知事定例記者会見
■日時 令和5年9月4日(月曜日)10時00分~10時15分
■会場 応接室
【質問事項】
1 ALPS処理水の海洋放出について
2 福島市の大規模太陽光発電施設の設置に係る対応について
3 新型コロナウイルス感染症対策について
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【質問事項】
【記者】
福島第一原発の処理水についてお伺いいたします。
海洋放出から10日ほど経ちました。改めて国内外様々な動きが出ておりますが、知事としての受け止めを伺います。
【知事】
先月24日からALPS処理水の海洋放出が開始されました。
福島県としては、放出開始日はもとより、それ以降についても、希釈放出設備の運転等が手順どおり適切に行われているか、現地駐在職員を通じて確認を行っています。
これまでのところ、設備や運用に関するトラブルは発生しておりません。
また、海域モニタリングについては、国、東京電力のほか、県においても、海水中のトリチウム分析を独自に行っていますが、いずれの結果も十分に低い値となっております。
一方で、中国等における日本産農林水産物等の輸入停止措置や日本に対する迷惑電話等の影響も生じています。国及び東京電力においては、国内外の理解醸成に向け、海域モニタリングの結果等も含め、正確で分かりやすい情報発信に取り組むとともに、ALPS処理水の問題は長期間にわたる取組が必要であることから、引き続き、トラブル等の不測の事態を生じさせることがないよう、万全の対策を講じていただきたいと考えております。
【記者】
今ほど知事からもお話があった、中国と見られるところから発信された迷惑電話についてです。まだ国内外で相次いでおりますが、県内の現状、例えば県内で何件ぐらい来ているなど、県で最新の数字をまとめていらっしゃいましたら伺います。
【知事】
ALPS処理水の海洋放出が開始されてから、福島県内の飲食店、旅館、自治体や学校、病院や薬局などに、中国からと思われる電話や非通知の電話が相次いでおり、一部業務に支障を来しておられます。
福島県庁の代表電話においても、放出開始から本日の朝の時点で延べ約3,700件の電話が来ております。
また、先月30日時点で、県内の各種団体、学校等には約2,500件、市町村に対しては、約3,000件の迷惑電話があったことを確認しています。
電話の内容は、暴言や侮辱的な発言が多く、自動音声や無言電話等も確認されています。
福島県内のある医療機関には、多い日で1日30件の迷惑電話があり、診療業務に支障が出ているケースがあると聞いております。
迷惑電話については、既に福島県警からホームページやメール等を通じて県民の皆さんに対する注意喚起がなされており、電話事業者においても相談窓口を案内するなど、迷惑電話の対策に乗り出しておられます。
こうした迷惑電話等の行為は大変遺憾であり、この事態を非常に憂慮していることから、先週岸田総理とお会いし、事態の早期鎮静化に向け外交ルートでしっかりと申入れを行っていただくよう求めたところであります。
引き続き、県警とも連携し、実態の把握に努めるとともに、国に対し、ALPS処理水について科学的な事実に基づく分かりやすい情報発信を行うなど、国内外の理解醸成に責任を持って取り組むよう求めてまいります。
【記者】
処理水の話に戻りますが、本日、知事御自身が福島第一原発を視察して、その処理水の設備について見てくるということなのですが、具体的にどのような点を確認していきたいか伺います。
【知事】
本日午後から、東京電力福島第一原子力発電所の視察を行います。ALPS処理水の海洋放出に当たっては、安全対策がしっかり実施されることが大前提であるとともに、県民の皆さんや国民の皆さんの信頼の上に立って進めていくことが重要であります。今後の取組において、想定外の事態はあってはなりません。
また、ALPS処理水の問題は、長期間にわたる取組が必要です。このため、東京電力においては、廃炉と汚染水・処理水対策の実施者であるという意識を常に持ち、万全の対策を徹底的に講じ、安全性を確保し続けていく必要があります。
今回は、前回視察した昨年11月以降の廃炉作業の進捗状況、特にALPS処理水希釈放出設備について、緊急遮断弁や放水立坑放射線モニタなど、安全対策の状況を中心に確認する予定であります。
東京電力の小早川社長に対し、全社を挙げて万全の対策を講じ、トラブルなど想定外の事態が生じることがないよう強く求めてまいります。
【記者】
処理水放出後の迷惑電話の話に戻りますが、東京都では、都庁の代表電話にかかってきた迷惑電話に対して、自動音声に切り替える対応を1日から始めているということですが、県として何か具体的にこの件の対策について、お考えを伺います。
【知事】
現在、県庁の代表電話での対応においては、しっかり受けた上で対応するということで考えておりますので、自動音声で機械的にということは考えておりません。
一方で、一般の事業者の皆さんなどにおいては、やはりそういった対策、あるいはそもそも遮断するというシステムを一部では可能でありますので、そうした対策をとっていただくことがより適切かと考えています。
福島県庁は行政機関であり、かつ、当事者というふうに恐らく受け止められているかと思いますので、そこは一旦受け止めた上で(の対応)ということになります。
ただ、中国語であったり無言電話であったりということでありますので、全てをこちらで理解して、一件一件対応できるものではないと思いますので、一旦受け取った上で、適切に対応しているというのが現場の状況であります。
【記者】
先日、福島市が、太陽光発電について「ノーモアメガソーラー」と宣言しました。
これは設置が相次ぐことによって、景観の悪化や災害の発生が懸念されるという理由で、四年前にも大玉村が同様の宣言をしています。
県としては、2040年の再生可能エネルギー100%の目標に向けて、太陽光、非常に重要と位置づけて、導入支援を様々進めてきたところと承知していますが、こうした中で、中核市、県庁所在地の福島市が出した今回の宣言についての受け止めについて、これまでの十数年間の振り返りも含めて伺います。
【知事】
福島市において、山地への大規模太陽光発電施設の設置について、これ以上望まないことを宣言された、との報道を拝見しております。
太陽光発電を始め、再生可能エネルギー事業を進めるに当たっては、規模の大小にかかわらず、地元の理解の下、関係法令や国のガイドライン等に基づき、適正になされるべきものと考えています。
福島県としては、引き続き、国や市町村等と連携しながら、再エネ発電事業者に対して、地元への丁寧な説明等を行うよう、助言、指導に努めてまいります。
【記者】
現在こうした宣言は、県内では大玉村と福島市の2自治体と承知しておりますが、今後、こうした宣言が、ほかの自治体にも広がった場合、県の目標についても達成が難しくなるかと思います。開発許可の手続を担う県として、今後、より慎重にそういった手続を進めるとか、あるいは今後のエネルギー施策を見直すなど、何らかの影響が考えられるとか、あるいは国に対して、何らかの対応を求めるなどのお考えがあれば伺います。
【知事】
まず、仮定の質問に対してお答えするのは差し控えさせていただきます。
その上で、再生可能エネルギー100%を目指すという意欲的な目標を、震災、原発事故以降、福島県は明確に訴えているところであり、それに対して、着実に歩みを進めています。
再生可能エネルギーは、太陽光発電はもとより、風力発電、あるいはバイオマス発電等、様々なものがあります。
また今後、未来の事業として水素発電など、いろいろな取組もあろうかと思います。
その上で、福島県としては、この再エネ事業を進めるに当たっては、やはり地元の理解の下で、関係法令や国のガイドライン等に基づき、適正になされることが重要だと考えております。
【記者】
国としても太陽光を推進していて、また、遊休農地を活用してほしいといった農家さんの思いもあって、太陽光の導入はありがたいといった側面もあるかと思いますが、開発許可を出す県として、難しさや課題として感じていること、国に対して求めることなどあれば伺います。
【知事】
今回、福島市長が会見において、「例えば福島県で全県的な対応はどうなんだ」という質問に対して、このように答えておられます。「特に考えていない。県の中でも地域によって事情が異なるため、一律でやるのは困難だと考えている。」こういった状況等も含めて、今回、宣言という形で出されたと思っております。
また、今回は山間地における宣言ということでありますが、「平場については考えていない」ということを、(福島市長は)記者会見の中でお話しされていたかと思います。
福島県は広い県土であります。59の市町村それぞれの状況というものもありますので、そういったそれぞれの地域の思いを伺いながら、現行の制度の中で丁寧に対応していくことが重要だと考えております。
【記者】
コロナについて、今日もアクリル板を設置されたり、この間も確保病床比率が40%ということで、高止まりの状況が続いているということですが、現状の知事の受け止めと、これは後遺症の問題などもありますので、何か具体的な対策などをお考えあれば伺います。
【知事】
先月の21日から27日までにおける福島県の定点当たりの報告数は25.87人と、大きく増加した前の週に比べて、ほぼ横ばいとなっており、入院者数は増加している状況にあります。
また、全国の定点当たりの報告数は19.07人と、二週連続で増加しています。
県民の皆さん、事業者の皆さんにおかれては、引き続き、体調管理に努めていただくとともに、熱中症にも気を付けながら、換気や場面に応じたマスクの着用、手洗い、手指消毒等の基本的な感染対策を行っていただきたいと考えています。
また、特に発熱やのどの痛みなどの症状がある場合には、出勤や登校を控えていただくなど、外出に留意していただくとともに、検査キットによる自主的な検査を行うなど、「うつさない」行動を心がけていただくようにお願いしたいと考えています。
(終了)
○質問事項
1 ALPS処理水の海洋放出について
→危機管理部危機管理課 電話024-521-7302
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
→危機管理部放射線監視室 電話024-521-8491
→企画調整部風評・風化戦略室 電話024-521-1129
→農林水産部農林企画課 電話024-521-7315
2 福島市の大規模太陽光発電施設の設置に係る対応について
→企画調整部エネルギー課 電話 024-521-7814
3 新型コロナウイルス感染症対策について
→新型コロナウイルス感染症対策事務局(総括班) 電話024-521-7262