
○質問事項
1 ALPS処理水の取扱いについて
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
→企画調整部風評・風化戦略室 電話024-521-1129
2 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策事務局(総括班) 電話024-521-7262
3 只見線の利活用促進について
→生活環境部生活交通課 電話024-521-7177
4 県職員の不祥事の再発防止のための取組について
→総務部人事課 電話024-521-7032
→総務部入札監理課 電話024-521-7889