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知事記者会見 令和6年2月2日(金)

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年2月7日更新

知事定例記者会見

■日時 令和6年2月2日(金曜日)13時00分~13時38分
■会場 応接室

【発表事項】
1 令和6年度当初予算について

【質問事項】
1 令和6年度当初予算について
2 燃料デブリの取り出しについて
3 東日本大震災追悼復興祈念式について

 令和6年2月2日定例記者会見写真 動画を再生する

 

 

【発表事項】

1 令和6年度当初予算について

 令和6年度当初予算につきまして、発表いたします。
 一般会計当初予算の総額は、1兆2,381億円で、対前年度比1,001億円の減。うち、復興・創生分は2,394億円となります。
 歳入については、県税や地方交付税はもとより、「原子力災害等復興基金」などの各種基金を有効に活用し、必要な財源の確保に努めました。歳出については、根拠に基づく政策立案の考え方により、徹底した事務事業の見直しに努め、予算編成を行いました。
 総合計画の3年目となる令和6年度は、計画に掲げた将来の姿の実現に向け、これまで続けてきた挑戦を更に「シンカ」させていくことが重要であります。このため、当初予算につきましては、現下の物価高騰に適切に対応しながら、複合災害からの復興、人口減少の克服に向けた福島ならではの地方創生を更に加速させ、防災力の強化や地球温暖化対策、デジタル変革を推進するなど、総合計画を着実に前進させるための予算として編成しました。それでは、新年度予算の主な事業について御説明します。
 はじめに、「避難地域における復興の加速化」についてであります。
 避難指示の解除が進む中、事業や営農の再開支援、双葉地域における中核的病院整備を推進するほか、県立ふたば支援学校の開校など、住民の皆さんの帰還促進に向け、引き続き、避難地域の生活再建や、生業を再生するための取組を最優先で進めてまいります。また、福島国際研究教育機構(F-REI)については、国、市町村等と共に、広域連携の推進や研究者等の生活環境の充実に取り組んでまいります。
 次に、「健康長寿の実現」についてであります。
 健康づくりの機運醸成を図る新たなスローガンの広報・啓発を始め、健民アプリを活用したウォーキングの促進や減塩を推進するための市町村、関係団体等とのネットワーク強化、働き盛り世代に対する減塩実践活動など、「健康長寿県」の実現に向け、多様な取組を進めてまいります。
 次に、「結婚・出産・子育て支援」についてであります。
 結婚を希望する方への支援を強化するため、企業の若手社員等を対象とした婚活イベントなど、出会いの場の創出に取り組んでまいります。また、若い世代を対象に、将来の妊娠・出産や体の変化に備えた健康管理を支援する「プレコンセプションケア」を推進するため、普及啓発や相談体制等の整備に取り組むとともに、最寄りの分娩施設が遠いなど、遠方での出産が必要な妊婦等の宿泊費用等を支援してまいります。さらに、保育施設における「遊び」環境の改善や働きやすい職場づくりなど、保育の質の向上に取り組んでまいります。
 次に、「教育環境の充実」についてであります。
 児童生徒の英語力向上のため、小中高の連携による研究や対話型AIの活用による授業の改善など、学びと指導の変革を進めてまいります。また、高校生と地域とのつながりを創る取組や産学官連携による海外留学への支援に力を注ぐほか、県立高等学校改革については、再編校の校舎等の着実な整備に加え、空き校舎などの利活用に向けて、引き続き市町村を支援してまいります。
 次に、「医療・介護体制の充実」についてであります。
 今後の感染症危機に備えた医療提供体制について、関係機関と連携して、しっかりと構築いたします。また、県中・県南圏域において、精神保健指定医の輪番制を導入するほか、若者の定着に向けた看護の魅力発信、介護現場の生産性向上に向けた支援窓口の開設など、医療・介護の充実にきめ細かく取り組んでまいります。さらに、本県医療の中核を担う県立医科大学附属病院における新病棟建設の検討に着手いたします。
 次に、「安心して住み、暮らすための環境づくり」についてであります。
 除染に伴う仮置場の原状回復について、国や市町村と共に着実に進めてまいります。災害に強い県づくりに向けては、自然災害からの早期復旧はもとより、流域治水への理解醸成や、被災者の実情に応じた迅速な生活再建支援体制の整備のほか、防災アプリの活用促進、自主防災組織への防災士の参画など、「自助・共助・公助」の取組を一体的に推進するとともに、防災の基本理念などを定める条例制定の検討を進めてまいります。さらに、ローカル鉄道の利活用促進や乗合バスの運行支援の拡充など、市町村と共に地域公共交通の確保に取り組むほか、良好な治安の確保や交通事故対策の強化を図ってまいります。 次に、「豊かで持続可能なまちづくり」についてであります。
 過疎・中山間地域等における住民主体の地域運営を市町村と連携して支援してまいります。また、カーボンニュートラルの実現に向け、環境アプリを活用したライフスタイル見直しの促進、温室効果ガスの削減等を通じて資金を循環させる「J-クレジット」の創出のほか、サプライチェーンも含めた県内企業の脱炭素化を推進してまいります。さらに、性別による無意識の思い込みを解消するための取組など、誰もが暮らしやすい県づくりを進めてまいります。
 次に、「中小企業等の振興、新産業の創出・集積」についてであります。
 県内企業の人材確保に向けて、児童生徒への魅力発信に加え、大学生と県内企業とのマッチングに取り組むなど、『感働!ふくしま』プロジェクトを充実・強化いたします。また、「ふくしまの酒」を一層振興するため、酒米の開発や製造技術の見える化、消費の拡大など、関係部局が一丸となって取り組んでまいります。さらに、デジタル化に取り組む商店街や、地域課題解決のためのサービス提供に挑戦するスタートアップをしっかり支援するほか、ロボット産業における共同受注に向けた事業者支援など、福島イノベーション・コースト構想の重点分野を更に推進してまいります。
 次に、「農林水産業の振興」についてであります。
 GPSから得られる位置情報の精度を全県的に向上させることにより、スマート農業を更に推進させるとともに、地域農業の将来像の実現に向け、経営拡大に取り組む担い手を支援してまいります。さらに、水産業の復興加速化に向けて、引き続き、総合的な支援策を展開するほか、畜産業に対しては、飼料価格高騰対策や自給飼料の生産拡大に加え、ゲノムやAI技術の活用による「福島牛」のブランド力強化に取り組んでまいります。
 次に、「交流・移住の促進」についてであります。
 首都圏にお住まいの本県出身である若者とのつながりを創出し、Uターンの機運を醸成してまいります。また、市町村等と連携し、新規就農者など、移住者に向けた住環境を始めとする支援を充実させてまいります。さらに、福島空港への国際線の就航に加え、インターハイや東京2025デフリンピックのサッカー競技、ゴッホ展の開催に向けた取組を通じて、国内外との多様な交流を促進してまいります。
 次に、「風評・風化対策」についてであります。
 首都圏や関西圏等における魅力発信、海外における県産品のトッププロモーション、「常磐もの」の購買促進に引き続き取り組むとともに、県自らが企画・運営する広報媒体、いわゆる「オウンドメディア」を新たに構築し、効果的な情報発信を行うなど、根強い風評の払拭と風化の防止に向け、戦略的に対策を進めてまいります。
 以上の主要な事業を含め、令和6年度当初予算における総合計画の8つの重点プロジェクトに係る事業は、503事業で、計3,591億円となります。 本県は、未曾有の複合災害からの復興に加え、急激に進む人口減少、頻発する自然災害など、多くの困難を抱えている一方で、これまで積み重ねてきた挑戦が着実に成果となって表れてきております。第2期復興・創生期間の後半を迎える新年度は、これらの成果を土台として、総合計画の一つ一つの施策をしっかりと前に進めることができるよう、全力で挑戦を続けてまいります。

【質問事項】

1 令和6年度当初予算について

【記者】
 本日発表された予算案について、名前を付けるとしたら、どういったネーミングをお考えでしょうか。もう一点、今回、福島医大附属病院の新病棟の検討や、双葉(地域)における中核拠点となる病院の整備など、大型事業の着手が入っています。知事もおっしゃっていましたが、第2期復興・創生期間も後半に入る中で、県債の発行残高も過去最高というところになっています。今後、国との折衝もますます厳しい状況に入ってくるかと思いますが、財源の確保にどういった思いで取り組まれるか、併せて伺います。

【知事】
 今回の令和6年度当初予算のネーミングは「総合計画前進予算」であります。来年度は、福島県の総合計画がスタートして三年目の年となりますが、総合計画で掲げている将来の姿や目標達成に向けた施策は、正に挑戦、チャレンジそのものであります。そのため、挑戦を「シンカ」(進める「進化」、深める「深化」、新しくする「新化」)させながら、総合計画に掲げている復興と地方創生を一つ一つ実現させていくための重要な予算として、今回の当初予算を編成しています。
 今回、内容として、大きく三つの骨格があります。一つ目が「複合災害からの復興、災害に強い県づくり」、二つ目が「急激な人口減少への対応」、そして三つ目が「地球温暖化対策、デジタル変革などの、横断的な取組」であります。令和6年度において、この三つの骨格をしっかりと実現していく中で、複合災害からの復興と福島ならではの地方創生を前進させていきたい、そして、県民の皆さんにそれらを実感していただきたいというのが、今回の当初予算に込めた思いであります。この三つの骨格について、主なものを御説明します。
 まず一つ目は、「複合災害からの復興、災害に強い県づくり」であります。
 2011年の東日本大震災、原発事故という複合災害からの復興、これは今もなお重要な政策課題であります。事業や営農の再開に加えて、双葉地域における中核的病院整備の推進、県立ふたば支援学校の開校など、住民の帰還促進に向けて、引き続き、生活再建や生業の再生を最優先にしながら避難地域の復興を加速させていきます。
 そして次は、「災害に強い県づくり」であります。
 今年の元日、能登半島地震という巨大な災害とその甚大な被害に、我々は非常に大きな衝撃を受けました。能登半島の今回の災害は決して他人事ではなく、やはり我が事であります。災害はいつどこで、どれだけの規模が起きるかわからない。正にこの一か月間、そのことを、福島を始め、全国の皆さんが実感されているかと思います。こういった災害に強い県づくりを進めるためには、自然災害からの早期復旧はもとよりでありますが、流域治水への理解醸成や、被災者の実情に応じた迅速な生活再建支援体制の整備のほか、自主防災組織への専門家である防災士の皆さんの参画促進など、「自助・共助・公助」の一体的な取組によって、災害に強い福島県づくりを進めていきたいと考えています。
 次は、二つ目の骨格、「人口減少の問題」です。
 つい先日も統計指標が出ておりますが、深刻な状況です。福島県の急激な人口減少に強い危機意識を持っています。そういう状況の中で、人口減少対策としては二つの柱を立てています。
 まず一つ目の柱は、人口の社会減対策です。県内企業の人材確保や看護の魅力発信、働きやすい保育の職場づくり、移住就農者の住環境等に対する支援のほか、首都圏在住者のUターン機運の醸成など、若者の県内定着に向けた『感働!ふくしま』プロジェクトを更に充実強化させていきたいと思います。
 二つ目の柱は、人口の自然減対策であります。若手社員等の出会いの場の創出、若い世代が将来の妊娠・出産や体の変化に備えて、健康を管理する「プレコンセプションケア」の推進など、それぞれの方のライフステージに応じた切れ目のない支援を展開するほか、ウォーキングの促進、あるいは働き盛り世代の減塩の実践など、多様な取組を行って、県民の皆さんの健康づくりを進めていきたいと考えています。
 三つ目の骨格が「横断的な取組」です。
 まずは地球温暖化対策についてです。カーボンニュートラルの実現に向けて、環境アプリを活用したライフスタイルの見直しを促すほか、温室効果ガスの削減等を通じて資金を循環させる「J-クレジット」の創出や、サプライチェーンも含めた県内企業の脱炭素化、カーボンニュートラルに向けた取組を支援していきます。
 次はデジタル変革についてです。防災アプリの活用促進やデジタル化に取り組む商店街への支援、GPSの位置情報の精度を高めることによるスマート農業の更なる推進、さらに、福島の酒の製造技術の見える化など、地域産業のデジタル変革を加速し、DXの観点から、福島県のそれぞれの取組をより良くしていきたいと考えています。
 令和6年度の1兆2,300億円の予算の中で、こういった三つの骨格をしっかりと形にしていく中で、複合災害からの復興、そして福島ならではの地方創生、人口減少対策に、県として全力で取り組んでまいります。
 続いて、後半の御質問、財源の確保の問題であります。
 本県は県債残高が一定程度増加しておりますが、その要因は、度重なる自然災害からの復旧や防災力の強化など、緊急に取り組むべき事業を着実に進めるため、県債を活用していることによるものであります。こうした県債について、我々が大事にしていることは、地方交付税措置がある有利な県債を最大限活用するということであります。
 安定的な財政運営を行っていくためには、後年度に負担が生じることとなる県債残高の適正な管理は大変重要です。引き続き、財政の健全性に配慮しながら、県債の適切な活用と管理に取り組んでまいります。また、あわせて、国に対して、第2期復興・創生期間以降も見据えた復興財源の確保を強く求めてまいります。そして、自主財源の確保、事務事業の効率化に努めながら、先ほど御説明した、福島の複合災害からの復興、そして地方創生の推進を進めるため、健全な財政運営、この両立にしっかり取り組んでまいります。

【記者】
 今お話いただいた中で、能登半島地震など、全国的に災害が発生する中で、復興のための予算が今後どうなるか、中々見通しが立たないと思います。改めて、福島県として復興を実現するために、予算折衝にどういった形で取り組むか教えてください。

【知事】
 まず、元日に発生しました能登半島地震、正に多くの被災者の方々、被災地の皆さんが大変御苦労されています。この皆さんの復旧・復興に国を挙げて取り組んでいくことは当然であり、喫緊の課題であると考えております。政府においては、関係の本部を作り、予備費の活用等も含め、現在、全力で取り組んでいただいていると思いますし、福島県も発災直後から、とにかく全国の中でもより早く被災地の応援をしたい、2011年以降、温かい応援を頂いていますので、その恩返しを少しでもしたいという思いで、県のみならず、各市町村、病院の皆さん、団体の皆さん、企業の皆さん、県民の皆さんが、温かく能登半島支援をしていただいております。こういった活動を、福島県としてもしっかり継続してまいります。
 そして一方、我々は複合災害からの復興の途上にあります。特に原子力災害からの復興、間もなく震災から丸13年ということになりますが、残念ながらいまだ途上であります。例えば、中間貯蔵施設の県外最終処分や燃料デブリの取り出し、これは長い戦いであり、20年30年スパンで継続していく道のりということになります。政府においては、原子力災害も含むこの複合災害からの復興について、全責任を持って最後の最後まで取り組む、これが何よりも重要であり、その過程の中で、まずは第2期復興・創生期間の残り二年余り、この二年間、制度と財源を確保しながら、福島の復興を進めていくことは当然でありますし、またその後、第2期復興・創生期間後の新しい復興・創生期間においても、当然ながら、制度と財源を確立し、復興庁を司令塔として前に進めていくことが極めて重要でありますので、こうした観点に立って、私自身が先頭に立ち、政府に対して強く訴えてまいります。

【記者】
 「総合計画前進予算」ということで、あと冒頭にこれまでの計画の成果であったりとか、課題だったりとか、あと指標の達成状況も踏まえて予算編成したという説明がありましたが、どのあたりが進んでいて、どのあたりが遅れているという認識で予算を編成されたのか教えてください。

【知事】
 総合計画の指標については、各年度で達成状況を計れるよう設定しておりますので、昨年の後半、どの程度の達成状況になっているかということを見える化し、皆さんに公表するとともに、総合計画審議会においてもフォローアップを行っていただいております。
 例えば、県産農産物の輸出や新規就農者数、移住者数、こういった点においては、いい意味で我々の想定を上回る状態で前進しているかと思います。こういった指標の成果が、着実に一つ一つ現れるということは、正に県の政策が一つの形になっている証拠であり、またその結果は、市町村の皆さんや関係の皆さんのお力添えがあってのことだと考えております。
 また一方で、非常に難しいと感じておりますのは、例えば人口減少の問題、出生率を高めるということは容易ではありません。また、健康指標について、全体的に芳しくなく、御承知のとおりワーストクラスのものが幾つもあるというのが現状であります。
 ただ、気をつけなければいけないのは、出生率や健康の問題というのは、県民の皆さん、あるいは若い世代の皆さんお一人お一人のそれぞれの意思、お考えというものが尊重されるべきだということであります。県の総合計画においては、一定の指標を定め、目標の達成状況をしっかりとチェックするということは重要であります。一方で、行政が強制的に何かをやることで成果が伴うという性格のものではありませんので、こういった課題については、どうやって県民の皆さんの共感度を高めていくか、我々と同じ思いを持っていただいて参加をしていただくかが重要となります。しかし、参加したくないという方、あるいはやらないという方も当然いらっしゃってもいいのだと思います。
 やはり県民の皆さんお一人お一人の意見を尊重するということが重要ですので、県が掲げている指標の中においても、行政の努力だけで達成していける部分と、県民の皆さんの共感を頂かなければできない部分というものがあると感じています。
 例えば、ごみのリサイクルの関係等についても、お一人お一人の御家庭や事業所における取組があってこそ、ごみの減量化が進んでいきますが、福島県においては、数値的に見ると芳しくない状況です。ごみの問題については市町村の取組とも連動しておりますが、こういったそれぞれの指標の性格に応じて、普及啓発にしっかり取り組み、共感を頂きながら目標の達成を緩やかに進めていくものと、我々自身が汗をかけば、ある程度達成できるものについては、県が一体となって努力をしていく、その両輪が重要だと考えております。

【記者】
 民報さんの質問とも少し重なるんですけども、先ほどのお答えの中で第2期復興・創生期間後のお話がありました。
 第2期後の予算とか制度確保に向けても、国との協議が新年度本格化すると思いますが、今回の予算編成の中で、何か個々の事業に関して、第2期後を意識した点などがあれば教えてください。

【知事】
 令和6年度の予算に組み込んだ事業を見ますと、これまでの第2期復興・創生期間中における一定の計画に基づいたものが多くありますので、第2期復興・創生期間の中で、計画的に着実に進んでいるものが多いというふうに受け止めております。
 一方で、現在、関係の自治体と様々な協議を深めているのは、今後、第2期復興・創生期間後の新しい期間における財政需要、あるいはどういう事業に取り組んでいきたいかということについて積極的に意見交換をしております。
 前回、第1期の復興・創生期間から第2期復興・創生期間に移り変わる際にも、こうした意見交換を非常に積極的にやっておりまして、自治体によって置かれている状況は相当違います。
 避難指示解除が初期の段階に行われた自治体と、大熊や浪江、双葉のように、最近になって解除された自治体とでは、復興の進捗度合いも異なりますので、やるべき事業や財政需要も相当異なります。また、既にある程度、住民の皆さんの居住が進んでいる地域においても、状況の変化があり、新たな財政需要が発生しているということもございます。
 こういった点について、各自治体と御相談しながら、しっかりと必要な財政需要を積み上げていく、この準備段階が、今後の財源確保にとって非常に重要かと思います。そうしたものを精査した上で、今後、復興庁を始め、政府の皆さんと向き合い、「なぜこういった財源が必要なのか」、「我々の考え方はこういうことだ」ということを分かりやすく説明する、具体的なエビデンスを持って説明していくということがこれから求められてくると思っておりますので、そういったことにこれから力を入れていきたいと考えております。

【記者】
 今回の当初予算は、震災後の編成では最少の予算規模かと思いますが、改めて今回の予算規模について、受け止め、整理をお願いします。

【知事】
 令和6年度の予算規模については、今年度を下回っているという状況でありますが、これは東日本大震災からの復旧・復興事業の進展、また、新型コロナウイルス感染症の5類への移行、さらに自然災害からの復旧事業の進捗などによるものであります。
 具体的な事項や数字も申し上げながらお話ししますと、まず復興公営住宅の整備、これは前に進んでおりますので104億円の減であります。除去土壌の仮置場の原状回復も進んでおり、この関係で45億円の減、営農環境の整備なども進んでおりますので、その結果、復興関連基金への積立額が減少し、これが72億円の減であります。あるいは、新型コロナウイルス感染症が2類から5類に移行したこともあり、775億円の減、また、地震や大雨災害、自然災害で被災した河川や道路の復旧も着実に進んだことによって、177億円の減となっております。
 今ほど、大きなもの、主立った要因を幾つか挙げましたが、この5つだけでも1,170億円余りの減ということになります。
 したがって、今回、一般会計予算の総額減少ということにはなっておりますが、これは正に復興や自然災害からの復旧が前に進んだことによって生じております。あるいは全国的に同じ状況でありますが、新型感染症が2類から5類に移行したことによって、700億円余りの予算が今回減少しているということが本質的な要因だと考えております。
 ただ一方で、先ほども申し上げたとおり、人口減少対策や地球温暖化対策、デジタル変革などの重要課題に対応するための事業、被災12市町村等における道路の整備、防災力の強化などに向けた公共事業費に加えて、物価高騰対策など、複合災害からの復興と地方創生を更に前進させるために必要な予算については積極的に計上しているところであります。

2 燃料デブリの取り出しについて

【記者】
 デブリの取り出しが三度目の延期になりました。これの受け止めと、これによって地域経済の影響があるかどうかとのお考えがあれば教えて下さい。

【知事】
 まず、デブリの関係であります。
 先週、東京電力から福島第一原発2号機における燃料デブリの試験的取り出しについて、堆積物除去作業や、ロボットアーム開発の状況などを踏まえ、まずは伸縮式の釣りざおのような構造の装置、いわゆるテレスコ式装置を活用して取り出しを行うという報告がありました。
 また、このテレスコ式装置の使用については、原子力規制委員会の認可が必要となるため、試験的取り出しの開始時期が遅くとも令和6年10月頃を見込むとの報告がありました。
 県としては先般、廃炉安全監視協議会を開催し、東京電力から説明を受けるとともに、進捗状況を丁寧に情報発信することや、安全かつ着実な廃炉の実現に向け、引き続き、中長期ロードマップの目標達成や進捗管理について、国が前面に立ち、総力を挙げて取り組むこと等を求めております。
 廃炉に向けた取組が、県民の皆さん、国民の皆さんの理解の下で、安全かつ着実に進められることが、福島県の復興の大前提であります。国、東京電力においては、安全を最優先にして、着実に廃炉作業を進め、廃炉を成し遂げていただきたい、これが県の基本的な考えであります。
 また今回のスケジュールの変更による地域経済等への影響については、現時点では明確ではありません。

3 東日本大震災追悼復興祈念式について

【記者】
 今年、震災から丸13年を迎えます。知事はいまだ途上というふうにおっしゃいましたけれども、一方で被災3県のうち、岩手・宮城などはハードの整備がほぼ終わって、追悼行事の開催方法なんかも他県ではちょっといろいろ変化があるようですけれども、福島の現状を見据えた上で、知事が追悼式に臨む思いをお聞かせください。

【知事】
 今年の3月11日、東日本大震災追悼復興祈念式を開催いたします。
 福島県としては、これまでと同様、この3月11日という私たち福島県民にとって、重い、また重要な節目となる日を、心静かにしっかりと迎えたいと考えております。その上で、特に亡くなられた方々への思いを、あるいは現在、復興に向け頑張っていただいている方々と共に、まだ我々は復興の過程、正に途上にありますので、未来に向けて、復興の完遂に向けて懸命に努力を重ねていこう、その思いを共有したいと考えております。
 それぞれの自治体で置かれている状況が異なりますので、それぞれの御判断もあろうかと思いますが、恐らく福島県、あるいは県内の自治体も含め、特に原子力災害の特殊な要素というものも含んでおりますので、重要な節目として継続していくということになろうかと思います。県としては変わらずに取り組んでいきたいと考えております。

(終了)

 

【発表事項】
1 令和6年度当初予算について
 →総務部財政課 電話024-521-7027

【質問事項】
1 令和6年度当初予算について
 →総務部財政課 電話024-521-7027
(第2期復興・創生期間後の予算確保)
 →企画調整部企画調整課 電話024-521-7129

2 燃料デブリの取り出しについて
 →危機管理部原子力安全対策課 電話 024-521-8054

3 東日本大震災追悼復興祈念式について
 →企画調整部企画調整課 電話024-521-8014