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知事記者会見 令和6年2月26日(月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年2月28日更新

【質問事項】

1 県内59市町村防災アンケートについて

【記者】
 福島民報社で、市町村に対して防災に関するアンケートを実施いたしました。
 回答の状況では、避難所の環境整備に対する課題や災害弱者への支援に対しての難しさ、また耐震化の推進に向けても、改めて住民の負担の大きさなどが課題になっているという指摘がありました。
 改めて県として、どのような形でこういった災害や防災体制に対するニーズに支援していくか、お考えを伺います。

【知事】
 今回の市町村に対するアンケートは拝見しております。
 まず、木造住宅の耐震化についてお話をします。
 令和6年能登半島地震では、多くの建物が倒壊し、住民の皆さんが建物の下敷きになるなどの被害が発生しました。
 住宅の耐震化については、これまでも防災イベント等を通じて、耐震化の重要性を周知するとともに、耐震改修等への補助を行ってきました。
 今回の能登半島地震では、特に高齢化が進む地域社会において、耐震化に係る費用負担の大きさが課題となっている。このことが顕在化したと考えております。
 このため、耐震化を進める上で支障となる費用を軽減するため、日常の大半を過ごす居間や寝室等を優先的に改修する方法などを周知してまいります。
 また、あわせて、関係団体と連携して先進事例を収集し、ノウハウの普及を図るなど、木造住宅の更なる耐震化の促進に取り組んでまいります。
 次は、防災対策の各種課題についてです。
 能登半島地震の状況を踏まえ、市町村が重視する防災対策の課題について、先ほど申し上げた調査の結果が出ております。
 この調査結果において、県内市町村の約8割が「プライバシー確保やバリアフリー対応などの避難所の環境整備」を最優先の課題として挙げられたほか、「女性、妊産婦、乳幼児向けの災害備蓄の確保」も課題として挙げられています。
 県においても、パーティションやテント等のプライバシーを確保するための物資の充実など、避難所の環境改善に努めています。
 また、女性の皆さんのニーズに対応した備蓄を進めているところであり、民間事業者等と締結している応援協定等も最大限活用するなど、今後も、市町村と連携して防災対策に取り組んでまいります。
 また、個別の避難計画についてであります。
 避難行動要支援者の個別避難計画策定について、県では、今年度、個別避難計画が未策定の市町村、自治体に対して、研修会の開催や、個別訪問による助言等を行い、計画策定を支援しているところであります。
 個別避難計画を策定するに当たっては、高齢化等による支援者の確保、市町村のマンパワー不足等が大きな課題となっています。
 県においては、支援者を確保するための助言や、他自治体の取組事例を紹介するなど支援をしているところであり、引き続き、市町村の計画策定が着実に進むよう丁寧に支援を進めてまいります。

2 ALPS処理水の海洋放出について

【記者】
 処理水放出から半年を機に実施した共同通信のアンケートで、県漁連を含め全漁連の団体の8割が「風評被害があった」と回答しました。このことに関する受け止めと、県としての取組について伺います。

【知事】
 まず、昨年8月の処理水の放出の問題でありますが、昨年3回の放出が完了しました。これまでのところ、放出作業は計画どおり実施されており、海域モニタリングにおいても、トリチウムの濃度が検出下限値未満か、十分低い値であることが確認されています。
 今月下旬からは4回目の放出が開始される予定でありますが、ALPS処理水の問題は、これからも長い戦いが続きます。
 特に今お話がありました風評の捉え方の問題でありますが、ポイントとして、一部の国・地域において、福島県のみならず日本産の水産物について強い輸入規制をかけているという問題があります。これによって、全国の水産事業者の皆さんや関連の事業者の皆さんが非常に御苦労され、新たなマーケット、市場を探すための努力、あるいは加工場の確保等でも大変労力を割いておられます。
 国及び東京電力においては、引き続き、想定外の事態が生じることがないよう、油断することなく、万全の対策を講じること。これが重要でありますし、併せて、現在、こういった輸入規制等によって苦しんでおられる水産事業者、あるいは漁業者の皆さんに対してしっかりと支援を行い、日本の水産業が着実に振興していくように努めていただきたいと考えております。

3 台湾直行便の定期便化について

【記者】
 台湾のチャーター便が夏ダイヤ以降も継続の見通しとなりました。このことに関する受け止めを伺います。

【知事】
 4月以降もタイガーエア台湾による週2便の運航が継続されたことは、タイガーエア台湾及びグロリアツアーを始め、関係の皆さんの御尽力によるものであり、心から感謝を申し上げたいと思います。
 サマーダイヤからは、定期便と同じように、個人の方も直接航空券を購入できるようになると伺っております。これによって、より利便性が高まるものと考えています。
 今後は、団体で利用される方々だけでなく、個人で利用される方々にも、福島、台湾双方の観光等を十分楽しんでいただきたいと思います。

【記者】
 先週の議会答弁で、台湾に関して近隣県との連携や旅行商品の造成というようなお話がありました。この具体策についてお考えを伺います。

【知事】
 まず、インバウンド。台湾の方々が福島県に来られるとき、福島県を是非、楽しんでいただきたい、それは知事としてあるわけですが、実際、(福島県に)お越しいただいている皆さんは、より広域的に活動されます。
 また、タイガーエア台湾の各就航先は、東北地方、あるいは関東地方も含めて幅広くありますので、広域観光というものが、これから継続的にインバウンドを確保していくためには極めて重要だと考えております。
 特にポイントは、魅力のある商品造成であります。例えば、冬であれば、福島県内の雪景色や温かい食事、こういったものを楽しんでいただきつつ、他県の魅力的な観光地を知っていただくことが重要でありますし、これから春が近づいてまいりますが、福島県を始め各地域で桜や美しい花々が咲き誇る、正に花の王国ふくしまの魅力をほかの地域のお花と一緒にPRしていくことも重要かと思います。
 大事なことは、今のインバウンド、台湾からお越しいただく方々の流れを一過性のものにせず、冬、春、夏、秋、そしてまた冬とつなげて、数年続けていくことだと考えております。福島県のみならず、近隣県の観光の魅力も旅行商品としてパッケージでPRしていくことによって、年間を通じて魅力のある観光先であるということを、台湾の皆さんに訴えていきたいと思います。

【記者】
 台湾便の関係ですが、当初、4月末からは定期便に昇格する見込みということだったはずです。
 これが実現しなかったということについての受け止めを伺います。また、1月には知事も台湾に行って魅力発信等をしてきました。普通民間であれば社長が行ってお願いしてきて、実現しなかった場合もう少しシビアかと思うのですが、その辺りも踏まえてお願いします。

【知事】
 この定期便化については、現在手続中という報告を受けております。
 まず、このチャーター便が継続し、そして個人の方も直接航空券を購入できるようになるという部分は、正に定期便と同格の対応をとっていただいたかと思います。
 ただ、我々にとっては、東日本大震災以降、海外の定期便が途絶えているという現状もありますので、昨年来、定期便化を目指すということで、台湾のエアライン、あるいは旅行関係の皆さんと合意をしているところでありますので、定期便化に向けて、丁寧に取り組んでいきたいと思います。

【記者】
 定期便と同等なのであれば、定期便をわざわざ目指す必要もないのかとも思いますが、それでもあえて定期便を目指さなければいけない理由をもう少し伺います。

【知事】
 今、同等と言いましたのは、個人の方が直接航空券を購入できるようになる。つまり、団体客の方だけではなく、個人客も使えるようになるという部分について同等だということをお話ししたものであります。
 チャーター便ではなく、定期便を目指していくということが、福島空港の活性化にとっても、また、福島の魅力を世界に発信していくためにも重要なステップになると思っておりますので、この点について、関係の皆さんと努力を続けていきたいと思います。

【記者】
 台湾便については、仙台や茨城など近隣県で既に飛んでいるので、飛ばす側からも福島の魅力がもっと必要かと思います。県内にとどまってもらう、もちろんダイヤモンドルートは大事だと思いますが、県内の魅力発信という意味では、もう少し何が必要だと思われるか伺います。

【知事】
 まず、台湾の皆さんは、福島の冬の魅力、雪景色の魅力というものに強く魅了されているなということを、ここ一、二か月、実感しているところであります。
 先ほども四季を通じて、通年でというお話をしましたが、一年間を通じて、春夏秋冬全てのシーズン、「福島いいよ、来てみて、おいしいものあるよ、また来たいと思えるよ」ということを、幾度も幾度も発信すること(が必要)。
 また、我々の感性と台湾の皆さんの感覚や受け止め方が違います。
 台湾の方に実際に来ていただいて、「これいいよ」というものが、実は我々があまり気づいていなかった魅力であるということがあります。
 (例えば、)JR只見線の風景は、地元の皆さんはあまり感覚として評価していなかったということは事実だと思いますが、実際、台湾の方にはバズったわけでありますので、こういったものを幾つも見つけていくことが重要です。
 あとは、インバウンドの話だけになっていますが、アウトバウンドが重要です。
 全体として高い搭乗率にはなっていますが、インバウンドが高くてアウトバウンドは若干低いという現実がありますので、福島の方が台湾に行って、台湾という地域の魅力やすばらしさを実感する。インバウンド、アウトバウンド双方の交流を継続することが重要だと思いますので、福島県の方にも是非台湾に行っていただくということに、力を入れていきたいと思います。

4 東日本大震災を教訓とした住民避難について

【記者】
 震災と原発事故関連で、間もなく13年になるかと思います。
 能登半島地震、先ほど少しお話に出てましたが、住宅の倒壊や道路の寸断もあって、原発事故の際に避難と屋内で身を守るという最初に立てていた計画がなかなかうまくいかない、前提が崩れるような事態になったかと思います。
 13年前振り返ってみると、原発事故直後、住民が孤立して避難ができないとか、あるいは避難が要請されていない地域に大勢の住民が行くとか、そういうことがあって混乱もあったかと思います。
 それを踏まえて二つお聞きします。
 避難をめぐる当時の教訓、福島県の教訓というものが、石川県もそうですが、原発の立地自治体の避難計画というものにどういかされるべきか、知事のお考えを伺います。

【知事】
 今回の能登半島地震でありますが、モニタリングポストの測定ができない状況となりました。
 また、家屋の倒壊、道路の寸断等が生じたことなどから、避難計画の実効性について、現在様々な意見が出されております。
 このため、先日開催された原子力規制委員会の定例会合においては、「原子力災害対策指針」を見直す議論が開始されました。
 この会合では、委員の方々から「被ばく防護には基本的に避難と屋内退避しかない。その組み合わせの効果をどう最大にするかを議論すべきだ」との意見や、「道路状況など、地域の状況を踏まえることが重要だ」といった意見が出されました。
 また、能登半島地震を受けて、地震、津波、原発事故が重なる複合災害が起きた際の屋内避難について、その対象範囲と実施期間、解除や避難への切替を判断する基準等を検討するため、年度内に自治体や外部専門家などを交えた検討チームを設置することになったと聞いております。
 近年、これまでの想定を大きく超える自然災害が多発しています。災害発生時には、発生確率が低い事象も含め、あらゆる事象を考慮して備えることが極めて重要であります。
 県としては、引き続き、原子力規制委員会での議論を注視してまいります。

【記者】
 福島県の話を、また13年前を振り返りますが、事故が起きた直後、15日から16日頃に、茨城県から福島県に避難者の受入れについて要請があったと聞いてます。
 この中で、避難が要請されてない住民の自動車による避難をできるだけ抑制するようにという呼び掛けがあったというふうにも聞いてます。当時副知事だったかと思いますが、当時県としてこの要請にどう対応したのかを伺います。

【知事】
 当時、茨城県から福島県に対して、本県の避難指示区域から避難される方々を受け入れるとの連絡を頂いたほか、避難が要請されていない住民の方々が自家用車で茨城県に避難することを抑制してほしいとの依頼もありました。
 各市町村において自主避難を呼びかけていたこともあり、県では、国に対して、避難指示の発出など、事態に応じた全面的な支援や、県民に分かりやすい情報提供を行うことなどを求めたところであります。

【記者】
 そういった経験を今後、その計画についてはどのようにいかされていくべきだと思われるか伺います。

【知事】
 東日本大震災、原発事故以降、福島県自身が原子力防災等に関する各種の計画を見直しているところであります。
 また、今回の能登半島地震の経験もいかしてということになりますが、常に想定外の事態というものが結果として現れるということを前提として、どういった対応が最もよいのか、その時点時点で入ってくる情報が異なります。
 特に、原子力災害の場合は、自然災害と異なって、例えば、今後あってはほしくないのですが、放射性物質が飛散したというような場合に、そのリアルな状況というものはなかなか直ちに分かりづらいというところもありますので、モニタリングポストでの対応方法等も含めて、なかなか難しい部分があろうかと思います。
 いずれにしても、いろいろなパターンについて、過去の災害を検証することによって、より現実的な対応にしていくということを、不断に継続していくことが一番重要だと考えています。

5 能登半島地震を踏まえた令和6年度予算について

【記者】
 県の新年度予算案の中で、災害対策で能登半島地震を受けて、特に組み入れたり拡充したりした施策について伺います。

【知事】
 能登半島地震を受けての対応は、一通り整理したものもございますので、担当課のほうから御説明させていただきます。
 また先ほど申し上げたとおり、特に避難計画の関係です。福島県は半島、離島ということではないのですが、中山間地域、過疎地域の、例えば林野等において、一本しかない道路が寸断した場合には、同じことが起こりうるということになります。そういった場合の避難計画、特にその先におられる方々は高齢者、要支援者が多いということが十分ありうるものですから、今後自治体と、そういった面における避難計画というものを拡充していかなければいけないという思いもございます。
 予算面においての対応は、また別途御説明させていただきたいと思います。

6 原子力関係部局長会議について

【記者】
 処理水関連の話です。弊社の県への情報公開請求で2021年4月、当時の菅政権が2年後を目処に処理水を放出しますと決定した際、その直後の県幹部会議で、国と東電が県漁連と結んだ「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」といった約束について、県幹部会議で触れられなかったということが分かりまして、その点について報道をしました。
 この放出の大前提となる約束だったはずで、先週の県漁連のほうでも、野﨑会長からこの理解について揺らいでいるような発言があったかと思います。
 2021年4月の県のスタンスを決めるという大事な会議で、この約束について触れられなかった点について、なぜかという点とこの報道についての受け止めを伺います。

【知事】
 令和3年4月の原子力関係部局長会議においては、ALPS処理水の海洋放出について、「漁業を始めとする幅広い関係者や国内外に対する丁寧な説明を行う必要がある」等の意見が出ております。
 それらの意見を取りまとめ、4月15日に、私から経済産業大臣に対し、処理水の取扱いに関する理解が深まるよう、国の基本方針等について、農林水産業や観光業の関係者を始め、県内の自治体等に対し、丁寧な説明を行うことなどを求めたところであります。

 

(終了)

 

1 県内59市町村防災アンケートについて
 →危機管理部災害対策課 電話024-521-7741
 →土木部建築指導課 電話024-521-7522

2 ALPS処理水の海洋放出について
 →危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
 →企画調整部風評・風化戦略室 電話024-521-1129

3 台湾直行便の定期便化について
 →商工労働部観光交流局空港交流課 電話024-521-7211

4 東日本大震災を教訓とした住民避難について
 →危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252

5 能登半島地震を踏まえた令和6年度予算について
 →総務部財政課 電話024-521-7027
 (避難計画等について)
 →危機管理部災害対策課 電話024-521-7741

6 原子力関係部局長会議について
 →危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252