知事定例記者会見
■日時 令和6年2月19日(月曜日)10時00分~10時15分
■会場 応接室
【質問事項】
1 ALPS処理水の海洋放出について
2 パートナーシップ制度について
3 造船所火災による漁業復興への影響について
4 復興財源の確保について
5 特定復興再生拠点区域の避難指示解除について
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【質問事項】
【記者】
処理水の海洋放出についてお伺いします。昨年の8月に海洋放出が始まりまして、今週の24日で開始から半年になるかと思います。これまでの放出に対する評価を改めて伺います。
また、今後は、放出が進むことで汚染水がたまっていたタンクの解体作業が進んでくると思います。その中で、先日の汚染水漏れや10月の身体汚染など、いろいろなトラブルが続いています。解体作業等が進む中で、東電にどのような対応を求めていくのか知事のお考えを伺います。
【知事】
ALPS処理水の海洋放出については、昨年中に3回の放出が完了しました。
これまでのところ、放出作業は計画どおり実施されており、海域モニタリングにおいても、トリチウム濃度が検出下限値未満か、十分に低い値であることを確認しています。
こうした異常がないというデータを一日一日積み重ねていくとともに、こういったデータも含め、科学的な事実に基づく情報を国内外に分かりやすく発信していくことが極めて重要です。
今月下旬から4回目の放出が開始される予定でありますが、ALPS処理水の問題は、これからも長い戦いが続きます。
国及び東京電力においては、引き続き、想定外の事態が生じることがないよう、油断することなく万全の対策を講じるとともに、海域モニタリングの結果等も含め、正確で分かりやすい情報発信に取り組んでいただきたいと思います。
この処理水の海洋放出の問題と並行する形ではありますが、昨年来、身体汚染あるいは放射性物質を含んだ水の漏えい等の問題が相次いで生じております。
昨日の福島復興再生協議会においても、私からだけではなく、他の自治体の方、あるいは経済、農業関係団体の代表者等からも、こういった問題に対する不安、懸念の声があったところであります。
廃炉・汚染水・処理水対策は実施者が東京電力であります。東京電力自身がしっかりと対策を講じ、こういった問題が生じないように対応していくこと、また国自身が責任を持って、東京電力を指導、監督していくこと、これを県として強く求めてまいります。
【記者】
パートナーシップ制度の関係で伺います。
週末に地元紙で、県が全市町村を対象に必要性についての意向調査を実施する方針という報道がありました。これについて、実施を決めた理由やきっかけ、あるいはスケジュール感についてお話しできる範囲で伺います。
【知事】
先週の定例記者会見の場で、パートナーシップ制度について、県としての考え方をお話させていただきました。その状況と変わっておりません。
【記者】
実施の有無については、現段階で回答はありますか。
【知事】
先週、お話ししましたが、このパートナーシップ制度については、住民に身近な行政サービスを提供する市町村の考えを丁寧に伺っていくということ、これが現時点での考え方でございます。
【記者】
先週、相馬市の松川造船で火災がありました。
地域で唯一の造船所ということと、漁業復興に向けての基盤となるような施設でもあります。
漁業に与える影響についてと、復旧に向けた公的支援についてなかなか難しいところがあるかと思いますが、その辺りのお考えを伺います。
【知事】
先週発生しました造船所の火災については、造船施設が全焼し、関連施設にも延焼したほか、この造船所で建造中であった底びき網漁船1隻も全焼しました。
現在、水揚量の拡大を目指す「地域漁業復興計画」において、新たな漁船の建造を予定しています。
このため、今後、計画の見直しが必要になると見込まれるほか、相馬地区の漁船のメンテナンス作業への影響も懸念されます。
県として、引き続き、操業拡大への影響を確認するとともに、国、相馬市等と連携して、「地域漁業復興計画」の見直しなど、必要な支援を行ってまいります。
また、昨日の福島復興再生協議会において、正にこの問題について、痛切な思いのお話がありました。
それを受けまして、坂本農林水産大臣が「状況をしっかり政府として見極め、その上で、水産庁長官に今日にも指示を出し、今後どういった対応を国がとっていくことができるのかということを皆さんと丁寧に相談していきたい」という真摯なお答えがありました。
こういった国の支援も非常に重要でありますので、今後の動向等を見極めながら、国、県、自治体、関係団体で連携をし、対応していくということになろうかと思います。
【記者】
復興財源の確保について伺います。
昨日の福島復興再生協議会でも政府に対して知事が強く要望されたと思いますが、先週、日本商工会議所が、第2期復興・創生期間後の財源確保を初めて盛り込んだ政府要望を公表しました。
こうした動きに対してどのように受け止めるかも含めて、財源確保にどのように取り組んでいくか改めて伺います。
【知事】
日本商工会議所によるこういった具体的な要望活動、内容も拝見しておりますが、非常に我々、福島県サイドの思いというものをしっかり組み込んだ内容になっております。本当にありがたい提言だと受け止めております。
間もなく3月11日を迎えることになりますが、東日本大震災から丸13年が経過して、14年目に入る月になります。
率直に申し上げて、やはり風化が進んでおります。一方で、昨日の福島復興再生協議会でも私自身、幾度も申し上げましたが、福島県のこの複合災害、特に原子力災害との戦いは長い戦いであります。13年が経ったから完了形になる、終わったということはあり得ないわけであります。
したがって、福島県自身が、自治体等と連携して、政府に対して、第2期復興・創生期間中、また、第2期復興・創生期間後の財源確保について、最大限取り組んでいくということは当然のことであります。このような中、日本全国の様々な組織等において、「福島頑張れ」「長い戦いで大変だよな、応援しているよ」、こういった声が上がってくることは、我々にとって本当に大きな追い風になると考えております。
【記者】
今の復興財源の確保の関連で伺います。
避難指示解除が遅れた特定復興再生拠点区域(復興拠点)の住民のお話を聞くと、2025年度以降の計画が住民目線では示されておらず、そこに対して不安を抱えているという声が聞かれるのですが、そのような声に対し、県としてどのように応えていくお考えか伺います。
【知事】
私自身、双葉郡を始め、避難地域12市町村を毎年、幾度も幾度も訪問しております。
住民の皆さんとも直接お話しし、また、特に帰還困難区域内の荒廃した家屋の状況、あるいは、「まだ帰ることはできないものの、定期的に手入れしており、避難指示が解除されればすぐに帰りたい」という方のお宅も拝見しております。
復興拠点ということでお話がありましたが、復興拠点においては、まず、生活環境を取り戻していくことが重要です。
復興拠点において避難指示解除が進み、一定程度前進しているのは事実でありますが、2011年の震災前の状況と今の生活環境が同じかといえば、全く違います。
必要な買物環境も十分にない。学校もまだまだ。また、医療環境も充実していない。本来、当たり前にあるはずの生活環境がまだない、という現実がありますので、こういったものを一つ一つ取り戻していくという取組が重要であります。
また、2025年度以降というお話もありましたが、これは正に、今後の特定帰還居住区域、帰還困難区域における新たなこのスキームにおける避難指示解除も連動してくる問題であります。
特定帰還居住区域、現在、住民の皆さんにアンケート調査等を行いながら、「帰還を希望される方全員に、2020年代に古里へ戻っていただく」ということが政府の基本方針であり、約束でもあります。
これを果たしていくためにも、なすべき課題解決、非常に多くありますし、そのためには一定の必要な財政需要というものもありますので、こういった点も含め、政府と協議を積み重ね、我々が安心して、また避難地域の住民の皆さんや各自治体が安心して復興に取り組んでいけるよう、広域自治体として先頭に立って取り組んでまいります。
【記者】
もう1点伺います。復興拠点の話になってしまいますが、6町村の中の自治体ごとに、置かれている状況が違い、まちの中心部が含まれていたり、逆に農村部だったりといった状況の中で、中々その帰還が鈍く仲間が増えないところで、その地域の復興・再生のために戻ってきた住民が、戻ってきたことが間違いだったのではないかというような、本音を漏らす方もいます。そのような声を知事としてどのように受け止めて、どう解消していくお考えか伺います。
【知事】
そういった思いを持たれながら帰還された住民の皆さんの思い、まず、真剣に受け止めます。
その上で、この13年間を振り返ってみますと、例えば、川内村は非常に早い段階で、かわうちかえる宣言(帰村宣言)というものをして、早期帰還を目指して旗を振りました。
実際、避難指示解除が行われ、古里に帰れる環境が一定程度整っても、当初は住民の皆さんも戻りませんでした。多くの方が郡山に住んだままという状態です。そこから徐々に徐々に住民の帰還が進み、現在では8割以上の方が居住されている状況にあります。
あるいは、楢葉町も同様であります。避難指示の解除が本格的に始まったものの、当初、戻られる方は非常に少なかったです。最初の頃は10%、20%という状況で、松本幸英町長と幾度もお話ししていますが、町長さんが苦しい顔で「なかなか住民の皆さん戻らない。つらい」ということを話されていたことを記憶しています。ただその楢葉町も、現在は5割を優に超えて、6割というレベルになっています。
川内村や楢葉町はある程度早い段階で避難指示が解除されていますが、例えば大熊、そして双葉、浪江といった地域は、非常に避難指示の解除が遅れています。また現在でも、帰還困難区域が非常に広く設定されている地域でもありますので、やはり川内村、楢葉町等の実例と比べてみても、初期の段階、あるいはそれよりも前の段階と言ってもいいかもしれません。
ただ、「初期の段階で(居住率が)戻らないから駄目だ」と諦めてしまっては、やはり古里の再興ができない。これは町長さん村長さんたちの同じ思いであります。今、苦しい時を迎えておりますが、間違いなく徐々に古里に帰られる方が増えています。
一方で、特に大熊・双葉・浪江は、外から移住される方も増えており、彼ら若い力が核になって地域の活性化を進めるという新しい動きも出てきています。それぞれの地域によって、解除のタイミングが違いますので、同じストーリーというわけにはいかないと思いますが、自治体の首長さん、あるいは住民の皆さんの思い、「もう一度古里を元気にしていきたい」いう思いは、早期に帰還された住民の皆さんも、これから戻ろうか戻るまいか考えている皆さんも含めて同じだと思います。県としても、一緒になって、にぎわう自治体、にぎわう地域づくりのために、第2期復興・創生期間、また、その後の期間において力を尽くしていく、この思いで取り組んでまいります。
(終了)
1 ALPS処理水の海洋放出について
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
(福島復興再生協議会)
→企画調整部企画調整課 電話024-521-8624
2 パートナーシップ制度について
→生活環境部男女共生課 電話024-521-7192
3 造船所火災による漁業復興への影響について
→農林水産部水産課 電話024-521-7375
(福島復興再生協議会)
→企画調整部企画調整課 電話024-521-8624
4 復興財源の確保について
→企画調整部企画調整課 電話024-521-8624
5 特定復興再生拠点区域について
→避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-1178